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省兵は軍に入り、訓練を受けた。 一日何十キロも歩いて移動させられるなど、今まで学問ばかりに勤(いそ)しんでいた省兵にとっては始めの頃はきつい毎日だった。 省兵と同時期に入隊してきた中に藤岡というまだ10代半ばの少年がいた。 負けず嫌いで勝気なその少年は、訓練がどれほどきつくてもへこたれずに必死で立ち向かっていた。 その姿を見て省兵もまた気を引き締めて訓練に臨んだ。 少年は少し生意気な感じもするが、物怖じせず、人懐っこい一面もあったので、一回りも違う省兵にも親しく声を掛けてくるようになった。 最初は今までいた狭い研究所とはまったく違う世界に戸惑い、中々馴染むことが出来なかったが、だんだんと周りの人間とも話を出来るようになっていった。 それでも藤岡少年を相手に「本当は大学院で研究を続けたかったんだけど…」と思わずこぼしてしまうこともあった。 しかし自分の家族については、結婚していると言うこと以外は決して話そうとしなかった。 大阪で疎外された家族の苦しみは、まだ心の中に深く残っていた。 大学を卒業している省兵は軍の教育を受けて、見習士官という立場になった。 まだ幼い藤岡少年は羨ましそうにしていたが、彼もまた生来の負けん気で勉強を重ね、伍長、軍曹、曹長と着実に階級をあげ、新兵を教育する教官になっていた。 もともと学者であり、戦いの方にはさほど熱心になれなかった省兵は少尉になったものの、それ以上階級を上げることはなかった。 そして1940年、年も違い、性格も異なる二人の将校と下士官は、共に満州へ駐留することとなった。 To be continued... ![]() ついでにコチラもポチッとお願いします→ ![]() 掲示板の方でぶちぶち独り言も呟いていますので、お暇だったらお付き合いくださいませ。 [連載小説]カテゴリの最新記事
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