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【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

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2009.04.17
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あるパリジェンヌとの想い出【復刻日記】

せっかくフランス人のbonbon さんが来客中なのだから、【復刻日記】ながら古いフランスネタを振ってみよう
飲み物もペルノーあたりかな
(フランスネタもそろそろ少なくなる)

何らかのコメントもいただけるかも知れない

       ―――― ◇ ――――

【復刻日記】

パリのマダムの話も完結しなければいけないのだが、先に、大昔の赤坂・六本木シリーズを一話、書こうと思う。

私が独身という大昔のある時、赤坂の外国人ナイトクラブで、ある若いフランス女性と知り合った。
フランス女性は、私が非常にセクシーだと思って尊敬申し上げている人たちだが、わがままな人が多いように思う。
いや、全員わがままだと思う (笑)
それはそれとして・・・。

彼女との初対面で、彼女がフランス人だと知って、私はその頃国際的なベストセラーになっていた「ピーターの法則」という本を話題にした。

ちなみに彼女は、背が高くてやややせ形、繊細な容貌で、ブロンドの長い髪(これまで私が日記に書いてきた女性は、みんなブロンドだが、これは偶然で、私はブルネット(黒に近い、栗色の髪の毛)の女性も大好きで、むしろブルネットの女性の方が好きかも知れない。
マリリン・モンローの映画で「紳士は金髪がお好き」という映画があるが、まあ、一般に欧米の男性は、ブロンド女性が好きみたいだ。

古代ギリシャでは、金髪が好もしい髪の毛の色とされていて、あの地中海沿岸では金髪率が低いにもかかわらず、女性はみながゲルマニア(今のドイツ)から輸入された石鹸(つまりアルカリ)で髪をブリーチして金髪にしたという。
ミロのビーナスもブロンドなのかな?
私の好きなニケ像は首がないが、ブロンドでしょ?

ちなみにやはり、金髪率は緯度的に北に行くほど多くなる。
例えば同じ英国でも、南部イングランドと北のスコットランドでは大きく金髪度がちがう。
ケルト民族は今はブルネットが多いが、ローマ帝国の歴史書によると「金髪の野蛮人」だったとか。
その後にもっと金髪のゲルマン民族がフン族の侵入にトロコテン的に押し出されてローマ帝国を脅かして欧州を支配したのだが。

       ―――― ◇ ――――

まあ、そういう話はどうでもいいんであって、私は「ブルネットの猫でも、ブロンドの猫でも(ちがうかな? 黒い猫でも白い猫でも・・・だったね)、ネズミを捕る猫はみんないい猫である」と言った「とう小平」は、それなりに尊敬している。
なお、「とう小平」の「とう」と言う字は機種依存文字なので、ここでは、変換できない。

「ピーターの法則」というのは、当時世界的なベストセラーになったフランス人学者の書いた本で、「人は、有能な間は昇進を続けるが、昇進して新しい職位の仕事の質が変化した時点で無能になり、昇進がとまる。その結果、階層社会の上部は、無能な人であふれるという法則」。
私自身の能力と昇進との相関関係をかんがみても、残念ながら思い当たるところのある、恐ろしくもシニカルな社会的理論である。

彼女がフランス人と言うことで、私がこの本をちょっと話題にするやいなや、彼女は極めて饒舌にこの本への評価を学問的に知的に語りはじめて、それほど深く読んでいない私は、(精読してもそれほどわからないのだが)ただただ、「はいはい」と頭を下げて拝聴するだけとなって、やがて彼女がフランスのあの有名なソルボンヌ(パリ大学)の現役学生で「いらっしゃって」、現在は世界漫遊の旅に出て「いらっしゃる」のだ・・・と言うことを知ることになる。
当時のナイトクラブの女性はこういう女性がゴロゴロいたのだ。

彼女は私に、彼女のアパートの電話番号をくれ、数日後、私たちは六本木で待ち合わせた。
時間的に言うと、ナイトクラブがそろそろ始まる薄暮だが、彼女は「今日は休む」という。
どこかで彼女と飲もうと思って、その当時、よく通っていた外国人の女性が経営者であるバーに入った。
まだ、時間的にお客は一人もいない。

席に着くなり、彼女はいきなり私に抱きついてきて、キスをし始めた。
それだけでも驚いたが、ずっとキスを続けるのだ。
セーヌ河畔のアベックみたなのだ。
飲み物を飲むひまもない。
私はキスには応じなければいけないし、ママには気を使わなければいけないし、うれしいが、やはり恥ずかしい、・・・ということで、(男は冷静だな~)、とまどったが、なにしろフランス人だからフレンチ・キスで、おいしくて?止めるわけにも行かない。
でもこれがフランス流かな?と納得しながらキスを続けた。

結局、やはり、まもなく、怒った? ママに二人は体よく追い出されてしまった。
やはり、バーでフレンチ・キスはだめかな~?
しかし、情熱の国スペインとはよく言うが、知性・芸術の国のソルボンヌの学生も、情熱的で衝動的だと言うことが、よくわかった。

その後、どこで飲み直したか?食事をしたか?はよく覚えていない。
昔のことだから中抜きの記憶なのだ。
飲んだのは多分、キャンティだったろうと思う。
食べたのはイタリア・マフィアのおじさんのニコラスだったろうと思う。

タクシーで彼女を送っていって、別れのキスをしたら、彼女が、「私は、あなたと make love をしなければいけないわ」と涙声で言った。
これが、涙ながらに話す文句かな~?
さすがは、セックスが食事と同じ、フランス人だ。

       ―――― ◇ ――――

また、デートをして、こんどは彼女の下宿に泊まった。
下宿と言っても、一軒家の一階部分を彼女が使っていて、家主さんは二階に住むという妙なシステムだった。
入り口も別になっている。

朝、気がついたら二階でフランス語が聞こえる。
彼女が家主さんにフランス語を教えているのだった。
フランス語を教え終えた彼女が下りてきて、私にキスをしてから、当然のように裸になった。
私はそれをどう呼ぶのか?名前を知らないけれど、ウェストに金の鎖をベルトのようにしていて、これが首ならネックレス、手首だったらブレスレットなんだけれど。
知っている女性は教えて欲しい。
クラナッハの裸婦像のように、ホッソリした彼女の滑らかで白い肌に金のチェーンが妖しく輝いていた

彼女はその家にカギをかけていなかったので、私は彼女が働いている時には、会社帰りに彼女の家に上がり込んで彼女を待っていることもあった。
ちょっときつめで、ちょっとわがままなお嬢さんだったが(とりあえず「ちょっと」をつけておこう)、私には他にガールフレンドもいないことだし、一人で帰宅するのも寂しいし、彼女にも優しい部分はあるし、私をとても好きそうだし、それに、やはり、独り身の男にとって、魅力的な女性と二人でいるとただただ楽しい。

ある日(昼間)、私がビジネス上の用事で或る会社を訪問して、地下鉄でオフィスに帰る途上、階段を登っていると、偶然、彼女が、階段の上から下りてくるのに出くわした。
彼女は私を認めると、急に表情を変えて赤くなってうつむいて黙って脇を通り過ぎた。
同行していた同期の同僚が、「おい、お前! あの女、やっちゃったんだろ?」と私に言った。
全く、彼女も、私との関係も、何も知らないのに、表情だけで読みとる洞察力には、驚いた。
でも、もうすこし言いようがあるだろうが。
下品だぞ!
(私も、あまり、えらそうなことは言えないが)
しかし、誇り高いフランスの女性にも、こういう、恥ずかしがる反面もあるのかな?と意外だった。

       ―――― ◇ ――――

ある夜、私が彼女と眠っていたら、電話がかかってきた。
彼女は長い間フランス語でしゃべっていたが、電話を切ってから少し泣いている。
事情を聞くと、彼女のお父さんからだ。
彼女の家は、確かパリのセーヌ河の中州であるシテ島(または近辺?)にあるとのことで、写真を見せてもらったが豪邸である。
おまけにローロス・ロイスとか高級車が二・三台写っている。
お父さんの車だという。
ヒエ~~! すごい。
それに、彼女は、自分一人でフラットで住んでいて、イタリア車の名車、アルファ・ロメオ・ジュリエッタに乗っているという。
ヒエ~~!

そのアルファ・ロメオのガレージだか駐車場だかの料金を払え、とお父さんが言ってきたというのだが、東京にいて払えるはずが無いじゃないか。冷たいね。
(当時は国際間の送金がまだちょっとややこしかった)
それに、あんなに長い国際電話の料金の方が、ガレージの料金より高いだろうが!・・・と、私が怒ってもしかたがない。
この父と娘の間には、暗くて深い溝があるようだ。
個人主義のフランスだな~。

       ―――― ◇ ――――

ある朝、彼女から電話がかかってきて、至急来てくれと言う。
行ってみると、首がむち打ち症になったという。
あるイタリア人の男性に殴られたのだという。
彼女はその男性が好きで、フランスから日本にまで追いかけてきたのだという。
な~~んだ。
ちょっとがっかり。
それに、それじゃ、この私はどういう存在?

病院に連れて行って、コルセットをしてもらった。
彼女の首は常人より長め。
モリジアーニの女性みたいだ。
長めの首は、美人には見えるのだが、実生活面ではこういうふうに支障がでる場合があるようだ。
猪首の女性は幸運ですよ。(でもないか)

       ―――― ◇ ――――

しばらくして、何かが原因で私達は、いさかいをした。
彼女はフランス人特有のエゴイストで、それに感情的で激しい性格だから(女性はみんなそうかな?)、おとなしい?私も、ムカッとしたのだと思う。
思わず、平手で彼女の頬を叩いた。
叩いたとほんの軽くだけれど。
それでも女性家族で育った私のはじめての行為だった。

私が女性に手を上げたことなど無い。
もちろん、現在、私は深く恥じて後悔しているけれど、その時は、私の手が、勝手に動いただけなのだ。
(インド人みたいなことを言っているな、私は・・・)

その時の私の潜在意識に、例のイタリア人男性がハッキリ存在していて、彼が彼女を叩いたと言うことは、彼は暴力的なマッチョの性格で、その彼に強くひかれている彼女は、マゾの要素が、少なくとも彼にはあるのだろう・・・という勝手な考え・嫉妬心が一瞬閃いたのだ。

彼の真似をしたら、彼女は私を愛するようになるだろう・・・と。
愚かだけれど、瞬間の事で、理性ははたらかなかった。
しかし、彼女は当然怒って、私達の仲は終わってしまった。

       ―――― ◇ ――――

その後、ある夜、そのナイトクラブに行った。
彼女が相手ではまずい、と思ったので、他の女性を呼んでもらったら、彼女が強引に自分で私の席に来て座った。
そこで私達は何もなかったように会話を交わしていたのだけれど、私は心持ち、もう一人の女性の方と多く会話を交わしていたと思う。
すると、とつぜん彼女が私の手を取って、人目もはばからずに、彼女の柔らかな乳房に押しつけた。

私は、これで、彼女は私に帰ってくれると思ったのだが、この後で会った時、彼女は私を、まだ許さないと言った。
私は、それ以上はあきらめた。
一度、夜中に彼女の家の前までタクシーで行ったことがあったが、結局そのまま帰った。

あの胸に私の手を押しつけるという行為はなんだったのだろう。
私への独占欲だったのだろうか?
それとも、あきらめかけていた私に、もう一度彼女への執着を燃え上がらせておいて、冷たく断るという、手の込んだ残酷なことを考えていたのだろうか?

その後まもなく、私は海外出張をしたし、お嬢さんも日本にはいなくなった。
こういう風に、あの頃の私は出張だらけだったから、落ち着いて、「誠実で美しい愛」をはぐくむ環境にいなかった。
かえすがえすも、残念に思う。






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最終更新日  2009.04.17 15:38:39
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