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カテゴリ:認知症専門外来と専門往診の二刀流
長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト
黒川温泉山河 黒川温泉山河を訪れた。 なんとも良い雰囲気の雑木林が見られた。 坂道を降りていくと左側に黒川温泉山河の本館が見えてきた。 畳の落ち着きのある温泉付き離れに通された。 部屋付きの露天風呂。 生け花も美しい。 症例報告 当クリニック通院中の患者さんの付き添いで来院されていた。物忘れ、易転倒、感情失禁、尿便失禁、左>右小脳症状からレビースコア:2 ピックコア:0。某大学病院神経内科から1.セレジスト 2.ユベラ 3.メチコバールが処方されていたが、全く効いていなかった。中核症状は改訂長谷川式: 27/30、近時記憶5/6と正常範囲内だった。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮なし、4.海馬萎縮なし、5.脳梗塞なし、6.その他 小脳萎縮。以上から、多系統萎縮症(MSA)と診断した。昨年、グルタチオンがMSAに有効であることがわかり、歩行セット(リバスタッチパッチ4.5mgおよびNewフェルガードLA2包)と共に開始した。グルタチオン2400mg/Vit.C2g/Vit.B12=1Ap/ソルコセリル1Apを開始した。直後から歩行が著明に改善した。訪問看護(特定疾患があれば無料)を導入して自宅でグルタチオン2800mg週1回を続けていた。やや歩行が改善したものの、有効期間は3-4日であった。グルタチオン2000mg点滴週2回を開始してから、お墓参りにも行けるようになり、10秒以上自立できるようになった。 開業医からの紹介である。物忘れ、易興奮、悪夢、夜間大声、寝言、夜間不眠、食欲低下、生真面目、振戦、歯車様固縮からレビースコア:4.5 ピックコア:0。前医からドネペジル5mgが処方されていた。中核症状は改訂長谷川式: 27/30、近時記憶5/6と正常範囲だった。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ脳梗塞多数、境界領域梗塞。以上からレビー小体型認知症と診断した。直ちにドネペジル5mgを中止、8日目からリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M2包を勧めた。3か月後、中核症状は改訂長谷川式:24.5/30(-2.5)、近時記憶5/6(+-)とやや低下したが、悪夢偶に以外上記周辺症状は消失した。リバスタッチパッチ4.5mgから9mgへ増量した。7か月後、中核症状は改訂長谷川式:28/30(+3.5)、近時記憶6/6(+1)に改善した。周辺症状はやや通院拒否だったが、本人のみ(妻同伴拒否)で来院された。今後も治療継続が必要であることをよく説明した。 ケアマネからの紹介である。物忘れのみで明かな周辺症状は見られず、レビースコア:1、ピックコア:0。中核症状は時計描写テスト:3/9、改訂長谷川式: 25/30、近時記憶5/6と認知機能低下していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮中等度、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮なし、4.左>右海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ脳梗塞数カ所。以上からアルツハイマー型認知症と診断した。認知機能低下にドネペジル1.5mgを開始、NewフェルガードLA2包を勧めた。1か月後、中核症状は時計描写テスト:9/9(+6)、改訂長谷川式:25/30(+-)、近時記憶3/6(-2)と改善、ドネペジル2.5-5mgへ増量、プロルベインDR4Capを勧めた。1.5年後、中核症状は改訂長谷川式:29/30(+3)、近時記憶6/6(+3)と著明改善した。3.5年後、中核症状は改訂長谷川式:27/30(-2)、近時記憶6/6(+-)とほぼ維持されている。 インターネット検索で来院された。物忘れのみで明かな周辺症状は見られず、レビースコア:2、ピックコア:0。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式: 26/30、近時記憶5/6と認知機能低下していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮なし、4.海馬萎縮なし、5.両側基底核および深部白質ラクナ脳梗塞数カ所、境界領域梗塞。以上から脳血管性認知症と診断した。認知機能低下にドネペジル1.5mgを開始、NewフェルガードLA2包を勧めた。1か月後、中核症状は時計描写テスト:9/9(+1)、27.5/30(+1.5)、近時記憶6/6(+1)と更に改善した。脳血管性認知症にプロルベインDR4Capを勧めた。2.5か月後、中核症状は改訂長谷川式:29/30(+3)、近時記憶6/6(+3)と更に改善した。4年後、中核症状は改訂長谷川式:28.5/30(-0.5)、近時記憶6/6(+-)とほぼ維持されている。 ヘルパーからの紹介である。物忘れ、アパシー、食欲低下から、レビースコア:2、ピックコア:0。中核症状は時計描写テスト: 8.5/9 、中核症状は改訂長谷川式:24.5/30、近時記憶3/6と軽度認知障害の状態だった。頭部CT:1.頭頂葉萎縮中等度、2.前頭葉萎縮軽度、3.側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮なし、5.脳梗塞なし。以上から軽度認知障害と診断した。認知機能低下にドネペジル1.5mgを開始、NewフェルガードLA2-3包を勧めた。6か月後、中核症状は改訂長谷川式:30/30(+4.5)、近時記憶6/6(+3)と著明改善、ドネペジル2.5-10mgへ、メマリー5-10mgへ漸増した。6.5年後、中核症状は改訂長谷川式:24/30(-6)、近時記憶6/6(+-)とほぼ維持されている。 「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」に関するパブリックコメントの募集 まずは「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」に関するパブリックコメントの募集を訪れてほしい。「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を作っているのは、ほとんど患者を診ない学者達ばかりである。抑制系薬剤(セロクエル、セレネース、ウインタミンなど)を止めようという前に興奮性薬剤である中核症状改善薬(ドネペジル、レミニール、リバスタッチパッチ、メマリー)に対する増量規定の見直しを行うべきである。特に妄想に対するセレネース、ピック症状に対するウインタミンはなくてはならない薬剤である。抑制系薬剤は大量投与するから命に関わるのであり、少量投与すれば措置入院を避けることが出来、医療費の削減に大いに貢献するのだ。特にセレネースとウインタミンは非常に安価な薬であり、少量投与すれば介護費および医療費削減に大きな貢献をするのである。 介護現場の声に耳を傾けて、介護しやすい状態にする処方を考えるべきである。抑制系薬剤(セロクエル、セレネース、ウインタミンなどの)の利用は施設入所を避けるため、措置入院を避けるためには必須アイテムである。認知症患者をほとんど診ない学者達が薬物療法ガイドラインなど出すなんてことはナンセンスである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 18, 2023 05:13:37 PM
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