他は是れ吾にあらず
道元禅師が、天童山で、日差しの強い日中、作業を行っている典座老僧に「なぜ、人を使われず、あなたが作業をなされているのか?」と問うと、老僧は、「他は是れ吾にあらず」(自分でやらず、他の人にしてもらっては、自分のしたことにならない)と答えました。道元は、納得して、「日差しの強い中でなく、すずしくなってから、作業なさってはいかがですか?」と重ねて問うと、老僧は、「更に何れの時をか待たん」(今やらずに、いつやろうというのか)と答えました。道元禅師はこの答えに、気づくところがあったそうです。頼み、頼まれごと、支えあいの世の中ですが、自身でできることまで頼んでしまうのは、少々行き過ぎ。自身で、今できることをやる。忘れないようにしたいです。また、ビジネス等で「人にやらせる」という言葉が使われるのを耳にしますが、目線がずれているような気がします。「人にやっていただく」、感謝の気持ちが自ずと生まれるのが、正しい目線、自身でできることは、自身でやるが基本だと思います。