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カテゴリ:観照
イオネットでブログを書いていた時、美術館、博物館で特別展を鑑賞したり、劇場で観劇した場合に、現在と同様にそれらの催しの「誘い」の有り様を記録写真に撮っていました。またその時の印象記もまとめて載せていました。 美術展や観劇は、同じ物が再企画されるという機会は短期スパンではないと思います。探訪記は再録を続けてきましたが、「観照」としてまとめたものはほぼ割愛しています。そこで、別の視点で記録のインデックスとして、時系列でイベントの経緯をまとめてみることにしました。 美術館、博物館、劇場には建物の立地と外観からそれぞれに制約があります。その中で、各イベントへの集客・誘いのための工夫が凝らされています。これを時系列で眺めるのもおもしろいと思ったのです。 マーケティングの領域では、「AIDMA」と略される広告のコミュニケーション機能を説明する概念を昔学びました。Attenstion(注目), Interest(関心), Desire(欲求), Memory(記憶), Action(購買行動)という行動心理のプロセスをモデル化したものです。 これは、絵画や演劇などの文化領域の企画でも同じことでしょう。人々に注目され、関心を持ってもらう工夫がやはり重要です。その一端がまず入口のところから始まり、会場内に人々を誘う工夫がなされるのです。その「誘い」の有り様の中に、何をどのようにアピールするかという「美と形式」が形成されていきます。そして、またそれが変化していきます。 冒頭の画像は、京都国立博物館で2004年春に「南禅寺」展が開催された時のものです。 現在、「明治古都館」と称される建物の入口を利用した特別展の掲示です。 私がデジカメで写真を撮り始めて、画像ホルダーに保存している記録写真で一番古いのがこれでした。デジカメは2002年頃から使い始めました。これは2004年4月に撮った景色です。 その後、しばらくは、この誘いという「注目」部分は気に掛けていなかったようです。美術展や観劇に出かけていましたが、記録写真がわずかしかありません。20010年ころから、ここにも注目して撮り始めていることに、整理していて気づきました。 ここでは時間軸に沿って、この「誘いの美と形式」をご紹介していきたいと思います。 ご覧いただき、ああ、これは行って見た・・・・と懐かしく想起されるものがあるかも知れません。特別展の場合は、全国の数カ所で時期をずらして開催された同一展を想起される方もたぶんいらっしゃることでしょう。 この掲示パネルの中に、コピーという形ですが、美が取り込まれています。 2008年3月に兵庫県立美術館での「ムンク展」に行ったときの記録写真です。壁面の左側に展覧会の大きなパネルが掲示してあります。 2009年。京都国立博物館(以下、京博と略称)での「妙心寺」展(2009.4)。開山無相大師650年遠諱記念として企画された特別展でした。狩野山楽筆「竜虎図屏風」に描かれた龍が使われています。 春は、庭園のつつじがきれいです。 京都・南座の1月は「前進座」の初春特別公演でスタートします。 2010年は、人情噺「双蝶々(ふたつちょうちょう)雪の子別れ」、狂言舞踊「釣女」が演じられました。 京博・秋の特別展は「高僧と袈裟」というテーマの特別展でした。(2010.10) 秋の恒例は、奈良国立博物館(以下、奈良博と略称)の「正倉院」展です。(2010.11) 正倉院展では、その年の展示品中のメインの宝物のいくつかが拡大画像で「誘い」に使われています。 岡崎公園にある「みやこめっせ」で、「人体の不思議展」の日本各地巡覧後の最終公開がありました。2010年12月に、好奇心を抱いて出かけました。これは建物内で、会場の入口の景色です。 2011年の正月、南座では恒例の前進座公演です。 この年、七代目嵐芳三郎襲名披露があり、演目は通し狂言「切られお富」でした。 (2011.2) 京博は「中国書画の世界 筆墨精神」という特別展から2011年が始まりました。 2月には、大阪・なんば「松竹座」恒例の「二月大歌舞伎」公演があります。 京都・南座で歌舞伎の観劇をしていましたが、松竹座まで出かけ歌舞伎を見たのはこのときが確か初めての経験でした。 入口の上部に案内パネルが掲げられるているのと併せて、歩道脇に次の公演のポスターとともに、この二月大歌舞伎のポスターが掲示されています。 この時は、「片岡仁左衛門 昼夜の仇討」として、昼の部は、通し狂言「彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」、夜の部は、通し狂言「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」の公演でした。昼の部を観劇した次第。 3月、京博では「法然 生涯と美術」展が開催されました。 この特別展は、法然上人八百回忌に合わせた特別展という企画でした。 この入口に掲示されているのは、国宝『法然上人絵伝』巻三十七に描かれている第四段の絵の一部です。「法然上人が慈覚大師の九条袈裟をかけ、阿弥陀三尊の来迎を得て往生する」という場面が描かれています。雲に乗り来迎される阿弥陀如来の部分がここにコピーされているのです。絵伝ではこの場面において、左端近くに雲上の阿弥陀三尊がえがかれ、如来の眼差しの先、右端近く、開放された部屋の中に、九条袈裟を掛け西向きに横臥し合掌した法然上人が描かれています。阿弥陀来の来迎による往生の瞬間が描き出されているのです。(図録参照) この場面は、図録の表紙にも使われています。 この特別展の象徴的場面のシンボルとして来迎阿弥陀如来の姿が「誘い」に表象されているといえます。 そして、この場面の来迎する阿弥陀三尊と、まさに往生せんとする法然上人とのそれぞれの部分絵図が、七条通に面して掲げられた「誘い」のパネルにも大きく取り上げられていました。 上掲の画像には、パネル内の「法然」という文字の左上に彫刻像が小さく併載されています。これは「法然上人坐像」(奈良當麻寺奥院所蔵)です。 つづく ご覧いただきありがとうございます。 補遺 京都国立博物館 ホームページ 兵庫県立美術館 ホームページ 奈良国立博物館 ホームページ 南禅寺 ホームページ 京都四條南座 :「歌舞伎美人」 大阪松竹座 :「歌舞伎美人」 劇団前進座 公式サイト みやこめっせ(京都市勧業館) ホームページ 正倉院 :「宮内庁」 第69回正倉院展 2017年 :「奈良国立博物館」 この時の展示品から抽出し、画像と説明を見ることができます。 片岡仁左衛門 :ウィキペディア もっと知りたい!仁左衛門さんのこと 歌舞伎いろは :「歌舞伎美人」 嵐芳三郎 :ウィキペディア 浄土宗とは? ~法然上人の生涯<<誕生~開教まで>> :「浄土宗」 法然上人絵伝 :「京都国立博物館」 紙本着色法然上人絵伝 重文 :「e國宝」 ネットに情報を掲載された皆様に感謝! (情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。 その点、ご寛恕ください。) 観照 時間軸でみた「誘い」の美と形式 -2 2011年後半 へ 観照 時間軸でみた「誘い」の美と形式 -3 2012年・2013年 へ 観照 時間軸でみた「誘い」の美と形式 -4 2014年 へ 観照 時間軸でみた「誘い」の美と形式 -5 2015年 へ 観照 時間軸でみた「誘い」の美と形式 -6 2016年 へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.02.05 10:22:48
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