あま野球日記@大学野球
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2009年11月22日に行われた「セ、パ両リーグ誕生60周年記念試合・プロ選抜vs 大学日本代表」のこと。 ■1回裏、大学日本代表の先発・斎藤佑樹(早稲田大3年、早稲田実)は二死ながら 三塁に走者を背負っていた。 そして捕手・小池翔大(青山学院大3年、常総学院高)のサインに2度首を振った 直後、カウント2-2からプロ選抜の4番打者・新井貴浩(阪神、広島工高-駒澤大)に 投げた5球目は146kmの直球だった。 ただその直球は、捕手・小池が構えた外角ではなく、なぜか真ん中に入ってしまう。 「あっ!」そう叫ぶ間もなく、新井が叩いた打球はライト前への適時打になり、この一打 がプロ選抜唯一の得点になった。思わず天を仰ぐ斎藤・・・。 以下、斎藤の試合終了後のコメント。 「まっすぐで勝負したかった。球界を代表する長距離打者。見事に打ち返されました けど、それはそれでよかったと思う」そして「もう一度、真っすぐを磨きたい」と締め括 った。(斎藤のコメントは日刊スポーツより) ■「もう一度、真っすぐを磨きたい」というコメントは、だいぶ以前も聞いことがある言葉。 もっと速い球を投げることができれば『鬼に金棒』に違いない。ただ、なかなかそれが 実現できないのが焦れったい。 重心を軸足に残したままの投球フォーム(いわゆる「立ち投げ」)に問題あり!と指摘 する記事を見かけたことがあるが、はたして真相はいかに? 斎藤の強みについて、書籍『甲子園 歴史を変えた9試合』(企画・矢崎良一、小学館、 2007年4月刊)に面白いことが書かれていた。それは「間(ま)の取り方」だということ。 以下、一部を抜粋して引用。(書き手:中村計) 斎藤はちょっと誇らしげに解説する。 「間合いの取り方って、自分の中では3つあるんです。プレートにつくまでと、セットに入 るまでと、投球フォームの中と。その投球フォームの中の間合いでわかるんです。それ で打ってきそうだったらスライダーをワンバウンドさせたり、その逆に、打ってきそうも なかったら簡単にストライクを取りにいく」 (何やら「江夏の21球」で広島の守護神だった江夏豊が、投球フォームの中で近鉄・ 石渡茂のスクイズを察知。急きょカーブの握りのままウエストさせたという逸話を思い 出させるが) ■斎藤、どうやら間合いがわかる特殊なセンサーを持っているらしい。ただその感度は 右打者より左打者を相手にする時、若干反応が鈍る傾向にある。本人が認めるとおり、それを証明する出来事が2006年夏の甲子園、駒大苫小牧高との決勝再試合に あった。(以下も同書より) 9回表、無死一塁で左打者の3番・中沢を迎えた場面でのこと。初球、真ん中に入った スライダーをバックスクリーンに運ばれてしまう。この本塁打により土壇場で4-3と1点 差に追い上げられてしまった。 「打ってこないと思って簡単に取りにいってしまった。やっぱり左打者は難しいです。 自分が右打者だということもあって、右の心理のほうがわかりやすいというか、感じ やすいんです」 速球のスピードを上げることも大事だけど、斎藤固有の「間合い」にも磨きをかけること も今後の役に立ちそうだ。ちなみに駒大苫小牧高の中沢とは中澤竜也のこと。高校 卒業後は國學院大に進学している。
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