3611820 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

遊心六中記

遊心六中記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

茲愉有人

茲愉有人

Calendar

Category

Comments

Archives

Favorite Blog

まだ登録されていません
2016.11.27
XML
カテゴリ:探訪 [再録]

               [注記:探訪時期・2014年5月末。奇しくも今日2016.11.27は正遷宮奉祝行事の最終日]
氷室神社を後にして、久しぶりに春日大社を訪ねてみることにしました。
奈良国立博物館で特別展が開催されるとよく来ているのですが、なかなか足を延ばすことがありません。

春日大社は東大寺からは南東方向、興福寺からは東方向にあります。現在の地名は春日野町です。奈良・平安時代には「春日野(かすがの)と称されたところ。御蓋山の西麓部分で北は佐保川、南は能登川に囲まれた範囲をさすようです。『大和名所図会』は大鳥居より東で、春日大社までを春日野としています。(資料1)

私のアプローチはこの地図(Mapion)をご覧いただくとおわかりのように、大仏殿交差点から南東方向の道を歩んでいったことになります。

冒頭の写真は、春日大社の境内に入って少し歩き始めたあたりです。

「イチイガシ巨樹群」が広がった林になっていて、左の駒札が建てられています。また、境内に入るあたりで、次の写真にある境内案内図が載っている立て看板がありました。

まずはこの図の枠外の境内を進むことになります。




参道沿いに歌碑が建てられています。調べてみると『万葉集』所収の歌です。(資料2)
     山上臣憶良、秋の野の花を詠める歌二首
  秋の野に咲きたる花を指(および)折りかき数ふれば七種の花 巻八-1537
  萩の花尾花葛花なでしこの花をみなへしまた藤袴朝顔の花   巻八-1538

最初の歌は、参照本は「指折りて」という語句で記載され、脚注に「ゆびおりて或およびをり」としています。歌碑に合わせた表記にしました。折口信夫は『口譯萬葉集』で、「指折り」とし、「オヨビ」とルビをふっています。(資料3)

 
この参道を歩いていて興味深く思ったのは奉納されている石灯籠の形態が様々だという点です。石灯籠の笠・火袋・中台・竿・基壇の各部分の形状がかなりバラエティに富んでいるのです。それぞれの石灯籠が個性を発揮しています。
 


境内が広いので、途中にこんな恒久的な案内図も設置されています。



 
参道を進む途中で、「春日大社神苑」への入口があり、「萬葉植物園」の看板も大きく掲げられています。今回は入園するのをパスしました。




その左隣りに、風情のある憩い場としての建物があります。外から見ると喫茶店のようです。広い境内、一休みにはちょうどよさそうな立地です。


その先に、「内侍道」と表示のあるま新しい感じの道標が建てられている道があります。社殿の案内図を見ると、「内侍門」というのがあります。
「かつて、春日祭に参勤する斎女や内侍(女性司祭者)が、この場所から表参道を別れて、真っすぐ社頭の内侍門に向かった古道である」と側面に説明が付されています。

 
少し先に、こんな小祠が建立されています。最初に見かけた末社です。
「末社 壺神神社」という木札が懸かっています。奉献はヒゲタ醤油株式会社です。










参道の両脇に、石灯籠が林立し始めます。こんな感じで、やはり個性的。いろんなタイプがあっておもしろい。坂道の傾斜に対して、石灯籠の高さを調整しているのもあります。


そして、この長細いオープンな建屋が目に止まりました。酒造メーカーの奉納がズラリと。


近づいて見ると、貞観元年(859)創建という「車舎(くるまやどり)です。


今風にいえば、ガレージですね。当時は飾り立てた牛車がこの建物に並べられたのでしょう。今なら高級車がこれ見よがしにズラリと並ぶというところ・・・・。

参道をここまでは牛車に揺られながら、天皇、勅使、藤原氏貴族高官がやってきたということなのですね。

社殿周辺を巡った後で帰路に見かけた看板にあった案内図の部分拡大図をまず載せておきましょう。
「車舎」の位置がご理解いただけるでしょう。

ちょっと脇道に。
春日野に関連して詠まれた歌を適当にサンプリングして、ご紹介しておきましょう。(資料2,4)

ちはやぶる神の社し無かりせば春日の野邊に粟蒔かましを    万葉集 404
春日野に粟蒔けりせば鹿待ちに継ぎて行かましを社し留むる   万葉集 405

春日野に朝ゐる雲のしくしくに吾は恋ひまさる月に日にけに   万葉集 698

春日山おして照らせるこの月は妹が庭にもさやけかりけり    万葉集 1074

春日野に咲きたる萩は片枝はいまだ含めり言な絶えそね     万葉集 1363

今朝の朝け雁が音聞きつ春日山もみちにけらしわが情痛し 穂積皇子 万葉集 1513

春日野に時雨ふる見ゆ明日よりはもみちかざさむ高圓の山 藤原朝臣八束 万葉集 1571

春日野に煙立つ見ゆをとめ等し春野のうはぎ採みて煮らしも   万葉集 1897

春日野に友うぐひすの鳴き別れ帰ります間も思ほせ吾を     万葉集 1890

かすが野はけふはなやきそわか草のつまもこもれり我もこもれり 古今和歌集 17

  歌たてまつれとおほせられし時、よみてたてまつれる  つらゆき
春日野のわかなつみにや白妙の袖ふりはへて人のゆくらむ    古今和歌集 22

  かすがの祭にまかれる時に、物見に出でたりける女のもとに、
  家をたづねてつかはせりける   みぶのただみね
かすが野の雪まをわけておひ出でくる草のはつかに見えしきみはも 古今和歌集 478

つづく

参照資料
1) 『古代地名大辞典-本編-』 (財)角川文化振興財団編  角川書店  p452
2) 『新訂 新訓 万葉集 上巻』 佐佐木信綱編  岩波文庫 p344
3) 『折口信夫全集 第四巻 口譯萬葉集(上)』  中公文庫 p411
4) 『古今和歌集』 窪田章一郎校注  角川ソフィア文庫

【 付記 】 
「遊心六中記」としてブログを開設した「イオ ブログ(eo blog)」の閉鎖告知を受けました。探訪記録を中心に折々に作成当時の内容でこちらに再録していきたいと思います。ある日、ある場所を訪れたときの記録です。私の記憶の引き出しを兼ねてのご紹介です。少しはお役に立つかも・・・・・。ご関心があれば、ご一読いただけるとうれしいです。

補遺
イチイガシ  :ウィキペディア
イチイガシ :「植物生態研究室(波田研)のホームページ」
春日野園地  :「奈良公園 Quick Guide」
春日大社 神苑 萬葉植物園  春日大社公式サイト
奈良の春日野  :ウィキペディア
 こんな曲があったのですね。たまたま見つけた項目です。
 
  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)


スポット探訪 [再録]  奈良・氷室神社 へ
スポット探訪 [再録] 春日大社境内を巡る -2  回廊と社殿(中院を中心に)へ
スポット探訪 [再録] 春日大社境内を巡る -3  外院(桂昌殿、酒殿、竃殿、着到殿など)へ
スポット探訪 [再録] 春日大社境内を巡る -4 表参道から鷺原道へ、そして一の鳥居まで へ
スポット探訪 春日大社を巡る[再訪] -1 春日東西両塔跡・参道・春日若宮神社 へ
スポット探訪 春日大社を巡る[再訪] -2 春日若宮神社周辺:若宮15社めぐり へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2016.12.12 20:20:55
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.