「日本人は世界一ヘッドライトを点けたがらない人種だ」という記事を読んだことがあります。欧米では少しでも暗くなればヘッドライトを点けますが、日本では日没後も無灯火という非常識な車まで結構見かけます。
ヘッドライトはただ道を照らすという役割だけでなく、もう一つ「歩行者や対向車に自車の位置を知らせる」という非常に重要な役割を担っています。
よく暗くなってくと、とりあえずスモールライトを点灯することで満足してしまうドライバーも多いようですが(以前の私もそうでした・・)、スモールライトは車幅灯であり、車の存在を知らせるというよりも、車の大きさを相手に知らせるための機能であって、ほとんど意味がないようです。駐停車時にだけ使うように心がけましょう。
それでも晴天の日中に点灯するのは無意味だよと思っていませんか? 晴天の日には明るすぎて陽の当たっているところと日陰のコントラストが高くなることで、逆に陰の中のものが気がつきにくい瞬間があります。そういうときにヘッドライト点灯が必要とされるのです。
日中のヘッドライトを点灯することで、事故発生率で5%以上、都市部での歩行者との事故発生率で9%以上減少するとのこと。
ノルウェーなどの北欧やアイスランド、カナダでは日中のヘッドライトの点灯が義務化されています。緯度が高いので、太陽の高度が低いというのもありますが、やはり白夜の時など深夜まで対象物を照らすという意味でのライトの必要性は感じません。そのためアイスランドでレンタカーを借りた際、つい忘れてしまうので口癖のように「ライト、ライト、ライト」と言ってエンジンをかけるようにしていました。
こんなに点けているのならエンジンがかかったら自動的にヘッドライトが点くようにしたらいいのにと思ったら、カナダではエンジンを始動させると自動的に点火する仕組みDRL(Daytime-running Lamps)という装置があるそうです。
先進国ではここまで広まっており、実施国では大幅な交通事故減少が認められているのにもかかわらず、日本の警察庁では相変わらず早めの点灯を励行する運動をしているのみです。
こんな状況では「では明日から実践して昼間にヘッドライトを点けよう!」としたとき問題点がいくつかあります。
A. パッシングされる
これだけ昼間点灯が実施されていない日本で、先んじて日中ヘッドライト点灯を実施すると、あなたとすれ違うクルマが「ヘッドライト消し忘れてるよ」と丁寧にパッシングしてきてくれます。また状況によってはあおっていると思われることもあるかもしれません。
B. バイクの存在が目立たなくなる
クルマより先に日中点灯が実施されているバイクですが、日中点灯しているクルマの脇では逆に目立たなくなってしまいます。つまり2輪車両の事故増加が懸念されます。
C. ライトに目を奪われる
光軸の設定や坂の勾配の関係で対向車のドライバーや歩行者の目に直接ライトがあたって、一瞬ライトに目を奪われることがあります。
D. もったいない
世界的に有名になった言葉。「もったいない」。日本でライトを点灯するのが遅いのはこのためだとも言われています。ライトを点灯する電気は車内の発電機でまかないますが、その電気を作り出すために多少余分なガソリンが消費されてしまいます。
これらの問題点を合わせても、人命が救われることを考えれば昼間ヘッドライド点灯のメリットの方が大きいと思いますが、さらにこれかを解決できる方法があります。
LEDライトです。このごろたまに日中にタクシーや配送車のバンパーにヘッドライトとは違う明かりが点いているのを見ませんか?あれがLEDランプです。LEDライトは2W程度の消費電力(1/50位)で、現在のヘッドライト程度の明るさを確保できます。車検対応のものがPIAAからDAY TIME LAMPという名で商品化されています。
将来的ではこのLEDライトの標準装備を義務化してもらいたいものです。
とりあえず「夕方まだ明るいうちはスモール、十分に暗くなったらヘッドライト」は意味がないのでやめましょう(o`д´)ノ