12~可愛いネコの運び方12.可愛いネコの運び方年末年始のネコ全滅の危機、それから、その3ヶ月ほど後に起こる出来事を除いては、いつも通っている病院がありました。 そこは、メガネをかけたアンパンマン風の先生と優しそうな奥さんの、お2人でされている動物病院。 うちからは、歩くと20分ほど。 その病院への道のりというと。 うちを出て3分で、小学校。要するに、沢山の児童が通る、通学路です。 そして、すぐに国道。 そしてJRの踏み切り。 それらを渡り切って、動物病院へ到着、というわけです。 そしてわたしは、車の運転が出来ません。 だから、歩きます、ネコを抱えて歩きます。 以前はキャリーケースを持っていましたが、人に貸したら、戻ってきませんでした。 ネコも入りたくなさそうなので、それなら♪と、紐をつけて散歩風にと思いましたが。 ひとりずつでも、無理でした。 ともたろうはわたしを引っ張って、好き勝手に歩こうとする。 きくのはとりあえずどこかに逃げようとするので、抱っこしたらキック。 つれみは、地面に降ろそうとするとわたしによじ登ってきます、そしてワンワン、ビャービャー、泣く。 小さなきくの(3キロ以下)のキックはたかが知れているので、キックされながら20分、歩きました。 しかも、帰りは疲れてグッタリしているから、たいそう楽。←きくの つれみ(MAX時、4キロ)はあまりに哀れな泣き声の為、傍目からは、ヒトがネコに良からぬことをしている様に見えたことでしょう。『ワオ~ン』『ハイハイ』『ワォ~ン…』『ハイよ』と、始終合いの手を入れつつ、なだめすかして20分。 それでも、行きはわたしにシッカリとしがみついていてくれるので、まだ助かります。 帰りはというと、まるで精魂尽き果てたようにグッタリふにゃふにゃになった、元ネコをですね、こう…逞しいヒーローが、気絶したヒロインをヒョイと肩にかけて運ぶような感じ(分からなかった方、すみません)で、連れて帰ります。 『にゃ…』すら、発しません。 わたしの肩に両手と頭をだら~んと預けて、帰宅。だら~んとなったものは重いのです。 しかし部屋に一歩入った途端、ネコに戻る現金さは何だろぅ。 大らかなともたろうは、病院に行くときだって違います。 自ら抱っこ(7キロです!)そして、通学路、国道、踏み切り、ALL OK! 彼にとっては、全てが楽しい散歩。 ここでわたしはひとつ、失敗をしてしまいました。 小学生の下校時間と重なってしまった。 ともたろうは、初めて目にする道路の向こう側の子供達をどう思って見ていたのでしょうか。 きっと少し興奮したのでしょう、それまでおとなしくわたしに抱っこされていたのが、ウズ・ウズウズと動き出し、肩にヒョイと手を掛ける。 外出時には必ず紐をつけているので、勝手に走り出す心配はありません。 しかし向こう岸とはいえ、一度に多くの子供を見ては、流石のともたろうも逆上するかもしれない… ふとそんな心配が過ぎり、心に隙間が出来た瞬間。 ともはわたしの肩にヒョイと登り中途半端に立ち上がった後、わたしの頭の上に両手を乗せて得意の『肩車のポーズ♪』を決めてしまったのです。 下校する子供達の目の前で…。 ←ともたろう(左)とつれみ←TV上のきくの 慌てふためき、且つさりげなく紐を引っ張って降ろそうとしても、ビクともしない7キロは、そのまま悠々と子供達の眼前を通りすぎてゆくわけです。 『子供らの 無邪気な視線 一身に』 こうなったらと覚悟を決め、あくまでも、『ウチはいつもこの方針ですから!』という毅然とした態度でやり過ごそうとしましたが、おそらく高学年であろう女の子の言葉が耳に入ってきました。 『シ~ッ!いかんって、笑ったらいかんって!』 …。 …思いやりを、ありがとう。 13へ |