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橋本省兵(しょうへい)は1912年(大正元年)…あのイギリスの豪華客船『タイタニック号』が氷山にぶつかった日に神戸で生まれた。 父親は貿易商を営んでおり、海外へ渡航することがしばしばあった。 彼が3歳になった時、一家は父親の商用で、一時期イギリスへ移住することになった。 時代は第一次世界大戦の最中(さなか)だったため、西ルートでイギリスに渡ることは叶わず、東向きにパナマへ向かい、そこで少し小さめの船に乗り換え、パナマ運河を通過し、また大西洋側で大型船に乗り換えてイギリスへ向かうという大変なルートとなった。 一家はまず神戸港から出港する大型客船で渡英することになっていたが、3歳の省兵は初めて見る大きな船にスッカリ圧倒され、怖がって大泣きをしてしまった。 「乗りたくない」とむずかる省兵を両親は宥めすかし、やっとの思いで一家はその船に乗船することが出来た。 それが省兵が憶えている一番古い記憶だった。 船に乗り込んでしまうと幼い省兵はその広さに大はしゃぎし、2つ上の兄と共に船内を駆け回った。 母親はそんな二人の子どもたちの後を追うのに必死だったが、おかげで二人は船がパナマに着く頃には一等船室のほとんどの客と顔見知りになっていた。 父親は船の中でも大日本帝国軍の将校と共に、英国人と商談をしていた。 今回の商談は、日英同盟に於いて戦争が絡んでいたので、軍の計らいで一等船室で旅をし、連日その一室で商談が繰り広げられていた。 橋本一家はイギリスに滞在し、英国との直接交渉を進める任を国から与えられていた。 そんなことはまだ幼い省兵たちには知るところではなかった。 ただ広く遊び場には事欠かない船の上で無邪気に遊びまわるだけであった。 To be continued... ![]() ついでにコチラもポチッとお願いします→ ![]() 掲示板の方でぶちぶち独り言も呟いていますので、お暇だったらお付き合いくださいませ。 [連載小説]カテゴリの最新記事
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