地球人スピリット・ジャーナル2.0につづく
「真相ライブドアvs.フジ」 日本を揺るがした70日
日本経済新聞社 2005
だいぶ以前に私はこの本をリクエストをしていたらしい。すっかり忘れていた。当の図書館でも、購入リストには入らなかったらしく、他の図書館からのウェイティングとなっていたらしい。ようやく借りることができたが、だいぶ離れた他の公共団体の図書館からの又借りだった。いまさら、と思いつつ、読んではみたが、すでにあっという間に情報は、古くなっていた。
クラウンジェル(王冠の宝石)、ホワイトナイト(白馬の騎士)、ポイズンピル(毒薬条項)、TOB、ゴールデンパラシュート、LBO(レバレッジド・バイアウト)、などなど、いままで聞いたことのないような経済用語の乱立で、お茶の間は、あれよあれよという間に株式市場化した。
しかし、その後の経過はごらんの通り。ホリエモンばかりか、村上ファンド、そしてオリックス社長の宮内義彦氏まで、さまざまな思惑の中に置かれている現在である。あの事件はいったい、何だったのか、と振り返ってみるれば、さまざまなことを考えることができるが、どうも、今は一段落してしまって、あとは裁判の経過まちという雰囲気になっている。
あの事件は、過去の風景として沈潜していくだけなのだろうか。この本は、事件の渦中の2005年の5月、日本経済新聞社の取材陣がまとめたものである。ホリエモンびいきの多かった当時では、カタキ役だったフジテレビの日枝会長を「反骨の人」「反骨精神旺盛な人情容家」「熱しやすく冷めにくい性格」p93などとして取り上げているところが、すこし興味深かった。
最後の「取材こぼれ話」などで記者たちが思いも思いの感想を述べている。また「識者インタビュー 私はこう見る」では、11人の専門家たちが、それぞれ意見を述べている。今回の経済事件は、ネット社会やマスコミ、株式市場を舞台にした大捕物帳のようなものだったが、それぞれにキャラが立った人物たちが登場し、なかなかストーリーとしては面白かった。しかし、通常の一般庶民にとっては、雲の上の話ではなかっただろうか。
ホリエモンにしても村上ファンドにしても、一般人では考えられないような大金を手にしただろうし、フジ・ニッポン放送にしても、必ずしも損失ばかりではなかったようだ。
本書のもでてくるサイバースペースの藤田晋はホリエモンの友人であったわけだが、今年、mixiの株式公開のおり100億円の利益を手にしたという。私たちがSNSなどで、無料で友達とネットワークなどと言っている間に、彼らは何を考え、どんな行動をしているのだろうか。
私はしがないFPのひとりとして株式投資の勉強もせざるを得ないが、とんと利益話には疎い。株式投資はバーチャルでやるだけで、しかも利益をだすことは至難の技だ。でも、それでいいのかなぁ、とも思う。株式投資で利益を作ることのできるひとたちというのはホンのヒトニギリの人達だ。言ってみれば、F1レーサーたちのようなものだ。彼らなりに命をかけている。
通常人の私は、車は運転するけど、右をみて左みて安全運転に注意しましょうで、一生終わるのだろう。まぁ、それでいいのかな。