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2006/08/03
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テーマ:愛しき人へ(908)
カテゴリ:家族と親戚の人々
キレイになりたい気持ちが最高の美容液。ワタシらしいワタシでいるために使っているものです


今日は私が大学生の時に亡くなったおばあちゃんの誕生日
私と同じウサギ年のおばあちゃんは生きていたら79歳
そのおばあちゃんの最期は悲しかったけれど
悔いなく看護できたという思いが家族にあったので
しみじみと死を受け入れるという雰囲気がありました

今日は、おばあちゃんの最後を謳った『れもん』を読み返してみて
時の癒しというものがあるんだなぁと
懐かしいような気分になりました


レモン色の涙

大好きなおばあちゃんが死んだのは、大学1年の初夏でした。
肝臓ガンで手術と入院を繰り返していた祖母は
どんなに辛い手術にも泣き言ひとつ言いませんでした

春の終わり頃には、黄疸が強く出て腹水もたまり
いよいよ末期的な段階に入りました
回復の見込みがないのなら
『せめて、自宅で安らかに眠らせてあげたい』
と、家族の誰もが願い
入院していた赤坂の虎の門病院のスタッフの協力を得て
自宅療養をスタートさせました。

居間にダブルベット置いて、夜は交代で添い寝をしました。
暗い部屋で祖母の隣で寝ていると、
いつか、この寝息が止まってしまうのではないかという不安で
胸がチリチリと痛くなりました。そして、
『 なぜ、善良な祖母がこんなに苦しまなければならないのか・・・』
という、怒りさえこみ上げてくるのでした。

ある日、祖母の身体をさすっていると、小さな声で何かつぶやきました。
そっと、耳を傾けると、
『 いつまでつづくんだろう・・・・ 』
小さな小さな声で、そうつぶやいたのでした。
祖母の目に涙が浮かんでいました。
つつうと一筋糸をひいてこめかみまでくると、その涙が耳たぶに落ちました。

黄疸のために、身体も爪も瞳さえもレモン色に染まっている祖母・・・
その祖母がポロポロと流す涙も、きれいなきれいなレモン色をしているのが
私をいっそう切なくさせるのでした。

それから数日後、祖母はまさに眠るように亡くなりました。
夫と子供、孫達に見守られて、住み慣れた我が家での静かな旅立ちでした。
今にも声を立てて笑い出しそうな、微笑さえ浮かべているその顔を見ていると
きっと、幸福な人生だったのだと思いました。

そう思うと、少し救われたような気持ちになりました。



 

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Last updated  2017/03/10 06:25:38 PM
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