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2007.07.29 楽天プロフィール Add to Google XML

サウジアラビアの日本語教育
[ サウジアラビア ]    

サウジアラビアにおける日本語教育について興味深いレポートを入手しましたので紹介します。これは6月27日にアラブ イスラーム学院で行われた「サウジアラビアと日本における教育」というシンポジウムの中で、カラム・ハリールカイロ大学教授が発表した報告です。カラム氏は現在、在日エジプト・アラブ共和国大使館文化参事官です。

○ サウジアラビアの教育制度は原則6・3・3・4年生と日本と同じですが、大学は5年及び7年のコースもあります。
○ イスラームの教義に基づき、小学校から大学まで男子校と女子校が分かれており、教員も男女別で教えている。私立学校の中には共学の学校もあるが、校舎は男子部と女子部に別れている。
○ 私立学校を除く、公立学校及び国立大学の授業料は無料であり、その上、小・中・高・大学・大学院の学生に対しては月々教育手当を政府が支給している。つまり就学生がいる家庭には国からお小遣いがもらえるということです。
○ サウジアラビアには全国で7大学しかありませんが、そのうち日本語教育コースがあるのは、キングサウード大学の言語翻訳学科 アジア言語学科 日本語専攻コースのみです。1994年2月に同大学文学部の付属機関である言語翻訳研究所で日本語専攻ディプロマコース(3年)として開講され、1998年9月からBAコース(5年)に昇格した経緯があります。

この言語翻訳学科は、ヨーロッパ言語学科とアジア言語学科から構成されています。ヨーロッパ言語学科には、英・独・仏・西・伊・露の6ヶ国語と比較的よくある言語群ですが、日本語専攻コースのあるアジア言語学科は、ペルシア語、トルコ語、ヘブライ語とかなり偏った言語群に見えます。それでもこの3語学はサウジアラビアの近隣国の言語であり、おかしくはない言葉ですが、その中に日本語が入っているのはかなり特異な感じがします。また今流行の中国語が入っていません。

○ カリキュラムは第一レベルから第十レベルまで分かれており、半年で1レベルを学習することになります。第6レベルになると、同時通訳、翻訳(軍事、経営学、薬学、光学、マスメディア)が、また第8レベルになると翻訳(政治学、教育、商業、安全保障、コンピュータ)というカリキュラムが含まれています。大学に入ってから初めて日本語教育を受けた学生が、3年生や4年生でかなり高度な内容のカリキュラムをこなす必要があります。

ただ日本語専攻コースを希望する学生は余り多くなさそうで、94年から98年のディプロマコースでは7名しか卒業していません。うち4名はそのままBAコースに進んだので、実際に就職したのは3名のみです。その就職先は、1名はトヨタのリヤド支店、1名はリヤド銀行、もう1名はサウジアラビアの航空会社となっています。トヨタはもちろん日本企業であり、多少なりとも勉強に関係があるかもしれませんが、残り2名についてはほとんど関係ありません。つまり、サウジアラビアでは日本語を使用する労働市場が非常に少ないということが問題点として挙げられています。このため、入学希望者も余り多くないという現状がありそうです。

現地の日本企業でサウジ人を採用することはかなり少ないと思います。20年前には日本企業が堂々と看板を出して仕事をするということも限定されていました。あくまでもサウジアラビアの企業の傘下でしか活動ができず、就業ビザもそのサウジ企業の名前でしか発給されませんでした(最近はかなり緩和されたと思いますが)。このため日本企業がサウジ人を雇うということは考えられませでした。せいぜいイエメン人とかインド人などを秘書やティーボーイ(お茶くみおじさん)などで雇うくらいでした。サウジとの合弁企業の場合は、お飾りのジェネラルマネージャーとしてサウジ人を雇うということはありましたが、実務は全て日本人が行っていました。
当時のサウジ人にとって働くというのは、実質オーナーになって店を切り盛りするか、幹部の一人になって経営に参画するということであって、ペーパーワークや営業マンとしてバタバタ飛び回るというような仕事は考えられなかったと思います。日本人感覚では、まず下っ端から仕事を覚えてもらい、そして幹部になり、経営にも参画してもらうという流れが必要と考えています。一方サウジ人にとっては、なぜ大学出の自分がペーパーワークや営業回りなどせねばならないのか、そんな仕事は出稼ぎ労働者に任せて、もっと高度な経営に関するノウハウや高度な技術を教えてくれないのかといった考え方の違いがありました。

この20年間の間にサウジ人の意識が変わったかどうか分かりませんが、相変わらず日本は高度な技術移転をしてくれないという問題が起こっているのを見ると余り変わっていないように思えます。一昔前であれば、高度な技術移転は日本の国益に損を及ぼすといった考えもあったかもしれませんが、現在はかなり高度な技術が中国や東南アジアなどでどんどん移転されてきています。
石油枯渇問題がじわじわと近づきつつあるサウジアラビアとしては一刻も早く日本の高度な技術を学び国家基盤を造りたいという焦りは理解できるものの、いきなり途中の段階をすっ飛ばして学びたいというところに問題があります。

じっくり勉強して欲しい日本と一挙に高度な技術を学びたいというサウジとの間のギャップは大きく、サウジ人の雇用問題はこれからも続くと思います。



最終更新日  2007.07.30 14:26:23
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