
画像解説(左側のボルトが一般ボルト(4T)で右側のボルト頭に7の数字があるボルトが強力ボルト(7T)である。
自動車整備やパーツの取付についてプロとアマチュアの違いが最も出るのはボルトの締め方やあるいは締め付けトルクだと常々感じる。
問い合わせで多いのは、ボルトの穴位置が合わない等である。多くの場合たとえば4カ所の取付箇所を1カ所ずつ強烈に固定しながら締め付けている事により穴位置が狂ってしまう例が多い。4カ所ボルトを締め付けるのであれば、まず4カ所にボルトを手で回して軽く固定し全体を徐々に締めてゆけば問題なく締まるのに一度に1カ所ずつ強烈なトルクで締めるのでその影響が他に出てしまうのである。
次に多いのが手で回しただけなのにボルトが簡単に折れた!という問い合わせも時々ある。弊社で使用するボルトはJIS規格に適合したボルトを使用しているので通常では折れることは考えにくい。折れる原因としてはトルクのかけすぎか、あるいはボルトが取付物に対して直角ではなく少し斜めになっているのに気づかずそのままナットで締め付けていくと折れた!という類である。この斜めで折れやすいパーツはたとえば作業性が悪い場所や特殊工具がないと困難な穴位置にあるような取付に発生しやすい。たとえば弊社のあたらず君などは、穴位置をドリルで空けるが、取り付け位置の関係で注意しないとボルトが斜めになっているのに気がつかずそのまま締めてゆけばボルト&ナットは徐々に斜めの状態からまっすぐに直ろうとする力が働きその行き場を失った力がボルトにかかって折れてしまうのである。無理な力が斜め方向にかかればいかにボルトがJIS規格であっても簡単に折れてしまうのである。
ちなみに各ボルトのトルクはサービスマニュアルなどに標準トルクが記載されている。弊社でよく使うボルトについて参考までにここにトルクを挙げておく(許容範囲±10%)。ボルトに強度が特に必要な場合は強力ボルト(7T)を使うが、通常は一般ボルト(4T)を使用している。尚、フランジ付きボルト、ナットの場合は下のリストよりも10%高いトルクで締め付ける。
M5 一般ボルト(4T) 3.0N・m / 強力ボルト(7T) 4.5N・m
M6 一般ボルト(4T) 5.5N・m / 強力ボルト(7T) 10N・m
M8 一般ボルト(4T) 13N・m / 強力ボルト(7T) 23N・m
M10 一般ボルト(4T) 29N・m / 強力ボルト(7T) 50N・m
M12 一般ボルト(4T) 45N・m / 強力ボルト(7T) 85N・m
時々トルクを尋ねてくる方もいるが、当然ながらトルクレンチを所有していないとトルク数値は聞いても計測できないのでトルクレンチは必要になる。
ついでにトルクレンチの話をすると、トルクレンチには、その構造と種類によってプレート型・ダイヤル型・プレセット型などがあり、整備学校などで教える基礎的なタイプはプレート型である。実際によく使われているのはスリープを回してあらかじめ設定したトルクに達すると締め付け完了が音と手応えでわかりやすいタイプだ。アピオのメカニックが使用しているのもこのタイプである。
プレート型はふるくさいなあと先入観を持っていたが私が整備の国家試験に合格して弊社の尾上とトルクレンチの話をしていたときになるほどなあと思ったのは、このプレート型トルクレンチはアームが一枚の板バネで作られているのでそのたわみ量で締め付けトルクを直接読み取る構造故に使い込めば使い込むほどだんだんと数値をみなくてもトルクが手の感覚でわかってくるというもの。トルクレンチひとつとっても膨大な話になりそうなので今日はこのへんで・・・続く
Last updated
2006.08.08 14:58:14