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A to Z of SCI

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2008.07.25
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胸部レントゲン検査をしました。「古い炎症の跡が基質化しているが、経年変化がないので問題ない」といういつも通りの診断でした。

先週、頸椎損傷で四肢麻痺になってから6度目の健康診断を受けました。脊髄を痛める前年にも同じところで受けていますから、そこには7年7回分のデータがあります。健常の頃は、6リットルの肺活量を誇っていました。

車いすでの受診は私だけではないそうですが、まだどなたともお会いしたことはありません。私の場合、車いすのまま視力、血圧、肺活量、眼底、眼圧をすませ、ストレッチャーに移乗します。それから心電図、腹部エコー、腹囲、採血、胃カメラ、胸部レントゲン検査です。
胸部レントゲン検査だけは機器に横付けしたストレッチャー上で座位をとります。先ず長座位で左脇を機器にあてます。この時、前に上げた両腕を技師が支えてくれます。次に、両脚を90度回し、端座位で背中を機器に着けます。技師は左肩を支えてくれます。7回とも同じ技師です。大柄の男性、K氏です。
正面(実は背面)写真には、肋骨の下に白いドーム状の線が写り込んでいます。位置的に横隔膜のようですが、横隔膜はレントゲンに写りません。呼吸器内科医に確認したことがあります。ずっこけ座りで天井を向いた下腹の輪郭でした。

車いすからストレッチャーへの移乗は、健康診断というルーチンワークの中で、スタッフにとっては余計な仕事です。最初の頃は女性が4人がかりで私を抱え上げていました。4年くらい前から男性スタッフがかり出されるようになりました。女性は横から手伝います。一昨年はK氏も呼ばれていました。去年もK氏はいました。私は、相変わらず抱え上げられながら、「毎年ありがとうございます」と彼に声を掛けていました。
そして今年です。 例年通り、新顔の女性スタッフが「いつもどうしていますか」と聞いてきます。K氏もいることを確認してから、「立位がとれるので、立位で移乗します」と答えました。そこからは、全スタッフが私の指示通りに動いてくれました。車いすをストレッチャーの足もとに横付けし、K氏が右脇、別の男性スタッフが左脇のアシストにつきます。起立した私の立位が安定してから、女性が車いすをどけます。そこにストレッチャーをずらし、私が腰を下ろします。3人でできました。誰ひとりきつい思いはしていません。
しかし、この移乗の成功は当然のことです。4年くらい前に身につけ、何度も使ってきた技ですから。これまでこの場で試さなかった理由は、この時期の身体的パフォーマンスの低下とスタッフに余計な仕事をさせているという遠慮でした。今回なぜ思い切ったのか、それはわかりません。

K氏と女性技師がストレッチャーをレントゲン室に運んでくれました。K氏が唐突に言いました;
「立って撮りますか?さっきの移乗のように、私が横につきますから」
この言葉は私を驚かせました。ただ、非常に残念なことに、突然すぎたので、私は喜ぶことを忘れていました。
立位でのレントゲン撮影。早い時期からの具体的目標でした。リハビリの起立と立位保持の領域の最終ゴールと考えたこともあります。成功したらその場で泣くかもしれない、涙の訳は誰も知らない、そんな妄想に耽ったこともあります。もちろん、このことは誰も知りません。妻にも話していませんでした。
それが今現実のものになろうとしています。しかも病院スタッフの提案によってです。これまで私から提案しなかったのは病院側の抵抗を予想したからです。移乗の場と異なり、レントゲン室ではスタッフはひとりだけです。そこには転倒のリスクがあります。いくら私が成功率100%と言っても、自己責任といっても、病院側はリスクをとらないと思っていました。
それが今現実のものになろうとしています。

結局、立位でのレントゲン撮影は行われませんでした。
「側面はどうしますか」との女性技師の言葉が、側面撮影について何の準備もしていないことを、私に思い出させました。経験してきた立位保持の手すりは、前であれ横であれ、腰の高さです。肩の高さに腕を上げたことはありません。他動運動としてしか上げられないでしょうし、上半身に過度の緊張が入ることは予想できますが、それが足腰にどのような反射を引き起こすかは予想できません。転倒のリスクがあることは確かなのに、それを自分自身が見積もれない状況です。これほどやばい実験を強行する場ではありません。
「どちらも座位で行きましょう」私から告げました。

決着の前に成功や勝利を確信することがあります(ここで油断して失敗や敗北という結末もあります)。今回がまさにこれですが、自己評価でなく他人の評価なので満足しています。
それにしても、よくぞ言ってくださいました。
"立って撮りますか?"





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Last updated  2008.07.25 09:58:27


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