玉さま @ 歌舞伎座
うぅ~。待ちに待った今日の日・・・。10月以来の生・玉さま拝見。拝観@歌舞伎座。今日は、1等席を取ったら、1列目の花道真横が取れたので、玉さまを至近距離で見られるかなぁ~とワクワクしつつ、馳せ参じたわけです。職場の友人には、「1列目からのオペラグラスで、CHILLが美しいと熱狂している玉ちゃんの、しわやら、ひげやら、現実的なものを見てこい!」と言われていたんですがね。。。さてさて、12月の歌舞伎座は、玉様以外にも、中村 勘三郎さん, 勘太郎さん, 七之助さんと、歌舞伎を見ない人でも知っているこの親子や、これまた歌舞伎を見ない人でも素顔写真を見ればテレビで見て知っているであろう、中村 橋之助さんから、中村 福助さんなどが出ていた。歌舞伎初心者の私には、豪華な感じ☆実際、席についてみると、花道と自分の席に人一人くらい通れる隙間があるかしら?と思っていたのに、そんなの全くなく、席の真横が花道だった・・・。かつ、幕が開いてみると、舞台からス~~~~~っと冷たぁ~~い冷気が・・・。寒い!!演じる人は暑いですからねぇ。あのくらいでないと。ってわけで、私はコートを着てご観覧。さてさて肝心のお芝居、歌舞伎の方はと言いますと、今回は、1. 弁慶上使 (歌舞伎)2. 猩々 & 三社祭 (舞踊)3. 盲目物語 (歌舞伎)の3つ。ココで私があらすじなど語ってもしょうがないので、興味のある方は、ココの下にあらすじを引用しておきますので、読んでみてください。最初の弁慶上使(べんけいじょうし)は、浄瑠璃の三味線のふしに合わせて言う長台詞があったりして、まるで、台詞を歌っているよう。和製古典ミュージカルだ!!と思わず感動。あと、弁慶(橋之助)との『出会い~別れ』をおわさ(福助)が舞踊にて表現する箇所もあり、歌舞伎と言ったら台詞のみ!みたいな感じかと思っていた私にはとってもおもしろかった。古典と言えど、いろんな表現方法を多様しているのね。でも、この母親おわさ。目の前で、我が子が刺されて亡くなって、今までワーワー泣くわ騒ぐわしていたかと思いきや。そこに以前契りを交わしたものの、別れ別れになっていた愛しの人が、今目の前にいる弁慶だと分かって、いきなり涙も止まり、色めきだしちゃうところは、ちょっとうけた。何という変わり身の速さよ!!ま、それを見ていて、女ってあんなもんかもなぁ~って思ったり。今まで泣いてたかと思ったら、いきなりケロっとして、ぼりぼり何かを食べだしたり。そうゆうこと女性ってありませんか?次は、勘太郎&七之助兄弟の舞踊、猩々(しょうじょう)と、三社祭(さんじゃまつり)。この2作品は日舞の世界でもよく踊られるものなので、今まで何回みたか数知れない作品。まずぶったまげたのは、約20~30分の一演目を踊り終わって数分としない内に、次の演目をまた20~30分踊っちゃうと言うことだ。私にはもう無理ね~。体力的に。さてさて、この二人の舞台を見たのは、10年以上ぶり。私が多分高校生の頃で、富山で親子公演か何かあったんだよなぁ~。お母さんとおばあちゃんと3人で行って、帰りに天ぷら食べて帰ってきたっけ・・・。懐かしい・・・。その頃の彼らはまだまだ小さかったのに・・・。あんなに大きくなって、そして立派な踊りをするようになって、私は感激しました!!って、お兄ちゃんの方とは5つしか違わないのか。でも、私が16、17だったら、11か12でしょ。高校生から見たら小学生は随分かわいく見えたんだよなぁ。今となってはあまり変わらないけどね。さてさて、こちらは私の勝手知ったる舞踊ですから、しかと見させて頂きました。ただ、花道の真横の席で、舞踊の時って、舞台の上に所作台って言う板(高さ15cmほど)を乗っけるので。(足を踏んだ時、いい音がなるように中が空洞になっている板ね。)その15cmのせいで、舞台上の彼らの足元が良く見えず、かなり首を伸ばして見るはめになった・・・。運よく私の後ろの列(4席ある)には誰もいなかったので、遠慮せず首を伸ばさせて頂きました。後ろに人がいらしたら、邪魔になるからねぇ。でも、途中から首が痛くて痛くて。さて勘太郎さん(兄)の方は、元気いっぱいという時代を過ぎたのか、しっかりとふくみを持たせた踊り方で、すばらしかったと思います。七之助さん(弟)の方は、まだもうちょっと元気な感があったかな。だから早間のところを踊る時はそうでもないが、ゆっくりとしたところを踊ると、七之助さんが半間ほど早くなり、二人の間に若干のずれが生じる。でも、本当に二人とも上手。当たり前か、それで飯食ってんだから。。。これからが楽しみなご両人ですね。さてさて、最後は待ちにまった玉さま!!残念ながら、玉さまが花道をご利用になることはございませんでしたので、ごく間近では見られなかったものの、1列目よりオペラグラスを駆使し、しっかりと見させて頂きました。玉さま演じるお市の方(おいちのかた)に仕える、勘三郎演じる盲目の弥市。お市は、夫と息子を失って元気のない日々。そんな日々を弥市は、お市の方に肩もみ(療治)をしたり、三味線を弾いて歌ったりして何とか気を紛らわしてもらえないかと奮闘。弥市は、位の違う、お市にホの字なのですねぇ~。それをうまく歌にした弥市 『おもふとも そのいろ人に しらすなよ おもはぬふりで わするなよ』 しかし弥市の思いむなしく、お市は新しい人のところに嫁いでいくのです。でも、ちゃんと弥市、新しい嫁ぎ先にもお市に仕える者って事で連れて行ってもらえるんだけどね。弥市は、もちろんその歌の歌詞通り、お市への思いを伝える気もないので、近くにえていられるだけで幸せなわけ。そんな感じがまたせつない・・・。せつないついでに、新しい嫁ぎ先でも、戦が始まり、夫と共に自害するお市。行き場のなくなった弥市は、今で言うホームレスになるわけ。三味線一本持って。最後はそんな落ちぶれちゃった盲目の弥市が、湖のほとりで、三味線を持って、涙ながらに、お市に仕えていた幸せだった日々を想い、上記『思うとも、その色人に知らすなよ』と歌うのですが、亡くなったお市が湖か現れて、三味線を弾き歌う弥市に合わせて、お琴を弾き歌うのです。ま、このクライマックスに、お市が現れるのは、弥市の心情と言うか、思いの世界のでしょう。ほの暗い舞台に、蛍の光だけがきらめき、とっても幻想的な美しい舞台でした。そんで、玉さまですが、この高貴な人の役がとっても似合う。そして、亡き夫や息子を思い一人部屋にいる時の憂いを帯びた表情。でも、幼い3人の娘がやってくると、一転暖かい母親の顔。幼い子供を見る玉さまのは本当に優しくて本当のお母さんみたいだった!!そして、怒る場面もあったんだけど、そのキッとした表情。今回は、そんな玉さまの3表情(憂い,子を見る愛にあふれた表情,怒)に感激。ところで、上記で、三味線やお琴が出てきますが、本当に役者さんが弾いてるんですよ。すごいねぇ。みんなそんなこともお勉強なさるのですね。玉さまのお琴生演奏有り、ついでに玉さまの舞まで有り、物語自体もしんみりと、やわらかいようで切なく、とっても素敵な舞台でした。うるさくない舞台と言うか。品のある感じで。しんと降り積る雪の夜ような舞台と言うか・・・。これは、もう1回見たい!!最後のシーンなんて、しんみりと見てるほうも頬を涙がつたう感じでした。以下あらすじ = 歌舞伎座HPより引用 =1.御所桜堀川夜討 弁慶上使(べんけいじょうし)義経の子を懐妊し、乳人の侍従太郎(弥十郎)の館で静養中の卿の君のもとに、武蔵坊弁慶(橋之助)が、頼朝の上使として訪れます。その命は、平家出身である卿の君の首を討てというもの。侍従太郎は、腰元しのぶ(新悟)を身替わりに立てようとしますが、しのぶの母おわさ(福助)は、十八年前に一度だけ契った、しのぶの父にあたる人に娘を会わせるまではと、頑なに拒みます。実はその相手こそ、弁慶だったのですが……。女性と契ったのも大泣きしたのも、生涯にただ一度きりだったという弁慶。隈取り姿の豪快な荒事師が、心ならずも娘を手に掛け、「三十余年の溜め涙」と泣き崩れる。こってりとした味わいの義太夫狂言に、橋之助以下全員が初役で挑みます。 2.【猩々】水中に棲み、酒が無類に好きな聖獣、猩々。酒売り(弥十郎)が酒を用意して待っていると、まもなく少年の姿をした二匹の猩々(勘太郎・七之助)が現れます。酒を酌み交わし、興に乗って舞いを見せた猩々は、親孝行な酒売りに汲めども尽きない酒の壺を与えると、何処へともなく姿を消します。 【三社祭】宮戸川(隅田川のこと)に浮かぶ船に、網を打つ二人の漁師(勘太郎・七之助)。山車人形風のこわばった動きの後、二人は魂を得たように、機敏で滑らかな振りで踊り始めます。颯爽として優雅な猩々の舞いと、スピーディーで躍動感溢れる三社祭。対照的な舞踊を、息の合った勘太郎・七之助兄弟が踊り分けます。 3.盲目物語兄・織田信長に政略結婚させられたうえ、夫の浅井長政(段治郎)を殺されたお市の方(玉三郎)。その傷心の日々を慰めるのは、盲目の弥市(勘三郎)の療治と唄でした。弥市は密かにお市を慕っていますが、美貌のお市には、柴田勝家(橋之助)と木下藤吉郎(勘三郎)も、想いを寄せています。お市は勝家を選び嫁ぎますが、藤吉郎に攻め込まれた勝家とともに、自刃してしまいます。五年後。藤吉郎は豊臣秀吉と名乗り、お市の娘お茶々(七之助)を側室に迎え、心を癒しています。そして弥市は、落ちぶれの身をもてあましながら、いつまでもお市を想い続けていました。谷崎潤一郎の同名小説を、宇野信夫が脚色・演出。まさに適役の勘三郎・玉三郎コンビの当たり狂言であり、「思うともその色、人に知らすなよ」と唄う弥市の哀切さが、いつまでも胸に響く名作です。