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あずみの遊印~リンゴの小枝のはんこ屋2代目の悪戦苦闘

あずみの遊印~リンゴの小枝のはんこ屋2代目の悪戦苦闘

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2008/02/17
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 今年初めての書き込みである。もう2月なのに。まえまえからそうなのだが、ブログなど書いている余裕というものが現実的に全くなくなり、ご注文していただいているお客様にしても、あまりにも長く待たされるので、いらいらが募っているだろうと思い必死に仕事をしてきた。
 ただ、こうなってしまっている事情というものも少し書いておかなければと思う。

 リンゴの木の遊印の業界の現状ということから話は始まるのだが、はっきりいってこの世界はめちゃくちゃいい加減なはんこを彫っている人が多い。(と私は思う!)私が父のあとを継いでこの仕事を始め、周囲の人の仕事ぶりを見て、正直言って「こんないいかげんなものを売ってお金をもらっていいのか?」という疑問を強く持ったものだ。こう言っている私自身にしても、いまだに勉強不足、経験不足であり、人の批判をしている場合ではないことは自分自身よくわかっているつもりだ。しかし、「五分で出来ますから」、と言ってお客様をキャッチして二目と見られないようなひどいはんこを「可愛いのが(良いのが)できました」とか言って、お客様に押し付けるようなことは言語道断だと思う。はんこの良し悪しが本当にわかる人は非常に少ないのでこんなことが横行する。
 私の父の晩年の仕事に関して言えば、その内容は天才的な才能と、40年にわたる木彫りの経験を存分に生かしたもので、おそらくこんな職人は2度と現れないだろうと思うほど素晴らしいものであった。しかし、そんな父の仕事にしても、使うお客様の好みというものがあって、彫ってもらったけど気に入らないということは事実としてあった。まあ、父は自信満々だったから「おれのはんこが気に入らないやつのほうがどうかしている」くらいの勢いだったけど。
 私の出発点は「お金を1円でももらう以上は、誠意を尽くしたい」「作ったけど、気に入らないから使わないでおこう、とお客様が思うようなことは無くしたい」ということだ。
 そこでインターネットでは(それ以外の場所でも希望する方には)前もって印稿(版下)を見てもらって、確認を取ってから彫るということを実行してきた。このことによって、イメージと違うハンコが出来たということは無くなったと思う。
 しかし、一方でお客様が自分の希望通りのはんこが作ってもらえると勘違いすることも多くなってきた。私はなるべくお客様の意向を尊重して書き直しを繰り返しながらやってきたが、そうすることによって、線の勢いが無くなったり、不自然な字にになったりということもあるし、なにより、私は小さなはんこの中にバランス良く文字を配置するために、最初の段階からものすごい努力をして印稿を書いているのだから、それはそう簡単にささっと変更できるものではないのだ。(中には独りよがりな私に、実に的確に欠点を指摘して下さる具眼の士もいるが、そういう人はわずかだ。)だから、書き直しててくれと言われた時は、ものすごく時間がかかる。
 結論として、彫るのは私であり、私の作品なのだから、いかにお客様の要望とはいえその範囲を超えた変更はできないということだ。
 だから、申し訳ないが何でも希望が叶うというわけにはいかない。印稿を見ていただくのはお客様にとって不必要なものを作らないためのリスクヘッジという程度に考えていただきたい。(なんか大げさに書いたけどあたりまえのことだなあ。今まで何を苦しんで来たのやら)
 神経質な自分が腹立たしくなってきた。

 今、富山の大和で仕事をしている。朝の10時から19時の閉店まで、ほとんど休憩もとらない中で、実際に完成までいったのはたったの2本。あとはすべて印稿書きの仕事である。もうかるわけがない。
 しかし大好きな大好きな富山だし、大好きな大和だ。なんだかんだいっても好きな場所があるということは幸福である。





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最終更新日  2008/02/17 10:21:49 PM



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