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SAROMAN BLUE 鈴木健司

SAROMAN BLUE 鈴木健司

13野辺山ウルトラマラソン完走記~第2章~

今までは下りだけのコースだったので、平坦でも先程よりも軽快感はなくなる。リズムの違いにちょっとした坂道でも歩きたくなってしまう。今回は貯金もあり、歩いても良いと決めて緩やかな下りが出てくるまでは辛抱した。川沿いを行くので、吹き始めた風が前や横からカラダに当たる。動けているので寒くはないが、空には少し厚みのある雲が出てきたようだ。

53km.jpg

山間に入ると風は収まり、また陽射しの強さを感じる。58キロでの着替えにはあと1時間。時刻としては12時くらいなので、まだまだ暑さは続きそうな感じだ。

54キロへ向けて集落を抜けていく。コース上に自販機が目立つ地域なので、コーラを買ったりする姿も見える。いつも羨ましい感じもするが、小銭は持っていかない。飲み切るには多いし余ったら勿体ない精神がそうするのかも(笑)

さてまたまたトイレにも行きたくなってきた。50キロの出発も長居せずにきたので、この区間はゆっくりでもいい。また55キロからの登りを走れる体力を蓄えよう。分岐が見えてくるとエイドがある。トイレには先程のくまのプーさんが。この格好では大きい方はできないらしい。大変だ、絶対に真似できない。

ここでは約5分をトイレ待ちとエイドで費やした。ポーチのショッツ残量を確認!あと1本分だ。よし!ここで飲み切ってしまおう!次の58キロには荷物を預けてある。そこで補充ができるので、ポーチの中身をすべて使い切り後半用に詰め替える。ここからの登り3キロちょっとをこの1本で走ってやろう!

エイドを離れ、折り返してくるランナーを見ながらの登りが始まる。すぐに55キロが出てくるのはわかっていたので、タイムを確認しながら走る。

55キロ 6時間55分54秒 48分11秒

50キロエイドで約10分・トイレで5分なので、この5キロは33分で走っている計算だ。ゆっくり走った割りには良いペースだな。もう少し貯金を使うかと思ったがやはり走れているようだ。

55km.jpg

折り返しに向けては戻ってくるランナーの中に『CEP姿』を探す。そう、『CEP=お客さん』だったりするからだ。もちろん逆に僕を見つけてくれて向こうからも声が掛かる。ダラダラと続く登りを走るのに気を紛らわせて貰えるので、淡々としたリズムではあるが走って登れている。

徐々に風が強まっているようで、戻ってくるランナーは顔をしかめて前傾になりながら走っていた。この風は冷えるかな?それともまた雨かな?

折り返してから計測ポイントとなる60キロを横に見ながら走る。あと1.5キロくらいだ。あと15分あれば到着するかな?ジワジワと続く登りの先に折り返しらしき建物の屋根が見えてきた!あそこだ!折り返しのランナーの中に石橋くんと礒谷くんの姿はなかった。もう行ったのかな?

エイドには7時間20分くらいに到着した。するといましたいました石橋くん。休憩時間を10分と決めて荷物を貰い、まずはスペシャルドリンクの為の水をゲットしに。荷物を離れた場所に置き、2つコップを貰う。

補給の前にまずは着替え!ウエアのチェンジはまずは肩バランスを脱ぎ、裸に心拍ベルト姿になった。そしてファイントラックのフラッドラッシュスキンメッシュを着てから再びアディダスTシャツを着て完了!長袖は使わずに、新しいアームウォーマーにチェンジしてポーチに差し込んだ。

続いて補給!シェイカーに水を移し、ザバスプロテインアクアアセロラを投入し軽くシェイク!そしてショッツワイルドベリーを2本入れて更にシェイク!ゴミはコップの中に入れる。そして一気に飲み干す!『う~ん!旨い!やっぱりこれだね!』あと15キロごとのアミノダイレクト5500を忘れずに!

ポーチの中身をチェンジして、フラスク・グミ・アミノダイレクト5500・ベスパオーガニックを詰め込みまたポーチは満タンだ!これで87キロまで行く。

そしてここでは腰のケアも忘れない!それはBodyLightクリームだ。筋膜を緩めてくれるので、かなり可動域が良くなる。タイツの中に手を突っ込みながら腰からお尻をマッサージした。余った分は肩周りにも。

石橋くんは脚の痛みが出てきたようで『痛いです・・・完走は無理かもしれません。』というので、『まだ全然間に合うでしょ!痛くない痛くない!行くよ!』とはっぱを掛けた。だって諦めるにはまだ早い。これから下りだし、馬越峠も歩ける余裕がある。

10分の休憩後いざスタート!到着のランナーにお客さんを見つけてエールを送る。『まだまだ大丈夫ですよ!時間ありますからね。』石橋くんを先に行かせる。『痛い痛い!』と言っていたけど、走れるじゃん!と背中を見ながら下り始めた。

sさん.jpgかきかなさん.jpg

次は60キロになる。下りでリズムを作り、また分岐点以降の登りに備えたい。折り返しに向かうランナーにも声を掛ける。

60キロ 7時間45分51秒 49分56秒

着替えに10分使ったので、実質40分で走れている。折り返しまでは基本登りが多かったので、このくらいのペースで問題ない。50キロ以降に約50分のラップを刻んでいるが、走るペースは変わっていないので焦る必要はない。50キロ地点では約15分の貯金もあったし、また60~65キロで40分を切って走れれば問題ないのだ。

単純に残り40キロで6時間15分ある。登り坂の厳しい所が出てくるが、キロ9分で走っても間に合うという点ではかなりの貯金だ。次の5キロでまた貯金を貯めよう。

登ってくるランナーに礒谷くんの姿を発見!かなり後方だ!『トイレ待ちで20分ですよ!20分!』とすれ違いに発していた。石橋くんに聞くと35キロの稲子湯でトイレ休憩をとったようだ。13時間で完走をしている礒谷くんだったので後半追い付いてくるのを期待した。

8時間を経過した頃、石橋くんと並走する。鈴:『どう脚は?』石:『膝だけじゃなくて他も痛いです・・・』鈴:『でも走れてるじゃん!痛いと思うから痛いんだよ!はい、顔上げて前向く!痛く?』石:『・・・ないです(苦笑)』鈴:『よし!頑張ろう!(笑)あと残りはキロ9分で行けば間に合うから!今どのくらいのペースだと思う?キロ7分ちょっとだよ!貯金貯金!』と弱音を吐く石橋くんを励ましながら走る。

石橋.jpg

エイドは63キロまでないが、地元のおばあちゃん達が麦茶を振る舞ってくれている。冷たいのではなく、温めの麦茶だ。『よく走るわね』と呆れられながらもエールを送ってくれた。まもなく分岐点に戻ってくる。そして少し平坦が続きエイドとなる。

65キロ 8時間23分47秒 37分56秒

この5キロは折り返しからの下り中心になっているので、37分台でこれまた大幅な貯金だ!この先80キロまではまた登りしかないので次は50分掛かっても良い計算だ。

それでも走れる坂は走っておかないと!前を走る石橋くんに追い付きながら、『ここは走るぞ!』と声を掛けて進んだ。時折出てくる平坦と下り坂ではリズム良く走った。

そして68キロエイドに到着。滝見の湯まであと3キロだ。トイレ休憩を考えたが、先客が1名。並んでみるが次にしようとパスをする。そしてここで3回目の天然アミノ酸ZENの投入だ!スーパードライブ&リロードの8粒を流し込む。ここまで内臓疲労は全くなく快調に食べられている。この先はキツい登りが始まるので、石橋くんに『登りが始まるまでは走るぞ!』とまたまた気合いを入れる。

先には壁のような坂が。距離は短いものの、激坂を前に前回や前々回を思い出す。

前回は71キロに9時間30分で到着するために、電柱走りでひたすら前へ前へと走った。リズムを作り、貯金を作るために必死だった。その後無理が祟り失速。そして前々回はとても走れる状態ではなかった。道端で膝に手をやり嘔吐してしまう。フラフラになりながら前に進んでいた。

そして今年は・・・時間のゆとりは歩いていて良い程たくさんあるわけではない。しかし体力にはゆとりがかなりある!ここは確実に歩いて前に進み、走れるところを見極めて走ろう。

登りは走れるところだけ、数十メートルでも走った。この先ももう少しだけ厳しい勾配が続く。70キロ計測ポイントは坂道の途中に設置できないので、70.5キロくらいにある。計測を抜けると約5分で71キロのゴールに到着する。

70キロ 9時間14分44秒 50分57秒

登り続きのこの区間はキロ10分掛かっている。しかし滝見の湯の出発時間を9時間30分と決めていたので、9時間20分では到着できる目処がたったので安心していた。

滝見の湯9時間30分ならば、残り30キロとしと4時間30分ある。単純にキロ9分で行けばゴールに間に合う計算だ。実際には71キロなので、9分は貯金となる。馬越峠では9分以上掛かるが、峠の入口までの登りと越えてからの下りの5キロを8分、90キロまでの平坦で8分を刻めれば更に貯金はできる。どうしても登りが手前にあるので、時間が掛かり過ぎてしまうことで、間に合わないのでは?となるが、コースレイアウトを分析すればこのタイムでもゴールできるのだ。

70キロ過ぎからは平坦になり、71キロのランナーはラストスパート!こちらはタイムを確認しながら9時間20分でゴールゲートを抜けた。するとゲート脇の係の男性が『あっ!アート鈴木さんだ!いつもブログ見てますよ!頑張ってください!』と応援してくれた(笑)皆さんランナーなんですね?ありがとうございます!

71km.jpg

ようやく滝見の湯に到着!9時間20分は昨年よりも15分くらい早い。余裕を持って馬越峠に向かえそうだ。ここではお腹は空いていなかったので、アミノダイレクト5500とショッツをしっかりと補給。峠の入口までは走らなくてはいけない登りが続くので、5分くらいの休憩でスタートした。

71km2.jpg馬越手前.jpg

前後には知り合いのお客さんがたくさん!皆さん足元にはCEPを使って頂いている。また女性のYさんには『鈴木さんが頼りです!』と言われましたが、脚は皆さんの方があるので置いていかれるのは僕の方です(笑)。更にベテランTさんにも『ここは走っておきましょう!』と声を掛けると、またまたリズム良くスイスイと走って行かれた。まだまだ練習不足だと痛感した。そして峠の入口が迫ってくるとデジカメランナーのTさん登場!『アート鈴木デート中!?』と浮気現場を映像に撮られてしまった(笑)
http://m.youtube.com/watch?v=t5nXunWkO6kこちらの動画で野辺山ウルトラマラソンの様子がわかります!


入口にあるエイドで石橋くんに追い付きトイレに行くことを告げた。ここからはどう頑張っても走れない登り。如何にへこたれずに進んで行けるか?このエイドでは15キロごとのアミノダイレクト5500を流し込んでスタートした。

75キロ 10時間06分45秒 52分01秒

71キロでの休憩と峠の入口でのトイレ休憩を加味して若干掛かり過ぎたかな?まだ貯金はあるので、引き続き同じペースで行こう!

馬越峠に入ると辺りは木々に覆われて薄暗くなる。徐々に湿度も増してきて、雨が近づいているのを感じることができた。途中の応援に浦安ランナーズの郡さんがいらして、コーラを頂いた。ありがとうございます!

馬越.jpg

ふと上を見上げると先にガードレールが見える。あそこまで登るのか・・・先の見えないカーブをいくつも越えた先にあの場所があるのだろう。しかし当然頂上ではなく、ただの通過点だ。救いなのはカラダも気持ちも元気なこと!積極的な歩きで馬越峠を越えてやる!

敢えて走らなかった。坂の見極めをしてもこの坂はまだ5キロ近くある。11時間を目安に頂上に到着していれば良いのだ。下りを走れる脚を残しておこう。
いくつのカーブを曲がっただろうか。ようやく1つ目のエイドに到着したのは75キロから30分を経過しようとする頃だった。まだここか・・・ではなく、もうこのエイドに着いた!昨年は歩くことさえままならなかった峠越え。1歩踏み出すたびに脚が吊りそうになっていたのを思い出す。まだ坂道は続くが、エイドでブドウを頂き歩き始めた。

そしていよいよ雨粒が地面を濡らし始める。『来たか!』峠も終盤に差し掛かっているので、木々が遮る程上に伸びてはいない。少しずつ肌に当たる雨粒を確認しながら、まだウインドブレーカーは着なくても大丈夫だ。空は明るく、気温も高い。そしてまたこの辺りでは風が抜けることはなく、暖かい中での雨となっている。しかし予報では夕方から雨。最後の方は覚悟しなくてはならないだろう。

歩き続けていると少し見慣れた風景が広がってきた。目線の先に見える白いガードレール!頂上が近いことを示すように斜度がキツくなく先が見渡せる場所だ。ここからは走れる登りだ。この先にエイドがあるはず!もうひと頑張りだ!

そして昨年は満開でランナーを迎えてくれた桜の木が見えてきた。今年はすでにほとんど散っているが数燐の花をつけていた。そして辿り着いた79.6キロのエイド。馬越峠の頂上だ!到着は11時間!ピッタリ!予定通りだ!そしてトイレに並んでいる石橋くんを見つけた!

ここではポーチからグミを取り出し、さらにショッツ!下った先にうどんがあるので、それを楽しみにしていた。脚の状態は40キロ付近の下りのなってから気になっていたのが、両足首付け根の部分だ。小江戸大江戸でも右足が腫れてしまい蹴れなくなっていたので、エイドごとに水を掛けて冷やしながら走ってきた。その部位の違和感が多少ある。しかし同じように冷やすことで、痛みや腫れも出ずに来ているので問題はないだろう。下りなのでゆっくり行こうということだ。

昨年はこの地点を11時間30分に出発した!キロ5分で駈け下り、なんとかキロ8分で間に合うまで貯金を作った。あの無理な走りは必要ない。下りは40分以内で下れば十分貯金になる。

なんとか到着.jpg

後続のランナーが馬越峠をクリアしてエイドにやってくる。クリニックに参加頂いたHさんもしっかりと登ってきた。今後の計画を伝えるとリズム良く下りを走っていった。置いていかれないように走りだすが、やはりブレーキを掛けるような走り方は逆に負担が掛かる。歩幅を小さくして骨盤を倒しながら転がるように走る。

馬越下り.jpg

80キロ 11時間03分43秒 57分58秒


歩き続けた5キロなので仕方がない。しかし馬越峠の頂上を11時間でクリアしているのでまだまだ時間はあるのだ。下りといえども走り続けるのは辛かった。呼吸が上がりすぎないように、大きく息を吐き落ち着かせる。大きな衝撃を太ももに感じたら少し歩いた。ここまでヘルニアは顔を出さないものの、バランスが崩れれば必ず出てきてしまう。細心の注意を払いながら走った。

山の中のヘアピンカーブを抜けて、辺りが畑になってくると下りていく道が拓けてきた。ここで雨がまた降り出した。少しずつ雨足が強くなりはじめ、このまま降り続くと厳しいくらいの雨粒になってきた。

ウエストから丸めて引っ掛けておいたモンベルジャケットを取り出して、アームウォーマーを着けてジャケットを羽織った。ファスナーは締めずにポーチで押さえた。

しかし暑い!薄ら汗ばむくらいの気温だったので、2分くらいで再び脱いで、アームウォーマーも外して下り続ける。まだ気温も高く、風はあるが走れているので体温は下がらない。しばらくしても降り続くようならば考えよう。

長い下りは5キロにも及ぶ。『ふ~ぅ~!ふ~ぅ~!』を息を吐いて呼吸を整えた。ここでは抜かされるばかり。先を急いでも脚を使ってしまうだけだ。90キロ以降も坂道で走らなくてはならないので、余力を保たせながら走る。

85キロ 11時間38分30秒 34分47秒

ようやく峠の出口が見えてきた。この先は川沿いに平坦な道を1キロちょっと進めば87キロのエイドに到着できる。少し交通量の増えた道を行き、橋を渡れば川沿いとなる。

ここでまた平坦になるので歩きが増えてくる。85キロを38分でクリアしているので、ここはキロ9分で繋いでも90キロまでに貯金は残せるはず。走ったり歩いたりを繰り返していると、後ろからサイボーグ009姿の男性が走ってきた!『よっしゃ~!鈴木さんに追い付いた!もう大丈夫ですよね?良かった~!』話を聞くと滝見の湯で9時間45分くらいだったという。そしてデカフォレストのランナーに馬越峠を11時間30分で越えればゴールは出来るのではないかとアドバイスを聞き、クリアして(更にパワーの出るドリンクを飲んで)下りはキロ5分で駈け下りて来たという。まさに昨年の自分と同じ走りだ。余力は009さんの方があるが、諦めずに走り続けた結果である。完走に向けての目印になれたことは光栄に思った(笑)まだまだ余裕そうで少し並走して話したが、ペースを維持して先に行ってもらう。

続いて石橋くんがまたまた後ろから登場!『あれ?トイレそんなに並んでいたの?』『エイドでたくさん休んでしまって、気付いたら健さんいませんでした。下りもゆっくり走ってきたので。』実際エイドではそんなに離れなかったはずだが、下りの様子を見る限りでは厳しかったんだろうな。

エイドまであと少しの橋を左折して住宅街に入り、誘導のボランティアの方から声援を受けて走り続けた。何時に到着できるかな?

到着は16時56分35秒だった。

87km.jpg

予想よりも早かった。出発を17時06分と決めて、荷物を受け取りすぐさまうどんに並ぶ。お腹が空いて仕方なかった。量的には2杯食べたかったが、また並ぶのも大変なので1杯で我慢!荷物は長袖やポーチの補充品が入っていたが、貯金優先と思い使わずにそのまま預けた。石橋くんは最後に向けたサプリメントの補充をしていたので『ゆっくり先に行くよ!90キロに12時間30分で着けば絶対に間に合うから。ここからは平坦だから走って来いよ!』と先にエイドを跡にした。時刻は17時05分を過ぎたところだ。

出発の際にかきかなさんとSさんがエイドに到着!『鈴木さんいた~!』『まだ大丈夫ですよ、ちゃんと補給してくださいね!マイペースで!』と言葉を交わして出発した。そして009さんも一緒に出発!すぐに置いていかれた。(笑)

走っているペースはキロ7分30秒くらいだ。これに歩きを加えてもキロ8分ちょっとで進める。本来はしっかりと走ってさらなる貯金にしたいのだが、走り続けられないのは練習不足だということを物語っている。

90キロに向けた平坦を抜けて行くと、左にランナーが消えていく。その方向を住宅の隙間から見やると山を登っていく道が見える。あの途中に90キロがある。石橋くんが追い付いてきて、さあ頑張るか!

90キロ 12時間28分10秒 49分40秒

残りは10キロ時間はキロ9分で間に合う計算だ。前後にはかきかなさん・コアスポーツの海夏さん・Sさんそして石橋くんだ。

90キロを過ぎてから石橋くんと僕は例のごとく『電柱走り』で走っていく。やや勾配のある坂道を走っては歩き、歩いては走る!コアスポーツの海夏さんは走れているので、『(同じチームの渡辺さんのように)走れるところは走りましょう!見えている先までですから登りは!』と伝え、自分のリズムを作ってもらう。そしてかきかなさんも『鈴木さんの真似をして着いていきます!』と。『良いですよ!そのリズムで!』そしてSさんはちょっと厳しそう。でも諦めずに脚を進めている。昨年のサロマ湖は見事完走しているので、ここまで来たからにはぜひ一緒に完走したかった!

『どうですか?もう少し頑張れば緩やかになるので、電柱1本ずつ行けますか?』『はい・・・。』ここまでもかなり時間を気にしながら走ってきたと思われる。スピードアップはなかなか難しいが、なんとか着いてきては歩き、また走りを繰り返した。

『エネルギーは摂れていますか?』『気持ち悪くてジェルもちょっと・・・』ペースはキロ10分といった感じだ。また下りで取り戻せるかな?と、とりあえずは電柱1本を繰り返す。そして下りを利用して2本にしながら、リズムは作れたが補給できていなかったのでどうしても歩きの時間が増えてしまっていた。

93キロエイドに到着。この時点で時計は13時間を迎えようとしていた。やはりキロ10分掛かっているか。この先はしばらく平坦が続くので、走らなくてはいけない区間だ。僕はキロ9分になるように引っ張るが、やはりちょっと着いていけない様子だった。

『95キロで40分は残したいです!キロ8分なんで。先に行きますけど、自分のペースで頑張ってください!100キロ走り切りますよ!』『ありがとうございます!』とSさんを残してペースを上げた。

95キロはまだまだ見えない。しかし7分で走り、歩きを加えても8分ペースまで来ているので、95キロの通過時間だけ40分プラスαでクリアしたい。平坦な道の先に登りは基調な道が続く。その先に白い看板が小さく見えた。

95キロ 13時間17分53秒 49分43秒

よし!残り5キロで42分!2分の貯金ができた!このまま行けば13時間58分だ。余裕はある。脚も動く。後ろを振り返って見たが、Sさんの姿はたくさんのランナーに隠れて見えなくなっていた。
お腹が空いた(笑)ジェルは摂っているが空腹まではいかないものの、ガッツリ食べたい気分だった。口が淋しいのでグミを食べる。

残り5キロでもアップダウンは現れる。カウントダウンを刻むあと4キロの標識と時計を確認。そして雨が降り出した。ラップは8分を刻んでいる。大丈夫、大丈夫!87キロでは止んでいた雨が再び強くなってきた。空気は一気に冷たくなり、吐く息が白い。

緩やかにまた登り始めると最後の登りだ。応援のよこやんさんが沿道で皆に声を掛けている。『来たね来たね!あと26だ。2分貯金だね!さすがだね~!』声援に応えて坂を登る。すると後ろのランナーへ掛ける声も聞こえてきた。『この辺りがリミットだよ!前の赤シャツ辺りがリミットになるよ!』思わず笑ってしまった!確かにこちらはこのまま行けば2分前のつもりで走っている。ギリギリの方にはっぱを掛けるには僕は良い目標だ(笑)

後ろから追い付いてきて1人の男性が、『まだ間に合いますか?』と走りながら聞いてきたので『このままで行けば2分貯金がありますよ!頑張ってください!』その男性は登りを頑張って走っていった。

ゴール会場からのアナウンスが聞こえてくる。『おかえりなさ~い!』こちらはようやく坂を終えて左折する。そして最後のエイドに到着だ。あと3キロ手前。冷たい雨はさらに強まり、拓けたコースを見渡すと雲の中のような感じで低い雲が立ちこめていた。なにしろ風が強く、斜めから雨が打ちつける。しかしウインドブレーカーは羽織らない。ゴールではブレーカー姿ではなくユニフォームで写りたいからだ(笑)中にはファイントラックを着ているので問題はなかった。

ラスト3キロになっても走り続けられない僕は、あそこまで走って、あそこから歩いてとゆっくりながらもリズムを刻む。歩いてしまう時には少しの距離だが、しっかりとショッツを流し込んだ。

ラスト2キロでも残りは18分!昨年よりも貯金はあるので、精神的にまったく問題ない。このまま走れば大丈夫。このリズムを続ければいい。ここでコアスポーツの方々が応援してくれた!『鈴木さん、余裕そうですね!富士五湖とは別人だ!』『そりゃもう、去年に比べたらめちゃめちゃ楽ですよ!ありがとうございました!』

ラスト1キロを迎える辺りで前後のランナーとの間隔を気にしだす。

後ろを振り返るとランナーの数が劇的に減っている。ラスト1キロ通過は10分前だった。もう絶対に大丈夫!平坦な道に歩きも入ってしまうが、このペースであれば14時間以内にはゴールできる。

昨年のことを思い出しながら走った。前を走るキャンさんの背中を追い掛けてダッシュするが追い付けず、とにかくがむしゃらに走り続けた。踏み切りが鳴ったらどうしよう!とか、全力で走り抜けた2012年の野辺山。

今年は自分のスタイルを確実にモノにできた走りだった。ラスト1キロはそんなことを考えて走った。駅前に戻って来ても雨はまだ強く降っているので、応援の姿は少なかった。ガソリンスタンドを抜けて『ラスト300!おかえりなさい!』が嬉しい!

スタートゲートがあった付近を抜けてゴールを目指して登った。最後のゴールに向かって曲がるとなんとゴール渋滞!時計は13時間58分を刻んでいるくらいなので焦る必要はないが、ゴール写真に向けて皆さん個人撮影だ。前には石橋くんもいて並んで一緒にゴール!

ゴール2.jpg

100キロ 13時間58分23秒 40分30秒

昨年よりも1分37秒早いゴールだった(笑)途中脚の痛みを口にしていた石橋くんも無事ゴールできて良かった!ゴール後には雨にも関わらずたくさんの方が声を掛けてくれた。『さすがですね~!』『戻ってくると信じてましたよ!』『2年連続14時間00分00秒かと思いましたよ!』などなど祝福の言葉を頂いた。90キロ地点でご一緒だった夏さん・かきかなさんも先着でゴールしていた。またゴールしたお客さんの中にはデカフォレスト達成のHさんも!おめでとうございます!僕はあと7回か。長いなあ。

ゴールしてから雨は酷くなったが、14時間を過ぎても走ってゴールに向かってくるランナーはいた。僕は95キロまでご一緒していたSさんが気になっていた。あの時、キロ10分くらいだったので、ペースが落ちていなければ14時間10分過ぎには帰ってくるはずだ。Sさんのご友人も『まだ走ってますかね?』と話していると、Sさんが戻って来た!諦めずにしっかりと走って来ていました!制限時間には間に合わなかったけど、ゴールまで来たことは次に繋がるはずです。お疲れ様でした。お話をすると僕のことを心配して頂きました。力に成れずごめんなさい。

土砂降りに変わった雨を避けるように、荷物受け取りの体育館へ。濡れたカラダはビチャビチャだったが、冷え切った感はなく達成感で興奮していた。
ようやく家族に電話で報告!『13時間58分30秒くらいでゴールしたよ!』家族みんなからの『おめでとう!おつかれさま~!気を付けて帰ってきてね!』のシンプルな言葉が嬉しかった。

体育館でもレース中にお会いした方とたくさん話してレースを振り返った。リタイアしてしまった方や完走した方、それぞれの100キロがそこにはあったはず。カラダを休めてからまたこのレースを振り返って、また来年この場所でお会いしたい。

2013-05-19 21:38:53


結論としては、過去3年の野辺山の中では一番楽しめた大会になった。それはヘルニアも出ず、たくさん食べて、ハンガーノックもなく、ダメージも最小限に走り切れたことからだ。

タイムが速くなった訳ではないが、過去3年の同じ13時間59分前後の中身が違った。

大会前は不安だらけだったが、一緒に走るランナーとの交流や、自然を感じることのできるコース。そしてボランティアのサポート。様々な要因が走ることで不安を解消させて楽しませてくれたと思う。

また野辺山だけに関わらずウルトラマラソンを走らせてくれているアートスポーツのスタッフや、いつも応援してくれる家族に感謝したい。

レースの中身は万全の補給や対策によりクリアできた。このレースの準備が今後の鈴木健司のスタンダードになるだろう。補給以外にもペースの計画と実行、エイドでの休み方などが理想的だったのがこの結果に繋がったと思われる。

天気も最終的には雨に降られたが、かなり味方になってくれた。朝から雨だったら結果は違っていたかもしれない。当日にならなければわからないことだが、色々な想定をすべきだという点は間違っていない。

これで野辺山完走は3回目。走る度に野辺山の魅力にはまってきている。昔は登りが嫌いだったので、避けていたが7年先のデカフォレストを見据えて参加したくなってきた。

さて来月はサロマ湖!野辺山が大丈夫だったのは、下りがあるから。50キロを手前に5キロ30分では走れないのがサロマ湖。自脚が問われる。違和感が出ないようにしたかったが、現在は走る時にはやはり痛い。あと2週間でしっかり調整して大会を迎えるとしよう。

最後にいつもアートスポーツをご利用頂いている皆様、応援ありがとうございます!ブログをきっかけに知って頂いてる皆様もたくさんいらっしゃることにとても感激しています!初めてのウルトラマラソン参加者の皆様へできることを引き続き発信していこうと思いますので、これからもよろしくお願い致します。

ありがとうございました!

2013野辺山ウルトラマラソン写真集
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2013野辺山ウルトラマラソン完走記~第1章~



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