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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2010.01.08
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カテゴリ:ビジネス習慣
中国でビジネスを円滑に進めるために、取引先や協力者個人に対して、金品を贈与する習慣があります。
これは何も中国に限ったことではありません。日本でも接待は行われていますし、お年賀、お中元、お歳暮、昇格祝い、出産祝いなど金品を贈与する習慣あります。<常識の範囲内>を条件に容認されているのです。

役人に対する賄賂は別格としても、日本企業が中国で戸惑うのは、中国における<常識の範囲>や倫理観が日本のそれとズレているからでしょう。春節(新年)、中秋など季節の付け届けや結婚や出産のお祝いなどについては、金額の多い少ないを別とすれば日本人でもすんなりと受け入れられるはず。いっぽう、取引金額の一定割合を現金でお返しすることが慣習化している業界もあります。中国では<常識の範囲>であっても、現在の日本企業においては個人に対するバックリベートという認識となり抵抗があるはずです。

特にナーバスになるのは現金の授受でしょう。iPhoneのプレゼントや日本への招待旅行であれば容易に承認できますが、それとほぼ同額(3,000RMBとか10,000RMB)の現金を取引先の個人にお渡しするとなると、躊躇してしまうでしょう。
けれども、受け取る側は現金のほうがありがたかったりするのです。
中国で働いていると、20代の会社員が推定年収をはるかに超える高級車を乗り回していたり、年収の数十倍はするマンションを購入したというお話に出くわしたりすることがあると思います。親族の援助やローンもありますが、中国では会社の給与とは別に<副収入>を得ている勤め人が、未だに多くいるのです。その<副収入>こそ、業務上有利な立場によって得られる現金なのです。
中国の現金授受を含む交際接待費は、GDPの10%ほどの規模になるだろう、と言っている方もいます。

善悪やモラルを言及するのは後回しにするとして、中国の日系企業が対応に苦心するのは、現金の会計処理でしょう。
そもそもご贈答に寛容な中国では、企業規模や業種によりますが売上の0.5%程度が税法上の損金扱いとなりますから、日本よりも交際費に寛容と言えます。
とはいえ、売上の0.5%程度で済まない場合が多いでしょう。損金扱い枠を超えてしまえば、使途不明金(利益)と見做され企業所得税が課せられてしまいます。しかも、中国税務は<インヴォイス主義>、發票(公給領収書)を信憑(エビデンス)とするので、個人に現金を贈る場合は、エビデンスが無いので全額使途不明金となってしまいます。
税務当局も、現地<優良>企業や零細企業には甘い場合もありますが、外資系企業、まして大企業であれば厳しくチェックします。

中国人財務経理責任者は、支払いを遅らせることと税金を少なくすることに、悦びを見出します。日本では内部統制やコンプライアンスへの過敏な対応が常識となっていますが、中国では中国人財務経理の方が中国の<常識の範囲内>で対応しようと努力しています。まわりの会社が同様の処理をしているのに、日本企業だけが真っ正直に対応する必要はない、と言う論理です。
ビジネス上個人への現金贈与も必要だとなれば、より税金を少なくする方法で会計処理したいと考えるのが、中国では<有能な>財務経理責任者なのです。取引先や協力者個人に贈与するための<裏金>は、以下のような手口で準備されるのです。

初歩的で無垢とも言えるのが<領収書集め>でしょう。
社員や知人に依頼して、プライベートな支出の際に必ず公給領収書を受け取ってもらい、会社として集めてしまう方法です。飲食代なら交際費になってしまいますが、事務用品や消耗品として処理できる領収書もあります。その領収書の額面金額が費用計上して、<裏金>として活用するのです。社員の領収書集めにインセンティブを出す企業もあります。例えば、額面10,000RMB分集めたら300RMBプレゼントみたいに。
また中国にお住まいの方ならご存かも知れませんが、公給領収書を売ってくれるお店もあります。偽物をつかまされるケースもありますが、本物を額面の10%くらいの金額で購入できることもあります。いずれにせよ、会社ぐるみでさまざまな手段で領収書を集め、費用として計上するという原始的方法です。

もうひとつの手口は、社員の給与に上乗せするパターン。
実際は月給5,000RMBなのに10,000RMB払っていると言うことにして、差額(年間ならば6万RMB)を<裏金>にすると言う方法です。この方法は労働法が改正され、福利厚生が厳格に運用されるようになってからリクスが高くなりました。給与の額面が大きくなれば、福利厚生費も多く計上しなければならないからです。ただ実際は<基本給>を基数に福利厚生費を計算している企業も多く、上積み分をボーナスやインセンティブとして処理することにより、余計な費用計上を逃れたりする場合もあります。

更に大掛かりなのは、第三者の企業にマネーロンダリングしてもらう手口です。
自社が影響力を維持出来ていて、ある程度の統制も効き、なおかつ税務当局などと良好な関係を持つ現地企業と組んで<裏金>を作る方法です。簡単に言えば、その現地企業に架空または上乗せ発注して、現金を用意してもらう仕組みです。原価または費用として会計処理できるので、比較的多額な<裏金>を用意することができます。

いずれの手口の場合でも、準備できる<裏金>よりやや多くの金額を費用や原価に計上することになりますが、使途不明金として課税させられるより<お得>になるように、財務経理責任者は頑張るのです。
付け加えるならば、贈与した相手個人に迷惑がかかってはいけないので、一切証拠は残さない、と言う暗黙のルールがありますが、このことがビジネス成長のためと<裏金作り>に関与した日本人管理者の前途を危うくする要因にもなることが多々あります。

いずれの場合も現在の日本では、不正経理操作として糾弾されるべき行為ですが、20年前30年前から日本の会社で働いていれば、きっと似たような不正行為に関わったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「日本も昔はこうだった....。中国も近いうちに変わるだろう。」日本企業のコンプライアンス担当者が、中国に来てよく口にします。10年前の私もそう思いました。けれども10年経ったいまも状況はあまり変わっていません。

中国の日系企業の管理者として、こうした状況にどう対応するのか、はっきりと筋を通すことが求められます。
現地のセールススタッフから「現生を用意できれば販路が思いっきり開けるんですが」と相談されたとき:
「日本企業はコンプライアンスを重視するから、そのようなことは一切できない。会社が用意した贈答品でなんとか頑張れ。」と激励しますか?
「うちの製品は品質がいい。バックリベート払ってまで取引する必要はない。」と突っぱねますか?
それとも、熱心な部下のために<裏金作り>に関与しますか?
ベストアンサーは無いように思えます。
また、自分のスタッフが金品や供応を受ける立場であったら、どう対応しますか。ローカライゼーションが進んでいる企業であればあるほど、現地スタッフが要職に就くことになります。中国でも日本の<常識の範囲内>で戦ってもらうことが美学なのでしょうか。

欧米系の企業のほうが、どちらかと言うと中国の<常識の範囲内>でうまくやっています感じは受けます。日本企業は潔癖症が多いですね。まぁ、清濁併せ呑むと言う考えも大切だと思います。

※本文は、違法行為や脱税などを教唆したり支持するものではありません。念のため....。





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Last updated  2010.01.08 20:27:38
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