<020>からつづく
「ウェブ進化論」私的検証021---第一章 「革命」であることの真の意味 その6
------------------------------------------------
「何ものにも似ていない」こと p037
著者は、これからネット上ので起こることを、量子力学のファインマン教授の「諸君がこれまで見たことのある何ものにもにていないのである」という言葉を持ち出して、何ものにも似ていないことを強調する。
ニュートン力学の世界から見た量子力学の世界と同様に、リアル世界からネット世界を見れば、「不可思議」「奇妙」「ミステリー」以外の何ものでもなく、その異質性や不思議さをそのまま飲み込んで理解するよりほかない。「これまで見たことのある何ものにも似ていない」ネット世界のエッセンスが、ここで述べた三大法則に集約されているのである。 p039
多分、量子力学にさえ似ていない、まったく新しき何かが起こると、著者は強調する。
シリコンバレーの長老達の知恵 p039
ここでは、シリコンバレーの苦難の歴史が語られる。シリコンバレーとは言え、決してオプティミズムに彩られた楽天話の連続ではないのである。そして、なお、こう続く。
そしてこれから「三大潮流・三大法則」が引き起こす地殻変動の本質は、「ITとネットワークの価格性能比が臨界点を超えたことで、私たちが想像もできなかった応用が現実のものとなる時代の到来」で、その本質を象徴する企業がグーグルである。 p041
シリコンバレーの歴史を語る著者を見ている限り、必ずしも、著者は、決して単純はおっちょこちょいのオプティミストではない。それでもなお、著者は、ドンキホーテにもにたピエロ的とも思える言葉を吐き続ける。
確かに、ありえる話である。しかし、こちらとて、だまされすぎて人が悪くなったという訳ではないが、素直に他人の話に感動するには、すこし馬齢を重ね過ぎてしまったようだ。まして、このブログは「私的検証」である。本著を批判的に読み解く姿勢は、まだまだ崩すことはできない。
その本質を象徴する企業がグーグルである。
この言葉を、著者は、次の章でも繰り返すことになる。
ブライアン・アーサーの技術革命史観 p042
ここのほぼ2ページに渡る論考は、保留。この論旨に近い文書は30年ほど前のアルビン・トフラーの「第三の波」を思い出すが、時代と環境と事実があまりに変化してしまっている。このような論考には、私は全く慣れていないので、この辺に論及するには、基礎的な知識を身につけなくてはならない、ということを強く思う。
ただ、サンタフェ研究所のブライアン・アーサーについては著者が「情報革命こそが次の十年を牽引する?」という文章を別なネットページに書いているので参考になった。
単にウェブ進化論の中で、おいらの生活どうなるの・・? という探求だけでなくて、並み居る天才達には、まったく及ばずとも、このような哲学的(?)知的な探求があるんだ、ということを知っておく必要もあるのだろう。ただ、今はまったく手をつけずに素通りすることにする。
産業革命よりも重要な転換 p044
ここは、前段より分かりやすく面白い。面白いが、ただ単に読んでみていると、ただレポート用紙に箇条書きにした雑なシナリオを読んでいるだけのような、なんとも空しい飢餓感を感じる。この「ウェブ進化論」の新書本一冊を読み終わったら、じっくりと、この辺あたりを読み込んでみたいものだ。
そして、この章の最後は、前章ででてきた言葉が、また繰り返される。
ITインフラの本質は、インターネットの「あちら側」に作られる情報発電所とも言うべき設備だったのだ。そしてそのことに最初に気づき、創業からわずか7年で画期的な大成功を収め、産業界の盟主に一気にのし上がったのが、グーグルという会社なのである。 p045
<022>へつづく