天宅さん【フライト346】上空346mの位置から地表を「俯瞰」するように、自分の人生を振り返って見ていく。その中には、家庭環境、両親との関係、地域性、師との出会い、現在の仕事の起点になった源泉、バルブ・フラッシュ、宇宙からのサイン、サブテーマなどが秘されている。過去は情報の宝庫。思いもよらないモノが見つかったりする。そしてそれらはこれからの人生を進んでいくにあたり「指針」的な役割を果たす場合が非常に多い。 ところでなぜ346mなのか? それはHeiz銀座に来ようとしなければ絶対わからない。 【音職人の風景 第7話】 高校編 text= SHINOBU AMAYAKE ------------------------------------------------- <高校編> 高校に進んで、ピアノをやめてしまった。 コツコツ練習することへの違和感と逃げ、だった。 勉強もしない。 する理由が見つけられない。 授業の選択も音楽ではなく美術を取った。 音楽の授業は面白いと思えなかったけど、絵を描くのは楽しかったから。 毎日退屈だった。 私の人生で一番「のらくら」した時期だ。 部活にも入らず、授業が終わると友達とアテもなく繁華街をぶらついたり、 帰宅してドラマの再放送を見たりしていた。 「ピアノをやめる」と言ったとき、母は「もったいないな」と言ったけ れど、強く引き留めはしなかった。 この「退屈」は、「同志社の校風のせいだ」と思ってた。 ほとんどの人が余程悪い成績でなければ同志社大学に推薦入学出来る。 みんなお気楽で呑気で平和に感じた。 京大や医者を目指して外部受験をする人達もいたけど、 いい学校に行く理由も見出せない私はそれにも同調できなかった。 同志社の中に興味をそそる人は誰も居なかった。 「自分次第」ということには、気づかないフリをしていた。 この時期、他校の1つ上、2つ上の人達と一緒にバンドを始めたことか らよくつるむようになる。 ちょうどみんなバンド活動を始める年頃、パパッと弾ける私は重宝がら れてよく声をかけてもらった。 (同志社の中でもバンドをしていた。高校時代、唯一同志社の中で楽し い出来事だったかな?) キーボードを弾いたり、バックコーラスをしたり、メインボーカルをしたり・・ キーボードではハードロックからフュージョン、歌はアン・ルイスや聖 子ちゃんも歌ったっけ・・・ 他校の年上の友人の家に泊まりに行ったり、 その中の一人の家が持ってる空いてる借家でみんなで「お泊まり宴会」をしたりした。 高校生なのにアルバイトをして自立しているように感じたその仲間はみんな、 同志社の呑気な同級生よりとても大人に思えた。 その中にいるのは刺激的だったけれど、自分は紛れもなく「呑気な同志 社そのもの」だったから、 「私はみんなと違う」「本質的には受け入れてもらえていない」と自分で勝手に思って疎外感を抱いていた。 漠然と負い目を感じていた。 みんな年上だったこともあり、それぞれ高校を卒業してバイトがメイン の生活になり、私が高3になる頃までにはその仲間とはだんだん離れていった。 つづく 文/天宅しのぶ(あまやけ・しのぶ) ------------------------ ■天宅しのぶプロフィール 京都市生まれ。父親が囲碁棋士という数奇な家庭環境の中で育つ。 幼少の頃から音楽の英才教育を受け、同志社女子大学音楽学科に進学後、 レストランなどでピアノを弾くアルバイトを始める。この頃から「ジャズ」にも目覚め、 多くのライブ活動に没頭。卒業後は任天堂に就職、スーパーファミコンなどの ゲームBGMを多数作曲する。 退社後、上京してからしばらくはジャズヴォーカルに専念。現在はプロの ジャズヴォーカリストとして銀座・六本木・赤坂などのラウンジやライブハウスで 毎週ライブを行っている。また多種多様な音楽をクリエイトする音楽制作会社 「AMKミュージック」の代表を務める。音楽の持つ「力」でそれを聴く人々を 幸せにしていく、という志を持つ。天竺バントのヴォーカルでもある。 ■関連記事 ・豊田廣志のエッセンスへGO! ■LINK 天宅しのぶHP ・ジャズボーカリストとしての天宅さんのホームページです♪ 天竺バンド・リハーサル映像 ・宮崎考雄(g.)、七海人(dr.)とのトリオバンド「天竺」で天宅さんはボーカル・キーボードを担当してます。 ■AMKミュージック業務内容 ○任天堂DS等のゲームBGM制作 ○携帯電話の内蔵着信メロディ制作 ○各種音楽データ制作 ○声優・ミュージシャン演奏手配・録音など ■実績 Docomo=N902iX-HighSpeed Docomo=N703iD(佐藤可士和モデル) の両機種の全内臓着メロ制作 au=W52SH 内臓着信メロディ制作 au=MEDIA SKIN(吉岡徳仁モデル) 任天堂DS 「ポケモンレンジャー パトナージ」BGM制作 「ミラクル小学1年生」(学研)BGM&効果音制作 ■天宅しのぶ得意技 「モノのイメージを顕す曲作り」 任○堂の入社試験。 「絵を見て30分以内にイメージに合う曲を作って楽譜を作る」 彼女の場合、絵を見て、パッパッパッパ、と音が浮かぶ・・。 こういう能力にずば抜けている。 例えば携帯電話の音作りの実際のお仕事では 携帯のデザインコンセプトを聞いて、実際携帯を触り、眺め、 イメージを右脳でつかんでそれを音にするのがまず速い。。 それを担当者が聞いて「もっと丸い音」とか「もっと深い音」などと いう要求(イメージ)を拾い修正を加えることがさらに速いのである。 曲作りW速・・・とでもいいましょうか。。 文・取材/ 七條@七海人 ----------------------- 目次に戻る Heiz銀座広報誌【新価値通信BE☆SEE 第8号】 |