地球人スピリット・ジャーナル2.0につづく
「インターネットの心理学」
パトリシア・ウォレス著 川浦康至+貝塚泉訳 2001/9 原書1999 NTT出版
★★★★☆
著者が、研究者であろうとジャーナリストであろうと、あるいはビジネスパーソンであったとしても、欧米のハードカバー本は、枝葉にかなりのエネルギーが費やされていて、いかに情報量を多くするかが見せ所とばかりに、いっぱい文字を詰め込んでいるのが通常だ。だから、読んでいて、本旨を見逃してしまうことだってある。
別に急いで読まなければ、それなりに、その道筋を楽しめるのだが、本をネタにしてブログを書こうという魂胆があると、どうしても冊数を稼ごうとして、その結論を知りたくなってしまう。ましてやこの本はすでに1999年に英文で出ている本である。まぁ精読するまでもあるまい。
本書「インターネットの心理学」のねらいを一言でいえば、インターネット上でみられる人々の振る舞いを、倫理学とりわけ社会心理学の基本的、すなわち評価が一定程度定まった概念で解き明かそうとすることにある。「訳者あとがき」p323
「オンライン・ペルソナ」、「仮面と仮面舞踏会」、「サイバー空間の集団力学」、などはとくに目新しくもないが、この一連で「インターネット・ポルノの心理学的様相」p199に踏み込んでいくスタイルは、なかなかこの本の他にはありそうで、ない。
「猥褻」や「ポルノ的」のような言葉は、これまで明確に定義されたことはない。とりわけ法的な見地から見た場合、そうである。何がエロチックで何がポルノなのかをコミュニティの基準で判断すると、インターネット時代では問題が多い。「猥褻」とみなされる表現は、スカンジナビアとアメリカとではまったく異なる。コンテンツを規制しようとする政府によって、人々の権利が侵害され始めている。p204
このブログで、このテーマににわかに突っ込んでいくことはできないが、ありそうでないのが、このテーマをまともに取り扱っているものだ。「ポルノグラフィーの心理学的様相」「攻撃的で暴力的なポルノグラフィ」「インターネットからの意見」「身元の確認」「どのくらい心配すべきなのか?」などなど、それぞれにきわどいテーマを扱っている。
性描写を盗み見していた人々は、好奇心が一過性のものであることを自覚していた。この研究の最初の一年間は、ほぼ半数の人がそうしたサイトに立ち寄ったが、せいぜい1、2度で終わっていた。概して、禁じられたものほど魅力的なものはない。ある人々にとってポルノグラフィのもつ魅力は、消え失せてしまうかもしれないし、身近にあることで退屈なものに変わってしまうかもしれない。p214
う~ん、本当だろうか。こんなにきれいごとですますことできるかな? インターネットや、この性愛やブラフマチャリアについての関係は、もっと多層的に研究される必要があると、私は感じている。