この世には不思議なことなど何もないのだよ―古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。
凄い今更ですが、京極夏彦さんの「姑獲鳥の夏」を読みましたw
これまで何故に読んでいなかったのだろうと思える安定した面白さがあり、独特の世界観も「巷説」シリーズを先に読んでいた為かすんなりと入り込めました。
重厚な世界観ですが文章的に読み易く、京極堂のご高説も全く問題なく読めました。
事件的には妊娠20箇月の謎自体は前から想像していた通りで驚きはなかったのですが、密室からの失踪事件に関しては真相に驚くというよりもこれがアリなんだと言う事に驚くと同時に、この真相に持って行く物語を展開させた事に感動すら覚えました。
先日の山田正紀さんの「神狩り」と同様にデビュー作とは信じられない位に完成度が高く、そして独自の世界観を構築している作品ですね。
登場人物としては、噂の主要キャラ4人組は皆好感が持てました。
探偵役・京極堂は正に博覧強記という感じで安心感が感じられましたが、語り手・関口の不安定さは場合によっては犯人になっても不思議がないと思いましたww
若干、木場の出番が少ない感じもしますが、その片鱗は十分に出ていますね。
そして、やはり一番のお気に入りは榎木津礼二郎ですねw
エキセントリックなキャラだとは聞いていましたが、ここまでぶっ飛んでいると非常に気になりますし、今作ではまだまだ本領発揮ではないのでしょうが、今後の活躍を期待させるのに十分なインパクトでしたw
他にも少ない出番でも気になった里村先生や京極堂の妹といった脇役も好感が持てました。
続けて「魍魎の匣」を読み進め、後300ページ位で終わるのですが、分冊文庫で買ったのは少し失敗だったかもしれないです。
3冊揃っていた「魍魎の匣」はともかく、次の「狂骨の夢」は1冊も手元にないので揃えるのが大変そうで続きが読みたいのに読めないジレンマに早速陥りそうですw
いっそ、通常の文庫版で買うか迷い中ですよw