Danke, Deeken
デーケン先生がお亡くなりになられた。88歳だった。「死生学」を提唱され、長い間、日本における終末期医療の普及に取り組まれた。今から、約30年近く前、私は、デーケン先生とお会いする機会があり、多くの話をさせていただいた。その当時、将来の目標や、人生設計などあまり考えられなかった私は、あまり人とも合わず、すべきことだけをただするという感じの生き方をしていた。そんなときに先生とお会いする機会があり、自分のことをお話しさせていただいた。何者でもない学生の私の話を親身に聞いてくださり、いろいろとアドバイスもしてくださった。初めてお会いした時、先生がどういった方かは全く知らなかった。何度かお会いするうちに、非常に高明な先生であることを知り、大いに恐縮した覚えがある。その後、数年後、偶然にも再会する機会があった。私のことをよく覚えてくださっていて、またそこで大いにお話をさせていただいた。理学療法士を目指して勉強していることをものすごく喜んでくださった。私は学生時代、将来は終末期医療にかかわる理学療法士になりたいと思っていた。実際、新卒で就職した病院では、その当時ではなかなか経験することのできないホスピスとでのリハビリテーション介入を行うことができた。「よくなる人をみる」医療という認識がリハビリテーションにはあったように思う。しかし、「よくなることがない人をみる」医療も存在し、リハビリテーションはそこにも介入するものであると知った。最後の時間をどう過ごすのか。そこにリハビリテーション、理学療法は何ができるのか。そのことを必死になって考える日々を送った。間違いなく、こういった道筋を辿れたのはデーケン先生にさまざまなことを教えていただいたことがあったからだと思う。人との関わりの中で考えるべきこと。自分がどう生きていくのか。さまざまなことを教えてくださった。もう何年もお会いしていなかったが、訃報を聞き、かつての思い出を掘り起こした。自分の道筋を作ってくださった。ありがとうございました。どうぞゆっくりお休みください。Sehr geehrter Herr Dr. Deeken, bitte ruhen Sie sich in Frieden aus.