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芸能界


芸能界と子役達


私の2,3年間の芸能マネージャー歴の最初の頃で、その時は2週間休みなしだった。

その2週間の撮影ロケが終わった時、心身共に極限状態に達した私はまるまる2日間眠り続けた。
およそ40-50時間連続で。まるで冬眠状態。モチロン飲まず食わず。
とにかくその間、起きた覚えがない。
起きたら、日付が2日変わっていた。。。



朝4時起きで5時に家を出たり、或いは泊まりもあり。
毎日、ロケバスで山や田舎へ移動。過酷な肉体労働だ。

大人でも悲鳴をあげそうな長時間拘束で、子ども達はみんなおっそろしく芯の強い子達ばかり。


書類選考、さらに2度のオーディションを経て、千人ほどの中から選ばれるということは池の中に小石を投げ入れる確率だとまで言われる。

それを体験してきているので、撮影に入るとたとえ小学生の子でも、高熱を押して2週間でも頑張るのだ。途中、子役のあまりの高熱に監督が別の子と交代させようと、富士山麓現場まで呼び寄せたことがあった。

子役二人を並べて、監督が腕組みをしている間の高熱の子とそのマネージャーの鬼気迫る迫力には傍で見ていた私がタジタジするほどのものがあった。

そしてついに監督は交代の子をそのまま返した。



真冬の12月の屋外ロケで、薄い衣装を着るため、ホッカイロは手放せない。
そういうこまごましたことはすべてマネージャーが予想して考えて準備しなければならない。それをうっかり忘れて、風邪でもひかせたら、地獄だ。


私の担当の男の子Bと5才違いの女の子は、性格が実によく似ていた。
私らマネージャー同士も似ていて、よくADさんにまちがわれた。
Bは10才、女の子は5才、これだけ年齢が違うのにもかかわらず、仲良く?喧嘩ばかりしていた。



私があきれたのは、撮影中、ウルトラマンが運転する車中でも喧嘩をしていたこと。

激しい喧嘩をしているのに、カメラが回り出すと二人共、即、演技に入るので、撮影には一切影響せず、監督は最後まで気が付かなかった。

スタート!となるや、女の子は熱っぽい病気の子を演じ、うなされ始め、Bはそれを必死でいたわる仲間を演じる。。感動のシーン??。。。

これが数秒前までつばをかけたり、たたきあっていた子どもたちなの?

信じられない。。。プロフェッショナルな子ども達。。。役者根性か。



運転しているウルトラマンの長野クンはわかってたから、おかしくてしようがなかったようす。

長野クンは、テレビで見るときはふつうの男の子に見えてたけど、実際に見ると、貴公子のような育ちの良さ。

あるときロケバスから、建物の方へ長野クンはトイレを探しに出て行ったのだけれど、じきに引き返してきた。

「だめだあ、、無理だよお。行けねえ~。夢を壊すわけにいかないよオ~。」
(ウルトラマン、トイレ行けなくてナイテマス。)
なんでもロケバス近くにファンの子ども達がいて、ついてくるので、ウルトラマンがトイレに行くわけにいかなくなったのだそう。。。
おきのどくでした・・・。

ロケバスの中で、長野クンは、自分で一生懸命ドライヤーでヘアスタイルを整えていた。メイクさんはいるのだけれど、役者が10人ほどにメイクさん一人なので、主役といえどできるだけ自分でできることは自分でやり、手を煩わせない気配り。

結構大変だなあ。

野外ロケの時はトイレだって半日に1度位しか見当たらないことはザラだしね。

オトコはいいけど、女性が大変。だから水分をできるだけとらないようにするしかない。


子役のついでに、こっちも出演することがしばしばある。。
富士山まで行って、私も含めてコマーシャルを撮影した時は、イギリスの撮影チームで、CFが流れるのはイギリス国内だけってのもあった。
楽しい雰囲気のもので、できあがりを見たかったのにちょっと残念だったな。



NHKは、何回か行ってるけど、一番ムズカシイところ。
何しろ芸達者な大阪の劇団の子役達が大挙してやってきて、東京の子はB一人。
実力派マネージャーが○○に出た子として、売り込んでくれたみたい。

うちのプロダクションが子どもらしいのが一番、演技レッスンはやらなくても、キャラクターが大切という方針だったので、Bは仕事は結構こなしたけれど演技レッスンはほとんどやってない。

民放は、自然な演技が好まれるので、それで十分いいのだが、NHKは
「いかにもお芝居です。」の力んだ演技を要求されるところなので、随分大変だった。

民放では、一発OKの役達者なBも、ここではOKまで一番遠い子だった。

他では優等生が、ここではビリっけつの憂き目をみた。

それほどまでに民放とNHKでは演技方針に差がある。



一番思い出に残っている人は、代理店の社長をやってらした飯野賢治さん。
こういう業界には珍しく、とーってもやさしくて温かみのある良識人。

撮影が始まると、マネージャーなど撮影の邪魔にならないように存在感を消しているのが普通だけれど、飯野さんは、モニターの前にイスまで用意して、そこに座らせてくださって感激。。そして社長にもかかわらず、撮影が終了したら、出口まで丁寧に送ってくださった。

最初はとてつもなく大きな山のような人で、しかも髪を後ろに一つ結びしてらしたので、社長の飯野さんとは知らず、すごくこわそ~で、○○系の方かしらと固まっていたのが、全く違ってました。

本当はとってもやさしい表情の方なんだけど、マジ顔されるとたいていの人はビビるんじゃないかな。そういう迫力アリ。

とにかく大きくてやさしくてあったか~い人でした。。。。






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