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2007年12月16日
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カテゴリ:雑感・日記
 こんばんは。伊東です。
 今日の記事は…フィクションの小説を書かせていただきます。
 たまにはこんなんのも許してください。



 ある冬の日。
 高橋元気は一人、街を歩いていた。

 特に何か、というわけではないが、この日は共産党の活動もなく、仕事も野球もあるわけではない。ただ、誕生日の日に一人で家にいるのが寂しいという、ただそれだけの事でクリスマス商戦でにぎわい、忘年会に向うにぎやかな人たちが沢山いる街を歩いていたわけだ。

 メインストリートから離れた、その商店街が一瞥できる橋の上で、元気は一人、たたずんでいた。
 言い忘れていたが、元気に友達がいないわけではない。
 ただ、その友人はそれぞれに家庭を持ち、そういう面々に「誕生日だから付き合えよ」と言える性格を、この男は持ち合わせていなかった。
 街を歩く人々の表情。
 暮らすこと、そのものに大変な世の中ではあるけども、そんな中でも、人は今手にある幸せをかみしめながら…そして、今ある苦難に歯を食いしばりながら生きている。

 「人が生きるための下敷きになる…ってのが、俺の生き方なんだけど、今のまんまでいいのかな?」
 元気は手をじっと見つめている。
 今の政治に対する不満。自分たちもその不満に対して抵抗しているけど、そして、自分たちの働きかけに反応は示してくれるものの、選挙という、政治に関わる人たちが全て通らなければならない「試験」では、結果を出す事が出来ないでいた。
 自分の生き様に対する、手ごたえというのが感じられない。
 その事に対して、悩まない日は一日もなかった。

 川面を眺めている元気の背中に衝撃が走った。
 「何だよ?!」
 振り向くと、意外な顔と出会った。

 「ゲンさん、久しぶりですね。川ずっと見ているから、そのまま自殺でもするのかと思いましたよ。」
 杉山明日美。元気の出た高校の後輩。元気が母校の野球部のコーチをしていたとき、その帰りの商店でよく話をしていた子である。
 「よっ。明日美ちゃんじゃないか。すっかり大人っぽくなってな。」
 「ゲンさんは変わりませんね。体重が増えたぐらい、ですか。」
 内心、放っておけ、と思った。

 「何だ、会社の忘年会じゃなかったのか?」
 「あの馬鹿部長、私のとこ抱き寄せて『へへへ、酌してよ』って、いやらしい顔で迫ってくるんですよ。べたべた変なところにも触るし…やんなります。」
 女優の田中麗奈に似た顔をぷーと膨らませながら、明日美はふくれた。
 「で、どうしてやったんだ?」
 「背中に手を回してやって…背広の背中に『私はセクハラ大将です』と書いた紙、貼ってきちゃった。」
 おいおい。
 「いいんですよ。どうせ普段からみんなに嫌われている部長…性格には部長代行代理ですから。たまにはお返ししないと。」
 本職は何だよ…それまで硬い表情を崩さなかった元気の、相好が崩れた。

 「やっと笑いましたね。
 色んな人から聞いていましたよ。ゲンさんがこの2年、どの位苦しんでいたか。
 高血圧になるわ、ウツになるわ、歯は欠くわ、足は2回も手術するわ…
 大変でしたね。」
 「大変って程でもないさ。」
 「普通の人から見たら、十分に大変です。
 私、一度病院でゲンさん見たんですよ。
 他の同級生は見逃しても、私は見逃しませんよね。」
 元気は黙ってうなずく。
 「その時は…うつろな目をしていました。死んでいましたよ、目が。」
 「…。」

 「それから程なく、ゲンさんが気狂って、車を遠くまで暴走させたって話を聞きましたよ。松本さんから。」
 一の親友の松本真か…余計な事言いやがって。
 確かに、あの時は自分が何がなんだか分からず、あるテレビ番組で何処かの関西弁語るレポーターが生意気な一言語り続けたのにブチぎれて…同居していた祖母は傷つけたくなかったから(かろうじてその程度の理性は保っていた)家を飛び出して…。
 気がついてみたら、朝8時になっていて、石巻の道の駅にたどり着いていた。
 奇跡的に事故りもせずに。

 それから2年。一歩歩いて二歩後退して、二歩歩いて一歩後退して…の繰り返し。
 それでも、だんだんに働く時間帯も、その難度も上げていった。
 体調と相談もしながら。
 気が狂っていた時期にぶっ壊した風呂釜も修繕し、まともに風呂も入れるようになった。生活習慣も一つ一つ、まともにしつつあった。少なくとも、夜寝られずにやっと寝る事ができたと思ったら朝6時だった、という事は今はない。

 「心配はしました。でも、私じゃどうにも出来ないと思って。
 何がどうしたって、自分自身で立ち直るしかないでしょ。
 ゲンさんはきっと立ち直る。
 そう信じていたから、私は突き放したんです。」
 確かに…あの時期に明日美ちゃんにあっていたら、過度の依存心が発生してしまう。
 それは、復活するには+にならないものになっただろう。

 「一般的な社会人から比べれば、まだ復活したとは言えないけど、それでも、ゲンさんの目の力、戻ってきていますよ。私たちがした、数々の失礼を受け止めてくれたあの頃の。
 いいですか、ゲンさん。
 これだけは覚えていてくださいよ。
 他にも仕事が出来たり、頭のいい人は沢山いるけども、
 この人がいるから、自分もしっかり生きていこうって思わせることが出来る人はゲンさんだけですよ。
 ある意味目標にされている事を忘れないで下さい!」

 …目標、ね。こんな俺のどこに…。
 「どんな苦境に立っても、自分崩さないで生きているでしょう。
 それだけで、十分ですよ。」

 「明日美ちゃん、そりゃ褒めすぎだ。」
 「…」
 何か言いかけて、明日美が言いよどんでいるうちに、元気が続けた。
 「でもよ、君の一言一言が、俺の心に刺さる。
 こうして話しているだけでも、君からエネルギーもらう事が出来るよ。
 ありがとよ。」
 元気が明日美の肩をたたく。

 「もう二次会始まるんじゃないのか?身近な人同士での。」
 「あ、いけない!もう9時半だ!
 このままだと『あら逃げたのね』なんて言われるし…
 二次会会場に行ってきます。」
 「おう、言ってらっしゃい。」
 商店街の方に駆け出す明日美…だけど、その足をふと、止めた。
 「ゲンさん。」
 「何だ?」
 「私からカツ入れさせていただきますよ。最近覚えたんですよ。護身術を。」
 おいおいおいおい!俺に何しようってんだよ!
 「動かないで下さい、ゲンさん!」





 11時。まだ元気は橋の上でたたずんでいた。
 「頭突きを護身術に使っている所ってあったっけかな…。
 まあ、いいや。」
 頭を抑えていた右手を、唇に持って行く。
 「…一度、身を焦がす位にホレた君に恥じない人間に、俺はなるよ。
 そして、君も含めて、一生懸命生きる人の“踏み台”に鳴るのが、俺の使命だ。」
 街は、まだ賑わっていた。
 元気はその様子を眺めつつ、またも視線を川面に持っていって…そして、ふと顔を上に上げた。
 「いい星空だな。
 こんな星空、ずっと『いい星空』で見ていたいもんだ。」
 夜は更けていく。
 明日という朝日を見続けるために。
 明日を切り開くために。



             どんとはれ。



 …感想どうだったべ?
 ま、雰囲気だけでも酔わせてくださいよ。
 こんな事、実際にはありえっこないんですから(涙)。
 こんな馬鹿ミニストーリーだけど、感想でもありましたらコメント欄にでもどうぞ。
 今日はここで失礼します。

「火事」「風邪」「苛政」
 いま気をつけましょう3つの「か」


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最終更新日  2007年12月16日 22時07分45秒
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