紹介文
山には可愛いキツネ、地下鉄のホームではとびきりの美女。コロンボ空港には愉快なペテン師、イスラエルの街角では巨大なパフェ。どこかで何かが待っている。旅人が来るのを待っている。見えない何かを見つけてしまう、聞こえぬ何かを聞きつけてしまう、そんな旅の達人のしなやかで、瑞々しい言葉がぼくらの背中をポンと押す。さあ、狭い部屋を飛び出してドキドキ探しの旅に出よう。
初・池澤小説は
“夏の朝の成層圏”で著者に関しての
知識はまったくないまま読んだのですがすごく気に入り
今でも
ばみベストの上位にあるのですがあまり多作な方ではないのか
たまたま縁がなかったのか他の作品は読んでいませんでした。
この本は小説ではなく
旅エッセイです。
“インパラは転ばない”。
“カンガルー日和”とか
“羊をめぐる冒険”とか
カワイイ動物を先に持ってきて安心させておいて
そのあとになぞめいた言葉がくっついたこういった題名に
結構弱いです。
内容はなんとあの
ハイソ雑誌、その名もCLASSYに
掲載されたエッセイだそうです。
割と日常のなんでもないことや今までのたびで印象に残ったことを
さっくり書いていて、それほど強烈に印象に残ったエピソードはありませんでした。
CLASSY読者向けにちょっとオサレにでも
ちょっと冒険少年っぽさも盛り込んで見ました、って感じかな?
ひとつだけ引っかかったのが、
世界中どこに行っても食べるものに対して違いがあるわけでもないし、
という一説があるのですが、
ワタシは食いしん坊のせいか“そんなことな~い!”
って思いました。
本当は大して違いはないのかもしれないけれど
その場で味わうからこそこの上なくおいしいものって
必ずある。
同じものを違うところで味わってもそれほどおいしいとは思わないのだけれど。
ワタシにとっては
バリの寝坊した朝、ふらっと立ち寄ったカフェの
ナシ・ゴレン。
同じくプーケットで程よくおなかがすいたサンセット時に
オン・ザ・ビーチカフェ11番(津波の前には名バーだけのカフェがたくさんあった)
で食べた
トム・ヤン・クン。
あの濃厚な空気の中で味わうからからこそこの上なくおいしく感じたん
だろうなぁ。
シドニーで食べてもそれほど感動はしないもの。やっぱり、おいしいけれど。
本書の最後のほうにもあるけれど
南国の空気って言うのは
濃くって味がある。香りもある。
それだけを楽しみに訪れる価値があると思う。
次の休暇は沖縄にしようと考えているのだけど。
あぁ待ち遠しい。
シドニーも南国だと思ったのに、ちっとも。
半端な都会で人も空気も乾燥しまくり。
早くもっと北の南国(っていう言い方もへんだけど、南半球なので)
へ移住したいよう。
ところで、池澤氏の娘さんって池澤春菜さんっていう
人気声優さんなのだそうで。
なんとこんなカワイイ方。
びっくり。