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おそらく、大多数の方には、かけらほどの興味もなかろう話題です。
息子、小太郎は、実はNHK教育の幼児向け番組「おかあさんといっしょ」の大ファン。 このたび、かねてより念願であった出場が叶ったことで、まだ興奮醒めやらぬ母に、夫、太郎よりレポート提出の要請。気の進まぬまま従う次第です。 「おかあさんといっしょ」への出場応募資格は、本人が3歳になる月~4歳になる月の約1年間(後にも先にもチャンスは1回のみ)。 中でも、多少なりとも聞き分けの出来る4歳に近い3歳児が当選しやすい!という噂を聞き、小太郎が3歳半を過ぎる9月から応募を開始。 幸運なことに応募3回目にして当選のハガキを手にすることができた。 ハガキに記載された収録日は、1月27日(火)。 心踊り、こぼれる笑みを抑えられない母。しかし、待てよ?これまで肝心な日に狙ったように熱発しては親をやきもきさせてきた小太郎のこと、この時期って思いっきりインフルエンザの旬ではないか?…と、喜びもつかの間一抹の不安がよぎったのであった。 描いた不安は、シナリオ通りに現実となって展開し始めるもののようである。 収録日を1週間後に控えた水曜日、小太郎が通う幼稚園より、インフルエンザ罹患者が広がり始めたため1クラスを自由登園(事実上の学級閉鎖)措置とした旨のおたよりが…。 繰り返すが「おかあさんといっしょ」への出場チャンスは、1度きりなのだ。 ここでインフルエンザなど絶対に頂戴するわけにはいかない。 夜も眠れぬほど?の葛藤の末、その週の残り2日間は大事をとって園を休ませることに決した。 と、いうことで、木曜日・金曜日と小太郎は元気に自宅謹慎した。 ちなみに収録前日の月曜日には元気に登園。(インフルエンザの潜伏期間は一般に2日間なので、仮に月曜日に頂戴しても翌火曜日に支障が出ることはなかろう…と、いうことで。) 万全を期して?やっと収録当日を迎えることができたのである。 渋谷のNHK放送センター西口に、集合時刻は16:15。 スタジオには本人以外、付き添い1名しか入れないにもかかわらず、父、太郎もしっかり午後休をとって、3人で向かった。(実は母の方向音痴は甚だしく、母のみでは無事現地に着ける自信がなかったのです…) 到着後、放送センター西口には、すでに小太郎と同じ年の頃と思われる子供とその母(父)らしき人たちがちらほら集まっていた。 これ以降、入館できない太郎の方は、『適当に時間を潰す…』と言い残し、寂しそうにその場を後にする。 集合時刻が近まるにつれ、徐々に親子数は増え、最終的には50組近く集まっただろうか。 ここで、ある付き添いのお母さんが、ご主人らしき人に『じゃあ、あとはスタジオパークに回って、そこで見てて。』とか何とか話しているのが聞こえたので(私の得るほとんどの情報源は盗み聞きです)すかさず、太郎の携帯へ『スタジオパークで収録が見られるらしい…』という朗報を伝えた。 やがてエプロンをつけた保育士さん風の女性が現れ、集まった親子たちは出入り口より少し奥の廊下の壁沿いに2列に並ぶように指示される。そこで保育士さんが当選ハガキと本人の名前の確認をするのだ。ここからは携帯の電源も切らされ、録音、撮影なども一切禁止!と言い渡される。 さあ、いよいよだ。母も心拍数が上がってきた。 小太郎は…?常にマイペースなはずなのに、今回だけはさすがに、繋いだ手に緊張が伝わってくる。 集まった親たちもテレビ出演前のお子たちの髪や服装を整えたり、『がんばるんだよ!』『おにいさんおねえさんの隣に座るんだよっ!』などと言い聞かせたり…とそれぞれ忙しい。 母も、小太郎に『一生懸命!元気に!がんばれますか!?(注:幼稚園では、ほとんど先生との合言葉のようなもの)』と声をかけてみる。 パブロフの犬のように…小太郎はこの言葉に反応して『はぁーい!』と手を挙げ続けるのだが。本人確認が小太郎の番になり『お名前は?』と訊かれた瞬間、小太郎は答えるどころか母の股間に顔をうずめてしまった。 おい、そんなんで大丈夫か?本当に元気にがんばれるのか…?ここで出場記念品として「ぐーちょこらんたん」のTシャツが配られる。 このあと、子供たちだけ集められ、保育士さんから収録に際しての説明を受けたあと、 『では、大きな声でおにいさん、おねえさんを呼んでみよう!せぇーのっ!』 『おにいさぁーん、おねえさぁーん!』 と、元気な声が響き渡る… と、スタジオ側の廊下から勢いよく、こんにちはーっとダッシュ!してきたのは、紛れもなく…これまでテレビの画面上で、小太郎、母共に一方的に?慣れ親しんできた、だいすけおにいさん、たくみおねえさん、よしおにいさん、まゆおねえさん、その人だ。 夢のよう…。と、小太郎が思ったかどうか。 ぽかんと口を開け、その顔は…完全に雰囲気に呑まれている?!おにいさん、おねえさんに連れられて、スタジオへ向かう子供たち。長く複雑な廊下を細長い列になって歩いていくも、収録の説明時には最前列にいたはずの小太郎がなぜかほんの数メートル先では最後尾に遅れをとっているではないか。 しかも、すぐ後ろに憧れのまゆおねえさんがいるというのに、小太郎には表情もない。今なのだ!あれほど好きで好きで好きでたまらない、まゆおねえさんに…どうして、好きだ!ってアピール出来ないの? 我が息子よ…。母は…もどかしい。 スタジオに着く。ここが毎日観ている「おかあさんといっしょ」のスタジオかぁ…。 (後編へつづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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