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それから数年は慎ましやかながらも穏やかな日々が続いた。 週末には省兵の兄もやってきて、一緒に食事をしながら団欒を楽しんだ。 残念ながらそこに父の姿はなかったが、離れ離れになっていた家族がようやく一つに戻った幸せを誰もが感じていた。 しかしその幸せも長くは続かなかった。 世界大恐慌、関東大震災、昭和金融恐慌と不安材料がそろっていた時代に、日本経済は底なし夢魔に嵌っていくかのように暴落していっていた。 そのため、パン作りの材料も仕入れが困難になっていた。 さらに一家を襲ったのは近隣住民からの嫌がらせだった。 省兵の妻と妹が日本語を上手く話せないために、周りの人間から迫害されるようになった。 それまでは好意的だった人々が突然牙をむき出しにする……それほど人々の心は荒んできていた。 またその経済恐慌の波は叔父と兄の会社をも襲った。 叔父は会社の所有する倉庫で首を括った。 兄はその後始末と会社の倒産手続きに奔走し、過労から肺病を患って倒れた。 省兵は決心した。 この状況を救うためには、軍に志願するしかないと… 斯くして省兵は大学を辞め、家族を再び母の実家へ送り返し、自分は軍に志願して日本帝国軍第10師団歩兵第10連隊に配属された。 中国で支那事変が勃発した年のことだった。 To be continued... ![]() ついでにコチラもポチッとお願いします→ ![]() 掲示板の方でぶちぶち独り言も呟いていますので、お暇だったらお付き合いくださいませ。 [連載小説]カテゴリの最新記事
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