朝一番で、その夜に出発するパリからバルセロナまでの夜行寝台国際特急列車のチケットを、地下鉄を乗り継いでオーステルリッツ駅の窓口で確保してから・・・セーヌ川に沿って散歩しつつ、まだ見ていない美術館を目指した、その途中でのこと。
パリの歴史を見守ってきたノートルダム寺院のあるシテ島に隣接し、超高級住宅地としても知られるサン・ルイ島から、セーヌに架かるルイ・フィリップ橋を眺める。
対岸に渡り、ゆるやかな坂道を登ると左手パリ市庁舎裏に教会が。
パリ最古のオルガンが現存するサンジェルヴェ・サンプロテ教会前の小さな広場
その教会を挟んだ、石畳の広場の真向かいに、キリスト教徒のための専門書店があって、にぎわってます。
ポストカードや様々な小物も並べてありましたが、はるるの目をひいたのはウインドウいっぱいに浮かんで居た、ちいさな木彫りの天使たち。
いのりのこころが、そのままにかたちになっています。
単に、かわいい御土産の人形に留まらない「しずかな気迫」のようなものを感じて。
気付いたときには思わず、うすぐらい店の中に入って、ひとつひとつの天使たちと対面していました。
キリスト者が、キリスト者のために、たんねんに「いのち」そのものを削ってつくられたもののように感じて。
なんとなく、購入することをためらうままに、店をあとにしました。。。
あとになってみると、この天使たちと同じものは、たくさん歩き廻ったパリ市内の何処にも見かけることがありませんでしたが。
中世から近世にかけての西洋絵画や彫刻などには、様々なかたちで「天使」たちが描かれていたり、表現されていることに、改めて思い知らされた旅でした。
「天使」というと、こどものイメージが中心の感覚があるけど、「天の使者」というだけで成人の姿のものだってもちろん多いし、ちょっと異様だけれど幼な児の生首の根元から羽が生えてふわふわとまとわりつく場面の作品も、いっぱい見ました。