遺失物遥か彼方の宇宙から、宇宙人がやってきた。「こんにちわ」 「こんにちわ」 僕はコーヒーカップをテーブルにおいて、深々とお辞儀をした。 宇宙人は礼儀に対してはとてもとても厳しいのだ。 「遺失物はありますか。何でもおっしゃってくださいな。私達そう言う仲でしょう。」 宇宙人はパンパンに膨れた大きなお腹から、小さなメモ帳を取り出した。 宇宙人は肩にかけている鞄から、いかにも高級そうな万年筆を取り出した。 僕は不思議と悲しくなってきた。 「ごめん。少し泣いていいかい。」 と僕は言った。 「どうぞどうぞ。人生が詰まっている人ほど、私の前ではよく泣くんです。好きなだけ泣いてください。」 と宇宙人は言った。 僕は宇宙人の前でしばらく好きなだけ泣いた。 |