毛髪検査で分かる水銀の値は、血液から毛髪へ排出された水銀量の平均値です。
ただし、水銀中毒でも毛髪の水銀値が高くなるとは限りません。水銀が体内の各所でさまざまなミネラルの運搬作用を混乱させているばあい、毛髪の水銀値はかえって低く出ることもあります。自閉症の幼児と定型発達の幼児の集団で毛髪水銀を比較した調査で、自閉症児の水銀の方が有意に低く、それも発達の遅れが著しい子の方が毛髪水銀が低かったという報告があります。
ミネラル運搬作用の混乱については、下記の資料をご覧下さい。
http://asdnews.at.infoseek.co.jp/mohatsu.html
ミネラル全般の乱れがないばあい、毛髪に見られる水銀や鉛の値は実際の量を正確に反映していると考えられます。水銀の排出能力が高く、アマルガムがなく、魚もあまり食べない子のばあい、予防接種で水銀が入った後に、水銀中毒の症状が皆無で、毛髪水銀が一時的に高くなることもあります。そのばあい、1年後や2年後の毛髪を見れば、水銀値も低くなっています。(魚を食べていると黄色の範囲になることもあります。)
血液中を移動している水銀のうち、あるものは自然に排泄され、あるものは毛髪に移動し、あるものは内臓に入り、あるものは神経細胞にしみつき、あるものは関門を通って脳へ入ります。アマルガムが無く、大型魚も食べていないばあい、キレーションをしなくても血液中の水銀値はゆっくりと低下し、毛髪の水銀値も徐々に下がっていきます。
この変化に応じ、首から下で水銀が直接的に起こしている中毒症状は、徐々に緩和されていくこともあるわけです。
一方、脳内で有機水銀が無機水銀に変わったばあい、性質が安定してしまい、脳からはなかなか出てきません。魚のメチル水銀に比べて、いくつかの予防接種に入っているエチル水銀は、脳内で速く無機水銀に変化することが、動物実験で分かっています。
ですから、水銀中毒の人がキレーションによる水銀排出を行なわず、あらたな水銀が入ってこないよう注意しているばあい、毛髪の水銀値は徐々に改善し、首から下の水銀による症状も緩和され、脳内の中毒症状だけが残ります。ヴィタミンやミネラルを飲んだり、汗をかいたりすることで、毛髪の水銀値も下がります。
又、子どものばあい、加齢によって総体重も増え、脳の重量も増えますから、溜まっている水銀の量が同じであれば、体重比から判断する水銀の影響は小さくなります。キレーションを行なわなくても、症状の一部が緩和されることはあります。
最終更新日
2005/11/22 07:40:06 AM