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テーマ:ミステリはお好き?(1451)
カテゴリ:Mystery
僕こと木瀬芳樹は中学時代、いじめにあっていた従妹の総一の救済を、「探偵みたいなことをしている」先輩北見理花に、金を払って依頼した。
北見の策略により、結果的にいじめはなくなったものの、その解決法は木瀬が望んだものではなかった。 そして大学生になった木瀬は、かつての家庭教師真壁研一が脅迫されていることを知る。 「結婚をやめろ」 彼と同居中の恋人、かなみとの結婚を妨害する匿名の手紙を送った脅迫者は誰か。 真壁には学生時代、婦女暴行の冤罪を示談にした過去があった。 それを知っている者だろうか。 今や探偵事務所に勤めて「本職」となった理花を訪れて、脅迫者の調査を依頼する。 けれど、理花の調査の先には苦い真実が待ち受けていた。 -------------------- 殺人事件の起きないミステリー。 いつものわたしなら退屈して途中で読むのをやめてしまうところだが、本作はそんなことはなく面白く読了。 淡々とした一人称の語り口で、最後まで読者の興味を引っ張る筆力のある作者なのだろう。 作者の本業である弁護士の知識も物語によく生かされている。 脅迫の犯人は誰かがフーダニット。 最初から怪しい人物の目星はついたが、プロットへどう絡むのかは巧みに隠されていて、どんな犯行をどのように行ったのかのハウダニットまで見抜くのが難しい。 ラストで本作最大の問題提起 探偵とは何か、いな 探偵の役割とは何か がなされ、このミステリーへの本質的な問いかけに回答のないまま終わる、ある種のリドルストーリーになっている。 解りやすく軽く読める文体に深い主題を潜ませ、最後にで読者に最大の難問を投げかける技量に関心した。 他作も読んでみたい。 そちらはちゃんと殺人事件が描かれているものがいいな。 ようやく読書の秋、食欲の秋。 小さき秋が連なって、冬へ続く。 和製ミステリなので、スイーツも和風にしてみる。 小豆を煮て、白玉とドライデーツの取り合わせ。 甘味はメープルシロップでもいい。 煎茶を摺って抹茶風にして。 茶器の下に敷いてあるのはお気に入りのアンティークのオールドノリタケ、と和洋折衷。 食べ過ぎると 甘いものは毒 ですわ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.10.08 18:25:10
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