長尾さん【PCオレンジのパソコンよもやま話 vol.10】複数ブラウザ使用の薦め text= TAKUYA NAGAO ------------------- 先日Google Chrome というWebブラウザのベータ版がとれた正式版が公開されました。 現在主要なウェブブラウザ(以下ブラウザと表記)として、いくつか製品があります。 ・Internet Explorer 6 (Microsoft) ・Internet Explorer 7 (Microsoft) ・Mozilla Firefox (Mozilla Japan.) ・Safari (Apple inc.) ・Opera (Opera Software ASA.) ・Google Chrome (Google) それぞれに特徴があるかというと、そうでもなくそうでもありといったところで、どれを使うかについては使う人の好みになっています。 ちなみにすべてのブラウザソフトは無償で利用できます。 今回わざわざこれらを取り上げるのにはちょっとしたわけがあります。 それでは、複数のブラウザを使い分けるとどう良いのか、それを考えてみましょう。 ■ホームページを表示するってどういうこと? 皆さんが見たり読んだりしているホームページはある仕組みの上で表示されています。 それが、HTTPというものです。 この記号を略さずに表記すると、Hyper Text Transfer Protocol となり、インターネット回線から流れてくるデータの形式を言います。つまり、ホームページを見るときはこのHTTPのデータを受け取っているわけです。 受け取ったHTTPのデータを目に見える形で表示しているのがブラウザになります。 インターネットに流れているHTTPデータを受け取るのは、WindowsだったりMacだったり、また別のOS(Linux など)だったりもします。 Windowsでは標準でInternetExplorerですね。Macの場合はSafariです。Linuxの場合は、Firefoxなどが使われます。 ■どうしてこんなにブラウザソフトがあるの? 最近のWebブラウザのシェア(どれくらいの割合で使用されているか)の調査を見てみましょう。 1位 Internet Explorer 6 32.6% 2位 Firefox 3 28.6% 3位 Internet Explorer 7 23.5% 4位 Firefox 2 4.3% 5位 Google Chrome Beta 3.9% 6位 Opera 9.x 2.8% 7位 Safari 3.1.2 2.2% 8位 Internet Explorer 8 0.4% 9位 Firefox 1.5.x 0.1% 10位 Internet Explorer 5.5 0.1% ※CodeZineの2008年9月ブラウザシェア調査結果(IE6とIE7の表記が分かれている結果で探しました。) これはCodeZineというサイト(開発者向けのWebサイト)を訪れた人の統計ですから一概に世相を反映しているとも言えませんが、3割以上の人がFireFoxというWebブラウザを利用しています。GoogleChromeはまだベータ版ですが利用している人がいますね。その他、OperaやSafariを利用している人もいます。 ホームページを見るだけなのにどうしてこんなにたくさんのホームページ表示ソフト(ウェブブラウザ)があるのでしょうか? それにはたくさん理由があります。 他のブラウザを製作している会社は、InternetExplorerがMicrosoft社の製品ですから、1社独占にしたくないという思惑もあるでしょう。そのほかにも、Operaは携帯電話のウェブブラウザとして広く利用されています。ブラウザを作成する会社側にはそれぞれの思惑がありますが、利用する我々もそれぞれ良い点があるからいろんなブラウザを使い分けているわけです。 ■進化したウェブブラウザたち ホームページを表示する形式は、皆さんの目に見えないところで着実に進化してきています。 ホームページで自由にレイアウトが可能になっているのは、CSSという機能を使っているからですが、HTMLというHTTPを表示する規格とCSSの規格は時代を経て様々に拡張され進化してきています。 それに伴って、ブラウザ側もいろいろと変化が起こってきています。 InternetExplorer6までは、タブという機能はありませんでした。 ホームページをいくつも表示してタブで切り替えるという仕組みはInternetExplorer7で実装されましたが、FireFoxやOpera、Safariなどは最初から利用可能でした。 タブを使うとホームページの閲覧が非常に便利になりますが、InternetExplorer6しか使っていない人は、その便利さを体感できません。 それ以外にも、ブックマークの管理がより便利になったり、ホームページをサムネイル(縮小画像)として一覧表示する機能(Operaが採用し、現在ではGoogleChromeでも利用可能)などがあります。 また最近一番感心するのが、文字の表記におけるスムージング機能です。 これは、AppleのSafariで利用されています。 文字の表記のスムージング処理は、文字の読みやすさに繋がります。輪郭がカクカクしている文字を大量に読まされると目が疲れてしまいますが、Safariを使うと長文でもまるで本を読んでいるかのように読むことができます。Macでホームページをいつも見ている人は当たり前の機能ですが、Windows上のSafariでようやく体験できるようになりました。 ※これと近い使い方としてブラウザの表示フォントの変更という方法もあります。私はいろいろ試した結果「小塚ゴシック」を文字表示のフォントに指定しています。大量の文字がとても読み安いですよ。 新機能以外でも、ブラウザはホームページの表示速度でもそれぞれ競い合っています。 現在ホームページ表示が最速と呼ばれているのはGoogleChromeです。この表示の速さを求めてGoogleChromeを使う人もいます。 ※私はGoogleChromeは文字の行間が他のブラウザに比べて詰まっているため、文字が読みにくいので使っていませんが・・・。^^) ■一番のお勧め、画面の拡大縮小表示の進化 私はFireFox3 をメインブラウザに利用していますが、FireFox3の画面拡大縮小表示はとても素晴らしい機能です。これと同様の機能を有しているのは、ほかにもOperaとInternetExplorer7があります。 この機能を一度使うともう元に戻れません。 使い方は簡単です。キーボードの「Ctrl」キーを押しながら、マウスの中央にあるスクロールするホイールを上下にクルクルしてみてください。これで表示が変わるのがわかると思います。 今までのInternetExplorer6までは、通常の拡大作業を行うと、文字がどんどん大きくなっていくだけでした。これはフォントの拡大しか行われていないうえ、フォントサイズが固定されているホームページ上の文字は文字が大きくならないため画面に変化が見られません。 しかし、FireFox3などの新しい画面拡大機能を持ったブラウザで行うと、ページ全体が大きくなっていきます。このページ全体というのはホームページを構成している画像も自動的に拡大されます。 ホームページ全体が大きくなるととても読みやすくなる上、画面のレイアウトも崩れません。 しかもFireFox3だと、過去に表示したサイトの拡大率を覚えているため、次に表示しても他のサイトは等倍(100%)表示ですが、一度拡大したニュースサイトは次に開いたときも自動的にいつも拡大表示してくれます。 使ってみるとこの便利さは体感できると思います。 それぞれのブラウザに長所があるので使う人の好みで使い分けるのが、現在の賢いブラウザ利用法ではないでしょうか。 ■Googleが起こすWebブラウザ革命の序章 そんなたくさんのブラウザが乱立している中、Googleはその先を考えているようです。 Googleはそのホームページを表示するブラウザ上で、プログラムを動かすことを考えているようです。 「Native Client」という呼称で発表された機能では、ブラウザ上でX86バイナリを動かすというもので、簡単に言うとWindowsのプログラムをブラウザ上で動かすことができるのです。 これのどこがすごいかといいますと、MacであろうとLinuxであろうと、ブラウザ表示ソフトの中で、Windowsプログラムが動いてしまうというわけです。(正確にはx86バイナリですが) MacのSafari上で、Windowsのゲーム「Quake」が動くデモが発表されています。 現在のところはまだ開発途中ですが、この「Native Client」は次世代の機能として世界中に衝撃を与えています。 ブラウザ上でWindowsのプログラムが動くとなると、極端な話WindowsというOSがいらないとさえ言えてしまうわけですから。 ■まとめ 無償のブラウザはそれぞれのホームページからダウンロードできますので、是非活用してみてください。 お気に入りのブラウザが見つかったら、それをメインで使うのもいいと思います。 上記では触れていませんが、ホームページの印刷機能もそれぞれのブラウザで便利さが違います。プログラムのダウンロードに関しても、一時停止して後からダウンロードができるブラウザもあります。 じっくり使ってどれがいいか試すには時間がないかもしれませんが、無償で様々なブラウザを体験できるわけですから、試さない手はありません。 使い慣れたボールペンを脇によけて、新しいボールペンを使ってみる。そんな感覚で別のブラウザに触れてみるのもいいと思います。 □参考サイト□ Firefox Opera Safari Google Chrome Internet Explorer ブラウザでx86バイナリ実行、グーグルが新技術 文/長尾卓哉(ながお・たくや) -------------------------------- ■長尾卓哉プロフィール 岐阜県生まれ。パソコンをはじめ、写真・CG製作・料理・マジック・演劇・教育など多彩な才能を持つマルチ・タレント。子供から高齢者まで、どんな人にも使いやすいパソコン環境を世の中に構築していくことを志し、(有)PCオレンジを設立。パソコントラブルの出張サポートを中心に、人々にパソコン・ワールドを優しく説いていく活動を続けている。 ■LINK PCオレンジ ・PCオレンジのホームページ。 ◆パソコン出張サポート業務・法人保守・個人指導 ◆有限会社 PCオレンジ ◆代表取締役 長尾 卓哉(ナガオ タクヤ) ◆電話受付:9時~21時 日曜定休日 ◆TEL:03-3335-8656 ■Heiz新価値度82(ト度100・TQ度100・BQ度100・銀座度10・EDGE度100) PCの「扉」的存在のブラウザの話題を持ってこられるとは流石ですね。。ブラウザとは何か・・というのが大まかにわかったような気がします。アドバイスに従っていろいろ使ってみようと思います。(編集部) ■関連記事 もえさんの記事へGO! ■バックナンバー ⇒2008年 3月 容量が少ないとパソコンは調子が悪くなる? 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