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石鹸作りの世界的歴史3







植民地アメリカでの石鹸

初めて植民地であったアメリカにやってきた開拓移民たちは、アメリカで石鹸を作ろうと、石鹸作りの材料になるものをたくさんヨーロッパから持って来ていました。マサチューセッチュのベイカンパニーの所有していたタルボットと呼ばれる船は、人々や供給物をヨーロッパからその植民地、今でいう、サレムとボストンへ運ぶために使われていたのですが、その船が、積荷であった大量の石鹸によって傾いていたそうです。マサチューセッツベイカンパニーの初代支配者となったジョン・ウィンスロップは、1630年にヨーロッパに住む奥さんにボストンから送った手紙に、彼女がアメリカ大国に航海してくるときに持ってくる必需品のリストの一つに、「石鹸」と記したようです。

植民開拓者たちがアメリカ大国に定住し始め、最初の数年は困窮を切り抜けて生きようと努力をしていたころ、入植活動の中でできた豊富な木材の灰を使うことで石鹸を作ることができました。食用に使った動物から油脂も取れたので、石鹸に必要な材料は全て入手することができるようになりました。その発見のおかげで、ヨーロッパからわざわざ石鹸が運ばれるのを待つ必要もなくなったどころか、その石鹸を買うお金を節約することもできるようになったのです。その後、石鹸は少しの作業と運で、お金をかけず作ることができました。それから石鹸作りの方法は、半年や一年ごとのイベントで初期の入植者によって公開されました。動物の油脂を取る季節は秋でしたので、その時期に牛脂とラードが大量に得られました。動物が得られなかった農場などの地域では、春に、冬に火を焚くことでできて取っておいた灰と、料理に使った廃油で石鹸を作っておき、これらの石鹸はどんどん蓄積されていきました。

当時のアルカリの精製法

石鹸作りに不可欠なアルカリを昔の人はどうやって木材の灰などから得ていたのでしょうか。当時は石鹸作りには、液状のカリを水酸化カリウムとして使われていました。この液状カリの作り方は、注ぎ口付きの溝のある石の厚板の上に底のないたるを設置し、そのたるの中に木材の灰を入れます。その石の厚板はいくつもの石を積み重ねておいたものの上に設置します。木材の灰ができあがる液状カリの中に入るのを防ぐために、麦わらや小さい棒切れの層を、たるの中で木材を入れる前に設置します。灰の上からゆっくりと水を、たるの下から茶色っぽい液がにじみ出てくるまで注ぎます。そしてその液体が石の厚板の溝の所まで流れ、その注ぎ口を渡って、落ちてきた液体が、石鹸作りに使われるのに相応しい水酸化カリウムとなったわけです。

移植民の中にはこの方法ではなく、ホッパーと呼ばれるじょうご状の器を使って木の灰から水酸化カリウムを摂取していた人もいました。ホッパーは、雨が灰の中に入るのを防ぐために小屋の中に保管されました。水酸化カリウムを常に摂取できるよう、灰は周期的に追加され、水は時々に注がれました。水酸化カリウムは、ホッパーの下に設置された容器の中で保存されました。

油脂の精製法

石鹸を作るために不可欠な材料として、油脂があります。当時は、牛から取れる牛脂や豚から取れるラードのみを油脂としてアメリカでは石鹸が作られていました。石鹸作りに使われる動物油脂を取るのに肝心なこととして、油脂の精製がありました。精製をすることで、油脂の中にある余分なものを取り除いたのです。今の時代でもお肉屋さんから未精製の牛脂やラードを頂いて、石鹸作りに相応しいきれいな油脂にするためにキッチンでこれらの油脂を精製されるソーパーさんも少なくはありません。その方法については、「動物油脂の精製法」を参考にして下さい。当時は、石鹸を作るために料理のときに出た廃油を少しずつ取っておかれたのですが、この廃油も、精製される必要がありました。しかし、冷蔵庫もない時代で長い間廃油を集めていたので、廃油はほとんど酸化してしまいました。酸化臭のする廃油も、精製することによっては臭いを取り除くことはできたのですが、これらの廃油でできた石鹸は普通にきれいな油脂からできた石鹸と同じように洗浄力があったにも関わらず、あまり人々には好まれなかったようです。

油脂とその同じ分量の水を入れた大きい鍋は、家の外で火を使って精製されました。というのも、この過程は非常に強い臭いを発したからです。油が完全に溶けたら火を止め、さらに最初に入れたのと同じ分量の水を加えます。そして一晩おき、冷まします。次の日にはきれいな精製された油脂が鍋の上で固まり、余分なものは油脂の下の水の中に落ちた状態になっていたのです。この固まった精製油脂だけを石鹸作りに使うために取り除きます。今の時代でも、このように料理を通して精製油脂を見ることがあります。例えば、肉じゃがを作って、冷蔵庫に保管した次の日の朝には白い油が肉じゃがの上に出ているのを見たことがあると思います。



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