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全盲フリーライター・川田隆一の「つれづれなるままに」

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2009.10.22 楽天プロフィール Add to Google XML

これでいいのか、神奈川県社会福祉協議会!!? ~駅からの送迎を願うのは障害者の「甘え」か~
[ カテゴリ未分類 ]    

 社会福祉協議会主催で、障害者の移動をテーマとした研修会に
パネラーとして招かれました。最寄り駅から会場への送迎を依頼したところ、
一度は約束しておきながら、「忙しくて手がない」と断られてしまいました。

 私の仕事の多くを占めるものに、小中学校や大学、教育委員会主催の
講演会の講師があります。毎回初めてのところにお伺いすることが多く、
全盲の私には常に移動の不安と緊張感が付きまといます。しかし、
遠い、近いにかかわらず、ほとんどの講演に、白い杖をついて一人で
出かけています。

大概の場合、主催者にお願いして最寄の駅から会場までの送迎をして
頂いています。来週も、教育委員会主催の人権講演会で群馬県に
お招き頂いています。事前に先方の担当者から「当日はどのようなサポートが
必要でしょうか」とのお問い合わせがありました。遠慮がちに駅からの
送迎をお願いしたところ、快く承諾してくださり、改札口で待ち合わせを
して頂けることになりました。これまでに最寄り駅からの送迎を断られた
ことは、一度もありませんでした。

ところが、なんと!地域福祉の推進を図ることを目的に税金を使って
活動している社会福祉協議会から、今回初めて断られました。

社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会が主催して、明日、10月23日に
行われる「障害福祉ボランティアリーダー研修」のパネルディスカッションに、
パネラーとして出席してもらいたいと、依頼がありました。

テーマは、

「もっと自然に、もっと気軽に行動したい!
~くらしの中の身近な『移動』を考える~」

というもので、私には視覚障害者の立場から、身近な生活圏での移動の
現状と課題について話してほしいということでした。

 社会福祉協議会の担当者とは、先方の希望で、10月20日に
かながわ県民センターにある事務所で打ち合わせをしました。
当日は、横浜駅の北西口で担当者と待ち合わせをしました。私にとって
そこは初めての場所でした。絶対に遅れてはいけないので、30分前に到着する
電車に乗りました。そして、通りがかりの人や駅員さんに助けて頂きながら、
10分前には無事に北西口に着きました。

 打ち合わせの際、

・当日は一人でお伺いすること

・会場の神奈川県社会福祉会館にはお邪魔したことがなく、道中が不安なので
 JR横浜駅から会場までの誘導をして頂きたいこと

をお願いしました。担当者は、追って待ち合わせ場所と時間を連絡する旨、
約束してくれました。

 その後、1日待ちましたが、連絡がありませんでしたので、私から確認の
メールを送りました。すると、程なく、こんなメールが届いたのです。

> 川田隆一様
>
> 23日の件なのですが、実はうちの課のシフトの関係で、当日の
> ボランティアセンターにいる職員が1人しかおらず、横浜駅までお迎えに
> いくのが難しい状態になってしまいました。
> 会館までお越しいただくのに大変恐縮なのですが、お一人で来て頂く事は
> 可能でしょうか。

 私としては、道中に不安があったため、長らく苦悩した末に、思い切って
誘導をお願いしたのです。会場は、打ち合わせした場所とは違う場所で、
横浜駅から歩いて15分のところにあり、公園の近くと聞いています。一般に、
視覚障害者が初めて向かう場所で、徒歩15分の距離を一人で歩くことには、
大きな不安があります。駅の中なら、プラットホームから落ちないようにさえ
気を付ければ、通路に自動車が来ることはありません。しかし、初めての道路を
15分歩くのは、かなりの緊張を伴うものです。目が見える人が15分なら、
私の場合にはもっと多くの時間がかかると思います。道を尋ねた相手が
親切で地理に詳しい人だったら、順調に着けるかもしれません。でも、
途中で迷ったら、1時間かかってもたどり着けないかもしれません。

先方は、
「金を払うのだから、タクシーででも来ればいいじゃないか」
くらいの考えだったのでしょう。しかし、

「もっと自然に、もっと気軽に行動したい!
~くらしの中の身近な『移動』を考える~」

という研修会のテーマからして、全く本末転倒です。

仮にタクシーを利用しても、目的の建物から少しずれた場所で
降ろされるだけでも迷ってしまいます。近くにあるという公園にでも
迷い込もうものなら、尋ねる人すらいないかもしれません。

「一人で来ることは可能か?」と問われれば、それは可能です。しかし、
目的は会場に一人で行くことではありません。パネラーとして
発言することです。緊張の一人歩きに気力を費やし、会場にたどり着くころには
へとへとになっているかもしれません。それでは無事に到着することが
主目的となり、パネラーとして発言することは二の次になって
しまいそうです。

自宅まで迎えに来てほしい、と言っているのではありません。
最寄り駅までは一人で行くから、その後のことを少しだけ助けてもらいたいと
願っているのです。

障害のある私も頑張る。頑張るから、障害のない人にも、ちょっとだけ助けて
もらいたいのです。

今回の社会福祉協議会の対応は、視覚障害者の安全よりも先方の
都合を優先するものではないでしょうか。これは、視覚障害者の歩行環境の
実情や移動の保障について、社会福祉協議会の認識が皆無であることを
くしくも露呈したもので、無神経過ぎる対応のように思えてなりません。
学校や企業など、障害者のことを知らない人たちならまだしも、
よりにもよって、私たちの税金で運営されている社会福祉の専門機関が、
こんなお粗末なことをしてもよいのでしょうか。第一、障害者のことを
よく知らない学校や企業だって、もっともっと誠実で人間味のある
対応をしてくれています。それなのに、社会福祉協議会ともあろうものが!!?

「障害者の気軽な移動」をテーマとしたシンポジウムで、主催の
社会福祉協議会が、視覚障害を持つパネラーの移動の保障よりも組織の
都合を優先するだなんて、正にブラックユーモアでしょう。

それに、この研修会を聴いてみたいと思う視覚障害者がいても、
最寄駅から会場までの移動の保障がないために、参加を断念せざるを得ない人も
少なくないはずです。視覚障害関連の会合などでは、時間を決めて駅などで
待ち合わせをし、みんなで会場へ移動するように配慮してくれる主催者が、
いくらでもあります。また、この研修会では、視覚障害者への
情報補償としての点字資料の準備なども、一切ないようです。

社会福祉協議会主催の研修会なのに、障害者を軽視したこうした対応は
あまりに悲しすぎます。障害者の移動について啓発活動を行う前に、まず
神奈川県社会福祉協議会自体の意識を改めて頂くことが先決だと
思うのです。

 皆さんは、駅からの送迎を願う私の方が、障害者として甘えていると思われますか?

平成21年度障害福祉ボランティアリーダー研修開催(神奈川県社会福祉協議会)



Last updated  2009.10.22 22:53:11





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