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マネがサロンに出品して落選した作品「草上の昼食」
(オルセー美術館蔵ですが、今回は来ていません) マネが真似をした元はティツィアーノの「田園の奏楽」(ルーブル美術館蔵) (構図は、ギリシャ神話の「パリスの審判」からとったのですが、原画を拾えませんでした) 「田園の奏楽」の女神の姿は、後ろのおっちゃん達には見えない設定。 マネとしては、3世紀も前の有名な作品を題材にしたわけで、某W田氏のような盗作ではなく、れっきとしたアレンジ。古代神話と有名作品を題材にして、マネとしては、自信満々でサロンに出したらしい。 ただ、「女神」でなく、「生身の女性」をおっちゃん達の中に座らせた、ということで、不道徳だと非難ごうごう。 「印象派の父」たる所以で、鑑賞者が本当に、自ら若い女を裸にしてピクニックに連れて行ったような印象を与えてドキッとさせてしまった…というところ。おっちゃん達のスタイルも、当時の流行の服装だし。 へたくそな絵なら「非現実」ですむものが、マネの才能と、客の感性で「現実の不道徳」に引っ張り込まれた、という皮肉な結末。 しかし、モデルのムーラン。18歳ならもうちょっと若々しく描いてやりゃいいのに…と(「おばさん」呼ばわりした自分の言い訳で)思うけれど、実際のところ、これが皆を「現実の不道徳」の世界に引きずり込んだのだから、そこまで計算ずみならすごい。 ムーランの視線も、「ふっふっふ、あんたも来たわね」と呼びかけるような現実味があります。 【「バリスの審判」の画像を追加します。08.02.19】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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