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まてぃの徒然映画+雑記

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2009.07.17
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カテゴリ:日本映画
「ゆれる」の西川美和監督の最新作は、僻地医療の問題を背景に、嘘は罪なのか?と問いかける。「ゆれる」のときのように鋭利で触れただけで切れてしまいそうな、そんな緊張感はなく、むしろ穏やかでのどかな山間の村の風景の中で、ゆったりと物語はすすんでいく。

ある日突然、村でたった一人の医者が失踪した。失踪した伊野先生(笑福亭鶴瓶)の過去を調べれば調べるほど、素性は怪しくなり謎は広がっていく。いったい彼は何者だったのか?

その二ヶ月前、研修医の相馬(瑛太)は、同期の中で貧乏くじを引いて、医者が一人しかいない僻地の山村にやってきた。そこで見たのは村人一人ひとりに対して、親身に向き合う診療所の医師、伊野治と看護師の大竹(余貴美子)だった。

そして、伊野を中心として相馬と大竹が村の医療に奔走する(といっても、山あいの村だけにおおらかな雰囲気だが)様子の合間に、失踪した伊野の過去を探っていく警察の捜査が挟みこまれる。

ある日、村の人たちの家を回っている最中、鳥飼かづ子(八千草薫)の家も訪れる。最近胃の調子はどう?と気遣う大竹の言葉で、かづ子は伊野に診察してもらう。触診で異常を知る伊野だが、その場では何も言わず、自分のペンライトを箪笥の隙間に放り込んでかづ子の家を出る。後で自分ひとりで引き返してくるために。

その夜、思惑どおり一人でかづ子の家を訪れた伊野は、一緒に野球を見たりご飯を食べたりしながら、かづ子に身体の異常のことをそれとなく聞く。かづ子は3人の娘たちに心配をかけたくないばかりに、伊野に「先生と私だけの秘密にしてくれませんか」とお願いする。自分がしっかりと診察することを条件に、その話にのる伊野。そしてかづ子の胃カメラ検査の結果は手がつけられない状態の胃癌だった。それからは、点滴と薬を持って夜な夜なかづ子の家を訪れる日々。そして、出入りの薬業者(香川照之)の治りかけの胃潰瘍の胃カメラ写真を撮っておくのだった。

相馬は、都会の病院とは全然違った村での医療、機械的にではなく患者のことを生活面を含めてケアする伊野のやり方に次第に憧れていき、研修がおわったらまた村に戻ってくる、と伊野に言う。大病院で、順番に患者を処理するようなやり方ではなく、ここでは本当の医者の仕事ができる、という相馬に対して伊野が言った言葉は「俺はニセ者なんだ。。。」

かづ子の娘たちが実家に帰ってきた日。かづ子の三女りつ子(井川遥)は大学病院の医師だが、ゴミ箱に捨てられていた薬の包装から母の体調の異変を疑い、東京に帰る日に意を決して伊野のもとを訪れて、母の体調を聞く。薬業者の胃カメラ写真を見せて「治りかけの胃潰瘍ですよ」という伊野にりつ子も納得したが、次にかづ子に会いに来るのが一年後になる、と聞いた伊野はりつ子を待たせていつものスーパーカブに乗り診療所を出ていく。途中、かづ子に手を振り、白衣を脱ぎ捨て、薬業者にかづ子の本当の胃カメラ写真とりつ子への言伝を残して、走り去る伊野。

村では相変わらず大騒ぎ。かづ子はりつ子の病院に入院し、ひとまず落ち着くが、病室にお茶を配りに来たのは。。。


さすが!期待を裏切らない、いやむしろ期待を上回るほどのいい作品でした。釣瓶の伊野先生はまさにはまり役。村民の尊敬と感謝を一身に受け、でも自分の中にはコンプレックスと誰にもいえない秘密がありながら、村の唯一の医者としてみんなを励まし続けなければいけない、そんな愛されキャラが、釣瓶のあの笑顔と声、しゃべりかたでぴったりと表現されている。宣伝の時点では、釣瓶が主役?ということで不安もあったのだけど、いやあ、杞憂におわりました。むしろこの伊野先生は釣瓶がはまり役って感じで、西川監督のキャスティングの冴えを感じます。

そして伊野先生のキャラ設定も、医者の父親にコンプレックスを抱きつつ医療機器を扱っていて、だんだんと医者の手際なんかも覚えてくると、というふうな感じなんだろな、というのを警察の捜査パートで感じさせる。それが山村での伊野先生の様子とだぶってきたりするわけで、キャラクターを重層的にしていると思います。

八千草薫の鬼気迫るほど(って表情は全然穏やかなんだけど滲み出る内面が)の演技は迫力抜群。圧倒されちゃいましたね。余貴美子は「おくりびと」の事務員さん役に続いて、重要な脇役で出演。この人が出ると演技が締まりますね。今回も外科系が不得手な伊野のサポート役として、看護師を見事に演じていました。瑛太もいまどきの都会の若者が地方の現場で人と人との繋がりを体感して、医師という仕事に対する使命感を新たにする姿を好演してました。そして井川遥。自分が観るのは「トウキョウソナタ」のピアノの先生以来だけど、結構いい演技してますね。日本を代表する30代中堅女優の一人といえるのではないでしょうか。香川照之は安心して観てられます。今回の役柄は道化まわしみたいでしたね。

伊野先生がいたからこの村の医療過疎はなんとか耐えられていたけれど、実際に失踪してしまったら大問題なわけで、過疎地における医師は小児科から外科、内科、何でもマルチにこなさないといけないし、救急も一人でやってるわけで、24時間臨戦態勢ってことは、よっぽど大変なのだろうなあ、と思います。

あとはさわさわっとした緑溢れる山村の風景、とくに上から風にそよぐ稲かなあ、映し出すシーンは「殯の森」の茶畑の鳥瞰映像を連想させました。日本の原風景って感じですね。

西川美和、こんなに素晴らしい作品を連続して出すなんて、自分の中では是枝裕和や河瀬直美と同じく必見の監督になりました。次回作も期待しちゃいます。

公式サイトはこちら

7/14 TOHOシネマズ川崎

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最終更新日  2009.07.18 11:29:31
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