|
カテゴリ:ss
<地点B>
あー、大分楽になったな。よーやく頭痛も治まってきたし (……メシアは流石にまだ撃てないか。もしくはヴェイダのおっさんにサテライトをやられたか……) (カノンのほうはまだやってるな……「ニオイ」が途切れない。血と泥のニオイとセットだと更に敏感に分る。流石に不死者相手だと24時間行動できるか、デスマスク) (……デスマスク、か) <3年前 ???> (当時、俺は時空警察みたいなことの手伝いをしていた。目的は行方不明の親父と友達、そしてカノンとアウラが、どの並列世界に飛ばされたかの調査だった) (だが、俺は思いもよらない物で「一人目」の手がかりを得ることになった) 押収された裏モノDVDとデータのチェック? そうだ。今は人手が足りなくて、臨時特別隊員の君にも手伝ってもらいたい はぁ、まあ未成年卒業したんでいいですけど (給料を貰い、尚且つ個人的な調査を手伝ってもらっている以上は断る訳にもいかず、普段やってる仕事より幾分かは楽そうだったので結構気楽な気持ちで承諾したこの仕事。此処で俺は、思わぬ再開を果たすことになった) (まだ12,3歳くらいの少年だろうか。髪の毛をぼーぼーに生やした少年が、大人の命令に従い、一心不乱にバットで誰かを殴り続けている映像) (俺は食い入るように映像を見続けた。少年は何も喋ることなく殴り続け、まるでそのことが呼吸するのと同じように『自然』なことなのだと言わんばかりに映像の中で虐殺を繰り返している) ――――カノン、お前そこで何してるんだ?―――― (思わず呟いていたこの疑問に答えてくれた奴は、誰もいなかった) (俺は集めれるだけこの映像の少年の裏モノ映像を入手し、そして見続けた。数は大凡40本) (少年の映像デビューは、資料によると4歳らしい。この年でこういうのに出演したということは、恐らく誰かが余興のつもりでやらせたのだろう。………そして、あいつは必死で喜ばれる『殺し方』を覚えた) (この少年は今何処にいる? そう思い情報を集めていると、) いや、それがな……その少年は身元が不明で、尚且つ今行方不明なんだよ。手がかりはこちらでもなし、だ。 (こうして、折角手に入れた手がかりは、闇の中に消えていった。実際にカノンと再開するまでは……) <現在 地点D> おいロア、無事か? 既にあの包丁で……多分三桁は切られてると思うんだが? (そう思うなら少しは積極的に参加して欲しいものだな) 城よ、奴の行動……どう思う? 先程からロアを集中攻撃しておるようじゃが ……恐らく、楽しんでいるんです。不死であるロアさんやガイルさんを何度も突き刺すことで、一種の喜びと快楽を堪能しているんです ふー……ふー…… ……その喜びがある以上、コヤツは止まることなく動き続けるという訳か…… しゅこー……しゅこー…… 『カノン、兄ちゃん駄目だな。お前が困ってた時に何も出来ずに、自分の事で精一杯で……兄ちゃん失格だな』 『カイト兄さん、僕はどうすればいいんだろう。警察に指名手配受けちゃった……なんでかな? 僕、賞金首をやっつけてお金を稼いでいただけだよ? それしかお金稼げないのに、なんでなのかな?』 『カノン。人間って言うのは多分、そういう生き物なんだ。すぐ危険視して、差別して、攻撃してくる……そういう種族なんだよ』 『……兄さん。人間は残酷なんだね』 『そうだな、カノン。けど、忘れるな。俺たちもまた、その人間から生れたんだ。この事実は、消すことが出来ない』 『兄さん? 何故泣いているの? カイト兄さん……』 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.09.13 03:36:56
コメント(0) | コメントを書く
[ss] カテゴリの最新記事
|
|