2~娘ネコとの生活始め2.娘ネコとの生活始め初代ネコのももたがいなくなってから、その娘発見(白ネコでしかも顔が似ている、という理由だけで)!という感動の出会いがあったのですが、目が合った途端に逃げられました。 ももたがいつ帰ってきてもよいように、という淡い期待もあって、わたしはベランダにいつもキャットフードをおいていたのですが、しばらくすると、それが減っていくようになりました。 ベランダのガラス戸越しに見ると、確かに白いものがうずくまってカリカリしているのです。 うれしくなって、戸を開けた瞬間には、もういませんでした。 そんなことが続きましたが、それでもわたし達は少しずつ馴染んでいき、半径30cmまで許されるようになりました。そのうちに、わたしが仕事から帰って部屋の明かりを付けると、ベランダに浮かぶ白い影が『にゃ~(あけれ)』という声と共に入ってきて食事をとり、(ネコは夜行性なのでは?というわたしの淡い知識を覆すかのように)ベッドで眠って、朝になると『にゃ~(あけれ)』といって、出て行く…という生活に変わってゆくのでした。 そのネコに、わたしは初め『宮沢さん』という名をつけました、愛らしい顔とスッとしたスタイルで、人間界で言えば『宮沢りえ』並みだろうと思ったからです。 ついでに下の名前もつけました『つれ』(あまりにツレナイ性格なので)。後に、『み』を足しました(女の子なので)。 別な所では、別な名前があったのかもしれませんが。 実は彼女は、首に茶色の汚い紐を巻いていたのです、よくよく見ると元は『緑色のリボン』だったというのが分かりました。 しかし、飼い猫にはとても見えない警戒心の強さでした。 うちにはその頃、『ぼんぞう(体の大きなボンボンという感じなので)』と『タクミくん(見た感じが何となく)』というネコたちも出入りしていましたが、宮沢さんは小さなタクミくんをいじめて追い出してしまいました、わたしは驚き腹を立てて宮沢さんを叱ったら、逃げられしばらく帰って来なくなりました。 彼女は帰ってこなかったのではなく、帰ってこられなかったのです。 いなくなってからも、わたしはあまり気に掛けずに「その内に帰ってくるさー」くらいに思っていました。 5日ぶりだったでしょうか、ベランダに出ていたら(本来)真っ白な(筈の)生き物がズルズルと這っているが、目に入りました。 生き物…とりあえず、それは動いていたのでそうだろうと思っただけです。 それが宮沢さんだとは、すぐには結びつかなかった…彼女は変わり果てていました。 猫の匍匐前進を初めてみました。 それはまるで、切り株を引きずって帰ってきたチョビのようでした。 匍匐前進で、彼女はうちのベランダに帰ってきたのです。 うちに帰ってきたくせに、慌てたわたしが駆け寄ると、反射的に逃げようとするんです、やっぱりかわいくないのです。 でも、相手は弱っているので勝負はすぐにつき、あっけなく抱きかかえられると後は箱の中でジッとしていました。 車に轢かれたのでしょう、下半身が平たくなっている、丸かった顔は半分の大きさにゲッソリしている。 右足は酷い怪我でした。 『無理だ』と思いました。 『何とかしなきゃ』とも、思いました。 『何とかしても、無理だ』と思いました。 こんな状態、見たことない。 それから、高速バスで40分の動物病院通いが始まるのでした。 3へ |