競馬とモータースポーツは、血の繋がらない双子
数年前のこと、連合いに「あなたが好きな競馬とF1って、似てるね」と言われた。「競馬もF1もどっちも人が乗ってレースするんでしょ?」 ええっ?競馬とF1が似てる?そんな事考えた事も無いぞ。確かに両方とも、騎手やドライバーが乗って競うものだが、生き物と機械の塊りだ。それをひとくくりにして良いものか?……いやいや、よく考えるとこれは結構似ているかも。例えばこんなところ…[馬体(車体)]・競技専用の血統を持つサラブレッド(競技用にチューンされたり、競技専用の車体)・最低数万円~数億円レベルの購入費が必要(上級グレードのシャシー・エンジンは底なし…)・気性により扱いやすい馬(車体)やワガママな馬(車体)がいる・似たような姿、形なのに戦闘力に歴然とした差がある[オーナー(スポンサー)]・購入、維持費はオーナー(スポンサー)が負担する・オーナー(スポンサー)は命名権を持ち、専用ユニフォームを騎手(ドライバー)に着用させる・オーナー(スポンサー)は騎手(ドライバー)の起用に一定の権限を持つ[騎手(ドライバー)]・騎手(ドライバー)は小柄で軽い方が有利・ヘルメット、風防、オーナー(スポンサー)専用ユニフォーム、対衝撃用プロテクターを着用・競技生命は18才~50才台くらいまで可能・腕が良ければ馬(車体)の性能が多少劣っても勝つ事がある・親類や親子で同じ競技をする事が多い・男女の性別に関係なく同一条件で戦う[厩舎(チーム)]・馬(車体)を調教(チューン)・維持(メンテナンス)し、勝つ事が仕事・調教師(オーナー/テクニカルディレクター)/調教助手(テストドライバー)/厩務員(メカニック)等の職種がある・時にはオーナーに逆らった騎手(ドライバー)を起用する事もある・頼んでも騎手(ドライバー)に騎乗を断られる事がある[レース]・閉鎖されたコースで開催され、観客動員数は最高10万人前後・グレードによって賞金に差がある・様々な距離のレースがある・主に欧米が本場だが、オーストラリアを含むアジア、中東などでも開催される・天候、展開に結果が左右される・G1とF1はなんか似てると思ったら、Fの次はG(無理やり) …おおっ!なんだかソックリに見えてきた!考えて見れば、ガソリン車は「馬なし馬車」と呼ばれていたのだし、創られた当初から競争があった。競馬もモータースポーツも英仏が本場で、当初は上流階級の紳士の社交場だったのだ。似ているのも当然か。なんだ、競馬とモータースポーツ両方好きなのは、当たり前の事だったのだ。 …まてよ、さらに考えてみると、本当に似ている所は他にあった。それは…「負けても言い訳が出来る」という事だ。アスリート本人が競い、結果が明白に表れる個人競技と違い、馬、車体、チーム、ドライバーのどの条件で勝ったり負けたりしたのか、判然としない。「馬(車)がこれじゃ、勝てない」、「騎手(ドライバー)が下手で負けた」と、どちらも正しく、どちらも間違っているその曖昧さが、競馬やモータースポーツの特殊性であり、類似点なのだと思う。また、それこそがファンを引き付け、論議する興味を生むのだから。(第二校/16:22)