紹介文
敗戦の混乱のさなかに金満家の老人が急死し、残された彼の壮大な邸に本妻・妾・小姑の3人の老女が同居する。二人を追い出そうとする本妻、居座ろうとする芸者上がりの妾、血縁を主張する妹。3者入り乱れての虚実のかけひき。嫉妬と猜疑の渦巻くすざましい葛藤を赤裸に描き笑いの中に“老い”の恐怖を見据えた表題作。他に“役者廃業”“亀遊の死”“なま酔い”など7編
タイトルからしてすごい。
ちなみに“さんばば”と読みます。
“さんばばぁ”ではありません。
こちらは表題作他7編の短編集です。
有吉佐和子さんは以前にも藤堂志津子著“彼のこと”でふれましたが
“悪女について”や最近ドラマ化されたらしい“不信のとき”、
またちょい 昔の女性の生き様を描いた大河小説など
オンナの
ドロドロした心理を軸に
本当に読み応えのある本を沢山書かれています。
(注)褒めてるんです。
大河小説なんかを先に読んでいたのでかなり昔の方だとおもってたら
何の1984年54歳で亡くなられたとのことなので
全然時代の接点のない方ではなかったんですね~。
また旧家、華族なんていうモチーフもちりばめられた作品が多く、
これまたなんていうかその雰囲気というか空気の感じが良く出ているなぁ
と思っていたら本人、
本物のお嬢様だったそうではないですか。
またエキセントリックな言動でも知られていたとか。
びっくりしたのは
“笑っていいとも!”のテレフォンショッキングにも
出ていたとか!
見たかった~。
そう思って読むとこの本の中の“水と宝石”の主人公瑤子は
著者の分身として描かれているのかも、と思ってみたり。
この本で一番印象に残ったのは表題作より“役者廃業”かな。
昔は役者としての野心に燃えていたのに師匠にその芽をつまれて
許婚も無くした今は場末の寿司職人になっている老人の昔語り。
かなり悲しい話なのに、
人生あきらめも必要さ、みたいに
語っているところに逆に哀愁感じたり。
でも未練たらたら何だけどそえがまた人間臭かったり。
なんていうか、この老人は“もう終わってる”んだけど、
何も無かった人生よりは良かったと思って死ねるんじゃないかなと思って。
“三婆”はどれもただの
自立心のない嫌な女じゃん。
本妻、別居して30年も何やってたんでしょ?勝手に妾作って別居されたのは
気の毒としても別居後30年ですよ。
自分も他に相方見つけるとか趣味に生きるとか仕事するとか
何かしたら??
妹!自分が行かず後家なのはともかく、兄にたかって一生終わるつもりだったの?
その時代仕方が無かったにしても結婚しないなら働くとか
手に職つけるとか。
それがダメでも兄嫁に
寄生する資格はないってことくらい自覚して欲しいわぁ。
一番まともそうに見えるのが妾だけれど、これもコロっとだまされて
ボケちゃうしね。
今のオンナとしてはまったく理解できません。
いがみ合ってても結局最後は協力して生活するしかないというオチのようですが。
ちょっと
イライラするお話でしたがお話自体には引き込まれます。
こんな風に人生終わらせたくないなと思う1品でした。