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テーマ:DVD映画鑑賞(13577)
カテゴリ:シネマ感想:あ行
※ネタバレしてます。 1月のシネフィル・イマジカがトリュフォー特集だったので観ました。この映画も10年くらい前に観ていたんだけど、例によってほとんど忘れていました。今見ると色んな意味で強烈・・・です。 ヒロインのアデルは、フランスの文豪ヴィクトル・ユゴーの娘。彼女がかつて恋仲だった(と思われる)イギリスの兵隊さんを追って、ヨーロッパからカナダに来てしまったが、もう兵隊さんは彼女のことなど何とも思っていないどころか、迷惑していた。しかし拒絶されても何かに取り付かれたように彼を求め、身も心もボロボロになっていくというお話です。 おおざっぱに言うと、やりち◯に入れあげた挙げ句、ポイ捨てされ粘着質のストーカーになってしまった哀れな女性の話なんだな~。ストーカーだし、だめんずだしってことで現代風に言えばイタい女なアデル。大西洋を越えた壮大なつきまとい、尾行、のぞき、不法侵入、名誉毀損・・・いや、イタい女という枠を遥かに越えています。しかしそこには並々ならぬ情念というか執念があり、一度でも本当に人のことを好きになり、その相手から拒絶された経験がある人なら、彼女のことを鼻で笑えない部分もあるのではないでしょうか・・・(えっ私だけ?)。 トリュフォー監督にこれでもかー!これでもかっ!というくらいに続くアデルの「一方的な」恋を見せられ、ううう、もうお腹いっぱい・・・。服の中にクッションを入れて妊娠をでっち上げたアデルが、借金をしている彼のためのお金を持って追いかけた先で、彼に「どうかしてる」と言われ、力なく崩れ落ちるシーンで、ああやっと終わり(解放)か・・・と思ったけどまだ続きが!! その後ハリファクスからバルバドス島(リアーナの出身地だ)に配置換えになった彼を追いかけて、なんとアデルはバルバドスにまで行ってしまうのだった!!!ボロボロのドレスで、夢遊病者のように市場を彷徨うアデル・・・。結局優しい黒人のおばさんに助けられ、フランスに帰ることが出来たけど余生はずっと精神病院に入り、暗号で日記を付けていたらしい。暗号でってところが、また背筋が薄ら寒くなるポイントですね・・・。これが全て事実に基づいた話なんだから本当に恐ろしいです。 アデルを演じたのは新人のころのイザベル・アジャーニで、当時のお人形のような衣装と相まってビスクドールのような美しさ。しかし美しい瞳の奥に途方もないマッドネスを秘めているという、まさに当たり役!トリュフォー(本作でカメオ出演あり)はアジャーニを見て一気に本作の脚本を書き上げたらしいですが、納得です。 そしてもう一つガクブルな事実が。アデルを演じたアジャーニは当時20歳くらいなんで、「ま~、これくらいの年齢の娘さんだったら思い詰めちゃって、こうなっちゃうのかもねえ・・・」とも思ったりしたんですが、実際のアデルがカナダに渡ったのは33歳のときなんだそうです・・・。ね、もっと怖くなったでしょ・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.12.26 05:12:30
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