テーマ:最近観た映画。(38808)
カテゴリ:日本映画
小さい頃からヴァイオリンを習っていた桃(福田沙紀)は、学校の指導方針と自分のやりたい演奏があわず、ヴァイオリンをあきらめて母や姉が通った地元の櫻華学園に転校することに。 厳格な校風と女子高特有の雰囲気にあまり馴染めない桃は、授業をサボってひとり、生徒立入禁止の旧校舎に入る。そこの旧演劇部室で「櫻の園」の台本を手にした桃は、級友たちと校務員の仁三郎さん(大杉漣)から「櫻の園」と演劇部にまつわる11年前の出来事を聞き、自分達で上演しよう、と決める。 人気抜群の小笠原葵(杏)効果で後輩たちも仲間にして、まじめな赤星真由子(寺島咲)までまきこみ旧校舎の演劇部室で練習にあけくれるが、桃の意気込みとは裏腹に、沢美登里(大島優子)や横田奈々美(はねゆり)は「みんなで楽しく」の雰囲気で、そのギャップに悩む桃。 そんな折、子供の頃の音楽教室で一緒だった洲(柳下大)のライブにいった桃は、校則違反で呼び出されて謹慎処分とともに「櫻の園」の禁止まで言い渡されるのだった。どうして、と食い下がる桃に佳代先生(菊川玲)は11年前の事件のことを話す。佳代はそのときの演劇部長で、桃の姉、杏(京野ことみ)は佳代の1年後輩だった。 赤星さんから「もう一度やろう」と言われても素気ない態度をとっていた桃だったが、ある夜、高校時代を懐かしんでいた姉を見たり、夢に真剣に向かっている洲と会った桃は、もう一度「櫻の園」への想いを新たに、メンバーを公園に集めて「もう一回やろう」とお願いする。その光景を見ていた佳代先生は、昔の想いや彼女達の姿など色々なものに感じ入ったのだろう、演技指導を引き受けるのだった。 公園で本格的に演劇の稽古を続ける桃たち。しかし、またまた学校にばれてしまい、佳代先生が詰問される。その様子に不安そうに職員会議の結果を待つ桃たち。ついに佳代先生の職を辞するまでの熱意が通じて、11年ぶりに櫻華学園創立記念日の「櫻の園」が復活する。そしていよいよ当日、どたばたと準備をしながらも開演が刻々と近づいていく。。。 18年前の名作「櫻の園」は、ビデオで観たのかなぁ、それともテレビでか。映画館でないことは確かで、でも鮮烈な印象を残している。中島ひろ子やつみきみほ、白島靖代たちがおりなす「櫻の園」開演前の2時間をそのまま描いた作風は、彼女たちの瑞々しさと桜をバックにした優しい雰囲気など素晴らしい出来で、当時の日本アカデミー賞優秀作品賞を受賞している。中原俊監督は、この後も「12人の優しい日本人」を撮り、豊川悦司主演だったか、演劇の原作物をうまく映画の世界に取り込み、自分の中では「観るべき監督」の一人となった。(とはいっても「落語娘」は観てないけれど) 今回の新「櫻の園」は前作とは一変して、4月から6月までの2ヶ月間の出来事を描写している。現代的な光景の中に古めかしい校風が残る櫻華学園を舞台とすることで、熱血演劇物語が非現実感を感じることなく自然なままで楽しめる。 福田沙紀は、どうしてもTVドラマ「ライフ」の愛美の印象が残っていて、結局それを自分の中で引きずったままだったのだけれど、まあちょっと勝気でワガママというか、優等生っぽくない雰囲気があってたからよかったのかな。後半は自然な感じで観られたし。 寺島咲は新しい発見。赤星真由子の優等生で、でもそんな自分の殻を破りたくて、だけど自分だけではどうしようもなくて、そんなもやもやとした気持ちが奥底にある役柄を素晴らしい演技と微妙な表情や声音で魅せてくれる。 葵役の杏や、大島優子、はねゆりもイマドキの女子高生って感じで等身大の自然な演技。京野ことみや大杉漣の演技は安定感があって、ともすれば若すぎて弾けてしまう画面に落ち着きを与えている。 4月の桜が印象的で、まさに桜の下でのお弁当シーンや下校時の桜並木など、櫻華学園や「櫻の園」にぴったりの雰囲気。吉田秋生原作の漫画も読みたくなっちゃった。 公式サイトはこちら 11/16 TOHOシネマズ川崎
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最終更新日
2008.12.08 22:06:10
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