カテゴリ:接着剤の話題
変色についてHPのフォームから問い合わせを行ないましたところ、接着技術相談センターから早速非常に丁寧な回答がありました。どうもありがとうございました。
概要をまとめるとこんな感じ。 Q:変色の原因は何か? A:「スーパーX」は2年程度で黄色に変色する場合があるが、主な原因は紫外線によるもの。 考察:多くのシリコンゴムがそうであるように紫外線による変色は避けられないようです。シリコンゴム製のフィギュアやドールにも紫外線は禁物なのでしょう。 Q:変色が強度に影響するか? A:変色自体は接着強度には多く影響はしない。「スーパーX」で接着された部位の一部が発泡ポリエチレン(以下PE)のようだが、残念ながらこの材料には「スーパーX」は接着しない。従って発泡PEには当初から、あまり強くは接着していなかったのではないかと思われる。 考察:元々液体が染み込まない多くの発泡素材では接着剤の初期粘着と気泡内に潜り込んでの食い付き摩擦でくっつくと見られる。しかし、発泡素材自体に柔軟性があり、固化して流動性粘着性が無くなったシリコンゴムとの伸縮度合いの違いから、食い付いた部分が外れやすいということか。 Q:皮脂、汗、ビニールやレザーに含まれる可塑剤やバインダーの影響はあるか? A:影響は否定できない。 考察:ゴムやレザーからにじみ出た物質(界面活性剤や柔軟剤)によって接着面や接着剤そのものに影響がない訳ではない。貼付けた絆創膏が汗で剥がれてしまうようなものか。 可塑剤の効果:ミュウザクロの衣裳はイベントの度に汗まみれになるためその都度水で手洗いしていたのだが、3年目には表面の光沢が失われ、5年目には柔軟性が失われ、ひび割れ、剥がれ始めた。しかし当時のレザーの端切れがまだ手元にあるのだが、こちらは買った当時の品質を維持している。洗濯による可塑剤の流出がビニルレザー衣裳の劣化の一因と考えられる。 Q:発泡PE、発泡PU、発泡EVAを接着できるか? A:接着剤では接着できない。競合会社ではあるがコニシの「GPクリヤ」が結構使える。これは粘着でPE、PP、EVAを接着するものである。 コニシ ボンドGPクリアー 170ml 用語説明 PE:ポリエチレン PU:ポリウレタン PP:ポリプロピレン EVA:エチレン・ビニルアセテート・コポリマー(Ethylene-Vinylacetate copolymer エチレン酢酸ビニル共重合体)クロックス(風)サンダルの多くはこれ。 可塑剤:ゴムやビニール、プラスチックの柔軟性や耐候性を保つために混ぜてある柔軟剤や界面活性剤。輪ゴムや消しゴムがプラスチック(スチロール樹脂)の箱に粘り付いたり溶かしたりするのは可塑剤の影響。 バインダー:本来流動性のないものを塗布するときに混ぜ込むもの。固着材。岩絵の具に対する膠(ニカワ)、メタリックパウダーに対するクリアラッカーなど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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