人間にとっての「二方向性( palintonicity )」(*注1)を考えた場合、動作の起点が「頸部・胸郭から」か「骨盤から」か(すなわち、sky/reach type か earth/push type か)に囚われるべきではないし、それらの地点からワークを開始する必要もない。
人間は表象操作によって、「セントラル・ライン」を思いのままに延長することができる(「セントラル・ライン」の延長については、アイダ・ロルフやエメット・ハッチンス(*注2)も示唆している)。しかしそれは、フベール・ゴダール(*注3)の言う「原始脳( archaic brain )」(*注4)には無理なことである。
私たち人間は、スポーツやパフォーマンス(ダンス、演劇など)などの身体的文化を有している。それらは言わば「象徴的活動」であり、そこで用いられる動作は、ときに日常的なものを超えてしまう。たとえば、短距離走者は「二軸」で激走するために、身体を越えた「空の一点」を走行の起点とする。
(*注1)ロルフィング5原理の一つ。
(*注2)第一世代のロルファー。ギルドの創設者の一人。
(*注3)フランス人ロルファー。「トニック・ファンクション理論」を提唱。
(*注4)アーサー・ケストラーやポール・マクリーンの言う「反射脳・爬虫類脳(大脳基底核)」を指す。