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BE★SEE -------- produced by Heiz Ginza

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長尾さん

【PCオレンジのパソコンよもやま話 vol.9】

求められる高齢者用のパソコン

text= TAKUYA NAGAO
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 先日Heizのある会員さんに「PCオレンジのパソコンよもやま話」は文字が多いので読み飛ばしてしまうと言われました。かなりショックを受けましたので、今後は極力短めにしたいと思います。(笑)

 さて、私は仕事柄、高齢者宅にお伺いしパソコン指導などをよく行いますが、現場に行って初めて気づかされることがたくさんあります。そして、それぞれについていろいろと考えさせられます。
 今後ますます高齢化社会に突入していく中で「現状のパソコンは本当に使いやすいのか」といった疑問に対し、あるメーカーの開発したパソコンがあります。
 今回は、富士通が開発した高齢者向けのパソコンについてのお話です。


■富士通がシニアやPC初心者をターゲットとした「FMVらくらくパソコン」を発売
 富士通は既に2008年6月に高齢者向けのパソコンをWeb直販で発売していました。この頃から少し注目していたのですが、今回新しく発売したパソコンは、より高齢者向けに使いやすい機能が搭載されています。
 特徴的なのはキーボードで、母音となる「A」、「I」、「U」、「E」、「O」と、「っ」などの小さい文字を入力する際に便利な「L」のキーを色分けして見やすく配色しています。また、キーの刻印も大きめに刻印してあります(私が個人指導する際には「L」ではなく「x」で説明しますが、どちらでも大丈夫です)。
 パソコン画面も「らくらくメニュー」という大きく分かりやすい画面が出るように工夫されています。
 こういった、高齢者向けの配慮はとてもいい傾向だと思います。
 しかし、まだ解決されていない問題もたくさん残っています。


■最新パソコンの一番の問題点は・・・
 私がこの仕事を始めた頃から感じていることは、パソコン画面に表示される文字がかなり小さいということです。
 若いうちはいいですが、高齢になってくると文字が小さく読みづらいようです。
 技術が発達するにつれて液晶モニターの性能が上がり、同じ表面積の中で表示できる情報は増えていきましたが、結果、そこに表示される文字は小さくなり見づらくなっていきました。
 フルHD画像を表示できるモニターの場合、解像度は1920×1080ドットになるわけですが、これを表示できる最新のモニターはなんと21.5インチサイズ(476mmx268mm)になっています。
 つまり約48cmx27cmの画面の中に1920×1080ドットが存在しているわけで、分かりやすく言うと、かなり文字が小さいということです。
 高齢者の方がパソコンを買うときに一番気にするのが文字が見づらいということで、これについて現在のところ抜本的な解決はまだ出来ていません。
 WindowsVistaで改良されたDPIスケール(文字の大きさ設定)も、対応ソフトのばらつきなどによって、あまり効果的に使われていません。2009年末に出るといわれている次期OSの「Windows7」ではより改良されるそうなので、実はかなり注目しています。


■富士通が高齢者パソコンを開発するときに行ったこと
 末尾に記載したリンク先を参照していただくと分かりますが、富士通の高齢者パソコン開発にまつわる開発者のインタビュー記事があります。
 そこを読むと、様々な試行錯誤、試作品の開発、アンケートやヒアリングを経ていることが分かります。
 そして、そのこと自体はとても当たり前なわけです。
 つまり商品を開発する際に、使う人の対象年齢性別、使用方法などをろもろをリサーチする。
 あらゆる製品はそういったマーケティングを経て世に出ているわけです。
 しかしパソコンという商品は、十二分に使う人たちの事を考慮して世に送り出しているといえるのでしょうか?

 これはメーカーだけの問題ではなく、WindowsのOSを発売しているMicrosoftにも大きく依存する問題です。


■これからのパソコン世代の変遷
 時代は移り変わり、世代も移り変わり、現代の小学校ではパソコンを普通に授業で教え、場合によっては、パソコンで宿題を提出することもあるそうです(パソコンを持っていない家庭の場合、学校で居残りの宿題をするそうです)。
 そういったパソコンに慣れ親しんだ子供たちが高齢化したときは、もうパソコンが生活の一部になっているでしょう。
 だからといって、まだまだたくさんいる今の高齢者を切り捨てるのも忍びないと思います。
 各社パソコンメーカーは、中高年から高齢者までが使いやすいパソコンを、もっともっと現場で使っている人たちの声をリサーチして、商品の開発、改良を推し進めていって欲しいと思います。

 パソコンの性能が使う側の能力を凌駕している現在、改めて使いやすいユーザーインターフェースとは何かを、Microsoftと各パソコンメーカーが協力して考えていって欲しいと切に願っています。


※今回は敢えてMacの話を避けていますが、Macのユーザーインターフェースの秀逸さに関しては文字数が多くなるため、別の機会にしたいと思っています。



【参考URL】
富士通、初心者が使いやすいキーボードを搭載した「らくらくパソコン」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1106/fujitsu.htm
いよいよ、シニア向けPCに本腰を入れる富士通
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1106/gyokai269.htm

 
文/長尾卓哉(ながお・たくや)
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■長尾卓哉プロフィール

岐阜県生まれ。パソコンをはじめ、写真・CG製作・料理・マジック・演劇・教育など多彩な才能を持つマルチ・タレント。子供から高齢者まで、どんな人にも使いやすいパソコン環境を世の中に構築していくことを志し、(有)PCオレンジを設立。パソコントラブルの出張サポートを中心に、人々にパソコン・ワールドを優しく説いていく活動を続けている。

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映画でも短編ドラマと長編ドラマがあり、それぞれの良さがあります。短いほうがよい場合と長くないと伝わらない題材もあります。私は長くとも長尾さんの文章はPCワールドバイブルだと思って見させて頂いております。(編集部)

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Heiz銀座広報誌【新価値通信BE☆SEE 第9号】 


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