カテゴリ:マネージメントとコンプライアンス
北京でビジネスを進めるのですから、商談の相手は中国人ですし、日本企業の現地法人であっても社員はほとんど中国人です。原則として日本語が話せません。
日本語の話せる優秀な部下に委ねれば良い、と考えがちですが、日本語が流暢だから仕事もバリバリにできるとは限りません。また、あなたの日本語の指示や考えは、その日本語が話せる部下だけにしか伝わらないのです。その部下が、あなたの指示通りに中国語で伝えたかどうか、あなたは確認ができないのです。 では英語でビジネスを進められるか、というと、北京では無理です。そもそも、日本語を母国語にする日本人と、中国語を母国語にする中国人が、どちらの母国語でもない英語で仕事を進めるなんて、小泉さんとブッシュさんが中国語で会談するみたいなものです。 しかも、北京の人たちは、英語が流暢で話せる人であっても、積極的に他国の言語を口にしない傾向があるようです。 中国でビジネスを進める以上、中国語を基本にする必要があるでしょう。ですから、中国語に自信の無い日本人は、通訳のお世話になるわけです。 商談相手が長々と中国語で話していたのに、通訳が短い日本語で通訳してしまう傾向が良くあります。そして、言語能力の高い通訳ほどその傾向があります。 商談相手が話したことを逐語訳せずに、結論の部分だけ訳すとこうなるのです。このような場合、商談相手が長々と話していた「前置き」の部分の90%くらいはビジネス上重要ではない内容である場合が多いので、合理的に商談を進めるのであれば、結論の部分のみ要約して訳してもらうのも心地よいのです。前置きの部分は、言い訳だったり非合理的な心情の部分だったりしますから。 でも、中国で長く仕事をしていると、商談相手のこうした「前置き」の部分があとになって重要な情報になってしまうことが多いのです。マイナスの場合もプラスの場合もあります。 だからと言って、通訳に逐語訳を求めると商談の時間が長引きますし、聞く側の日本人もウンザリしますし、話す側の中国人も話の流れを遮られてしまい、「前置き」の効果が薄れてしまいます。 まして、社内の問題を解決しなければならないような場合、通訳も問題の当事者も同僚ですから、通訳に逐語訳を求めても意図的に訳さなかったり、当事者が通訳に知られたくないことは言えなかったりします。 通訳を介して、中国ビジネスを進めていくのは、結構難しいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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