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おんな鮎釣り師のホームページ

⑨野良犬のクロ・・・クロの営業妨害


どうしてクロの話しを書きたいと思ったのか考えてみた。
犬好きなので今までも何匹か飼った事があるし、それぞれが可愛かったし頭のいい犬もいた。
お気に入りの犬や忘れられない犬、思い出すと泣けてくる犬もいる。
クロとその子達との違い、それはペットと友人(?)くらいの違いかと思う。
明らかに私のペットではなかった。
クロの一生にわずかながら関わらせてもらった一人だった。
その表現が一番近いように思う。
今は亡きクロを忘れないうちに、書き留めておきたかった。
書き始めてかなり記憶が曖昧な部分も多いことに気付いた。
事実とずれているところもあるかもしれないが、お許し頂きたい。


さんざん探し回っても見つからずガックリ疲れ果てて家に帰ってみたら、クロはちゃっかり帰っていたそうです。
ただ家の周りを見回りに行っただけだったようです。
それにしても人騒がせな奴です。
どんな所に棲むのか、確認するのは当たり前でしょとでも言いたかったのでしょうか。
ケロッとしたクロの顔が想像できるようでした。
何事もなくて良かったです。

クロは夜中にはいつものように駐車場や、もとの棲家にいました。
以前と変わりないようでしたが、困った事になりました。
軽トラックが来ると飛び出して来て、猛烈な勢いで吼えるようになったのです。
軽トラが入ってくるだけで吼えまくり、お客さんも車から降りられないくらいです。
もともと真っ黒で怖そうな姿形なので、そんな犬に吼えられたらどんな人でもあまり気持ちのいいものではないです。
捕獲車が軽トラックだった事、それから子供たちがいなくなった事、それらがクロの頭の中で軽トラックは敵だとインプットされたのでしょうか。
とにかく他の車が来ても吼えないのに、軽トラが来ると狂ったように吼え出します。
お客様にも申し訳ないし、とんでもない営業妨害です。
飛び出して行って叱ってもなだめても聞いてくれません。
クロの気持ちもわかるような気がして、なんだかかわいそうで強くも叱れませんでした。
でもそのままにしておく訳にもいかず、困り果てていました。

結局トラックに乗って、クロも一緒に仕事について行くことになりました。
クロもやっと落ち着いたようでした。
クロも野良犬じゃなくなったのです。

すっかり安心していたある日、クロを乗せたトラックが崖から転落する大事故を起こしたらしいとの知らせを受けました。



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