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2007/01/28
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カテゴリ:映画
 そろそろアカデミー賞の季節だが、今年はどの映画が受賞するやら。
 映画は割合たくさん見てきたつもりだが(ジャンルに偏りはあるかもしれないが)、好きな作品を挙げろといわれたら、挙げられる数にもよるが、「イングリッシュ・ペイシェント」が入ると思う。この作品は1997年のアカデミー賞9部門(作品賞、監督賞=アンソニー・ミンゲラ、助演女優賞=ジュリエット・ビノシュ、撮影賞、衣装賞、美術賞、編集賞、音楽賞、音響賞)を受賞している。
 まあアカデミー賞云々というより内容で気に入っているんだが、不倫はけしからんとか、この映画にはコロニアリズム臭がするとか、主演女優があまり魅力的でないとか野暮な話は無しということで・・・。
 ただいつも感じるのだが、邦題の横文字タイトルは気に入らない。なんで「英国人の患者」じゃなくて「イングリッシュ・ペイシェント」なんだ?

(あらすじ)
 1944年、第二次世界大戦後期のイタリア、トスカナ地方。カナダ人従軍看護婦ハナ(ジュリエット・ビノシュ)は、数年前に北アフリカでドイツ軍に撃墜され全身に大火傷を負った謎の男(レイフ・ファインズ)に出会う。カナダ軍の移動野戦病院に収容されているこの男は怪我で記憶を失っており、身元不明のまま「英国人の患者」と呼ばれていた。
 恋人や友人を戦争で失い傷心のハナは部隊を離れ、荒廃した修道院で瀕死の男を看取ろうと決意する。そこにはイギリス軍地雷処理班のインド人キップ少尉や怪しげな男カラヴァッジオ(ウィレム・デフォー)も現れ、奇妙な同居生活が始まる。カラヴァッジオは男の過去を知っていて、彼に恨みを持っているふうである。
 ハナの看病を受けるうち、男の記憶は徐々に蘇ってくる。自分がハンガリー人で、戦争が起きる前にはイギリス人たちと北アフリカのサハラ砂漠を探検調査していたこと、そして共に探検に従事したイギリス人の美しい人妻キャサリン(クリスティン・スコット・トーマス)と、激しい不倫の恋に落ちていたことを・・・・


 原作(読んでないんですが)はスリランカ系カナダ人のマイケル・オンダーチェの「英国人の患者」で、1992年のブッカー賞を受賞している。
 この原作の主人公アルマシーには実在のモデルがいたということをつい最近知ったので、その人について書こうと思う。多少映画のネタバレになるので、映画を見てから読んでもらったほうがいいかもしれません。

 その人物はアルマーシ・ラースロー・エデという人物で(ハンガリーでは苗字が前に来る。また原語での発音はアルマシーではなくアルマーシに近い)、1895年にオーストリア・ハンガリー帝国のボロスチャーンケ城(現在のオーストリア領内、ベルンシュタイン城)に生まれた。城に生まれたということから分かるように、彼はハンガリー系の貴族の家柄である。ただしアルマーシ家がベルンシュタイン城(現在は古城ホテルになっている)を購入したのは彼が生まれる3年前のことで、貴族といっても爵位はなかった。
 彼は少年時代にイギリスの航空学校に留学し、当時としては非常に珍しい(ライト兄弟が人類最初の動力飛行に成功したのは、彼が7歳のときである)、パイロットのライセンスを得た。そのため第一次世界大戦にはオーストリア空軍(イギリスとは敵方だが)のパイロットとして従軍している。
 オーストリア・ハンガリーは大戦に敗れ、王家ハプスブルク家は追放され、オーストリアとハンガリーも分離して領土の多くを失った。ハンガリーで共産主義者と王制主義者の内紛が続く中、アルマーシはハプスブルク家最後の王カール1世のハンガリー王復位運動に二度加わったが、いずれも失敗した。このときアルマーシはカールにより私的に叙爵されたらしく、彼は伯爵を自称するようになった。
 アルマーシはオーストリアの自動車会社のハンガリー支店長になり、同時に多くのカーレースに出場して優勝した。またこの頃からエジプトに興味を持ったらしく、狩猟仲間と共にエジプトに狩猟旅行に出かけるようになった。1929年には自動車会社の宣伝も兼ねたエジプトでの砂漠レースに参加しており、これが彼のサハラ砂漠探検の最初となる。なお当時のエジプトはイギリスの保護下にあった。

 最初は趣味や自動車販売の宣伝を兼ねたエジプト探検だったが、本格的な調査旅行を行うようになる。
 1932年、探検資金出資者でもあるイギリス人ロバート・クレイトン卿、パイロットのペンダレル大佐、リチャード・バーマンと共に、伝説のオアシス都市ゼルズラ(13世紀の書物に言及され、サハラ砂漠東部にあったという)を目指し、エジプト・リビア国境砂漠地帯の探検に向かう。当時24歳のロバート・クレイトンが、小説の中でジェフリー・クリフトンとして登場し(映画ではコリン・ファースが演じている)、彼の妻キャサリンと主人公が不倫する設定になっている。なおこの探検はエジプトの王子にも支援されていて、自動車のT型フォードと飛行機を使った画期的なものだった。
 彼らはエジプト・リビア・スーダン三国の国境が接するウウェイナト山で、先史時代の洞窟壁画を調査した。映画で「泳ぐ人の洞窟」として登場するこの洞窟自体は、以前から砂漠の遊牧民ベドウィンに知られており、既にエジプト王子により1921年に「ナショナル・ジオグラフィック」誌上で紹介されていた。先史時代のサハラ砂漠は緑に覆われており、キリンやカバ、船の壁画があることから、人が泳げるような川が流れていたと想像されている。またアルマーシは、彼らが発見したワディ・タルフこそが伝説のゼルズラであると主張した(異論もある)。アルマーシは案内のベドウィンたちにアブ・ラムラ(砂漠の親父)と呼ばれていた。
 ところがこの探検は悲劇に終わった。出資者であるクレイトン卿が、調査中に砂漠蚊による急病が原因で死亡してしまったためである。なおクレイトン卿の未亡人ドロシー(24歳)は翌年夫の遺志を継いで砂漠探検に参加したが、同年イギリスに帰国した直後、原因不明の墜落事故で死亡しており、オンダーチェはこの事実に基づいてストーリー(アルマシーとキャサリンが砂漠探検中に不倫の恋に落ちるが、二人の関係に気付いた夫のジェフリーが二人を殺そうと飛行機で突入する)を設定しているようだ。
 アルマーシはまた、スーダンでマジャラブと呼ばれる部族を発見している。彼らはイスラム教徒であり言語的にも風貌的にも全くアラブ人と変わらないのだが、祖先がハンガリー(マジャル)人であるという言い伝えを持っていて周囲からも特別扱いされており、おそらく16世紀にオスマン帝国がエジプトを征服した際に従軍したハンガリー人部隊が土着したのだろうと推測される。
 アルマーシは1934年にハンガリーでこの探検の見聞録を出版、1939年にはドイツ語訳が出版されている。砂漠の中での洞窟壁画発見というセンセーショナルなこの本は、ウウェイナト山周辺の記録としても貴重な文献となっている。なおこの本の中ではなぜかクレイトン卿の名前が出てこない。発見の名誉を独り占めにしたかったのか、それとも他に理由があったのか。

 その後アルマーシはドイツ人民族学者レオ・フロベニウスらとサハラ探検を続けると共に、エジプトで飛行機操縦の教官として働いていた。ところが1939年に第二次世界大戦が勃発、彼は故国ハンガリーに帰国した。ハンガリーはイギリスの敵であるナチス・ドイツと同盟したため、イギリス支配下にあるエジプトに居られなくなったのである。
 エジプトを含む北アフリカは、イギリスとドイツ(本来はイタリアの助太刀に過ぎないのだが)の戦場になった。エジプトの地理に通暁するアルマーシを、ドイツが放っておくはずがない。ドイツ軍防諜部は彼をスカウトし、アルマーシはハンガリー空軍予備役将校の身分でドイツ空軍に属し、ドイツ・アフリカ軍団に加わった(彼はナチスの信奉者ではなかったが、映画の設定よりも能動的にドイツに協力したようだ)。ワディ・ハルファにあったクラブ・ゼルズラの仲間たちはイギリス軍の将校となったので、アルマーシは旧友たちと敵同士になった訳である。
 彼の活動は明らかにされていないが、ドイツ軍がハンス・エップラー他一名をサハラ砂漠経由でエジプトにスパイとして送り込んだ「サラーム作戦」に、彼が関与したことは明白だとされる。ドイツ・アフリカ軍団の司令官エルヴィン・ロンメル将軍がアルマーシに鉄十字賞を授与したことからも、彼の活動が想像できる。
 1943年にドイツ軍は北アフリカから一掃され、アルマーシはハンガリーに戻った。バルカン半島諸国に駐在していたらしい。戦争末期、ハンガリーがドイツに対し抵抗を始めると、アルマーシはイギリス軍情報部に情報を提供していたようである。1945年にドイツは降伏、祖国ハンガリーはソ連軍に占領された。
 戦後アルマーシはドイツ軍の協力者としてソ連軍に逮捕され投獄された。まもなく釈放されたが、故国ハンガリーではソ連の後押しで共産主義政権が樹立された。アルマーシは馴染みのエジプトに渡って自動車会社のポルシェ社駐在員として働いたが、以前のように砂漠探検をする資金も気力も残っていなかった。
 アルマーシはオーストリア滞在中の1951年に赤痢に罹り、ザルツブルクの病院で死去した。享年56歳。1995年、ハンガリーの民族主義者がザルツブルクにある彼の墓の墓碑を新調したが、そこには「パイロット、サハラ探検家、ゼルズラの発見者ここに眠る」と記されている。

 気になるのは、彼が小説や映画のようにクレイトン夫人と不倫の恋をしたのかということだが、おそらくそういうことはなかったろうと思われる。彼は生涯結婚しておらず、同性愛者だったという話もある。彼が映画版の主演レイフ・ファインズのようないい男だったかどうかは、こちらのページで見てみて下さい。画像が小さくて分かりにくいかもしれませんが。あるいは(写真ではないが)こっち
 ちなみに映画の話に戻ると、この映画でアカデミー賞助演女優賞を獲得したジュリエット・ビノシュは、1999年に生まれた娘(父親はフランスの俳優ブノワ・マジメル)に、この映画での役柄にちなんでハナと名付けたそうだ。






最終更新日  2007/01/29 10:16:12 PM
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■コメント


 Re:「英国人の患者」のモデル(01/28)   Thucydides さん
私もこの映画、好きです。たまたま3本でいくら、と安売りしてたDVDの中にあったので買って見てみました。主人公に実在のモデルがいたなんて思ってもいませんでした。彼が名前を名乗った際に、笑われるシーンがありましたが、あれが印象的です。 (2007/01/29 06:38:24 AM)

 Re[1]:「英国人の患者」のモデル(01/28)   artaxerxes さん
>Thucydidesさん
>私もこの映画、好きです。たまたま3本でいくら、と安売りしてたDVDの中にあったので買って見てみました。主人公に実在のモデルがいたなんて思ってもいませんでした。彼が名前を名乗った際に、笑われるシーンがありましたが、あれが印象的です。
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 まあ主人公のような破滅型にはなりたくないですけどね(笑)。いいのはあくまで映画の話として。

 ずいぶん複雑なストーリーですが(映画では特に過去と現在の場面が交互に出てきますし)、よく出来ていると思ったらちゃんとベースがあったわけですね。

 レイフ・ファインズは「太陽の雫」という映画でもこれと同時代のユダヤ系ハンガリー人の役をやってます。
 ハンガリー語はヨーロッパでも結構異質な言葉なので、ラテン語文化を基礎とするヨーロッパ人には異質に思えるのかもしれませんね。ハンガリー語はあまり抑揚がなくて、聞いていても奇妙に聞こえますし(まあアルマシーはハンガリー人らしく、英語もドイツ語も堪能ですが)。

 ヨーロッパ人の話ですが、映画とかでアジア人がひょいと出ると釣られて笑うのは(悪気は無いんでしょうが)感じ悪いですね。
 中国映画の「Lovers」見てたときも、悲しいラブストーリーなのに場内は大笑いでしたからねえ。まあ笑っちゃうようなわざとらしさだったというのも事実なんですが。
(2007/01/29 04:37:03 PM)

 Re:「英国人の患者」のモデル(01/28)   iskender さん
うちの夫婦の間で子供につけたい名前の1つが、このハナだったりするんですねぇ。。。(笑)
コレだと、ノルウェ~語でもあるし、日本でもあるし。
英国人の患者の準主人公の名前だったとは。。。 (2007/01/30 03:50:15 AM)

 Re[1]:「英国人の患者」のモデル(01/28)   artaxerxes さん
>iskenderさん
>うちの夫婦の間で子供につけたい名前の1つが、このハナだったりするんですねぇ。。。(笑)
>コレだと、ノルウェ~語でもあるし、日本でもあるし。
>英国人の患者の準主人公の名前だったとは。。。
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 僕の知り合いの妹さん(日独ハーフです)もそういう名前です。やはり両方に通じるというのはいいですね。
 ちなみに朝鮮語では「1(の序数形)」という意味があるらしいので(「ハナから・・・」のハナはそこから来たという説もあるそうですが、どうなんでしょうね?)、第一子ならばなおぴったりかも(笑)。
 ちなみにジュリエット・ビノシュ(僕の好きな女優の一人です)にとってはハナちゃんは第二子でした。

 ハナは確かもともとはヘブライ語の名前ですよね。それについては上のThucydidesさんのほうが詳しいです。 (2007/01/30 05:18:12 PM)

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